今月もまたアイツがやってきた
『生理前モンスターだった私が産婦人科医に聞く PMS・PMDD攻略法』(KADOKAWA)は、漫画家のなおたろーさんによる生理前モンスター体験記。PMS(月経前症候群)とPMDD(月経前不快気分障害)のリアルな悩みを、産婦人科医の高橋怜奈先生とともに解決していきます。生理そのものもつらいのに、生理前のほうがもっとしんどい、という女性が大多数。これまで具体的な回避方法がなく、薬を飲む、ひたすら我慢、など辛さの解決をあきらめてきた方々が大半ではないでしょうか。
でも大丈夫。今日から本書が不調のケアをお手伝いします。




















PMS・PMDDの傾向を知るために
まずPMS・PMDDは「卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に変動する黄体期に症状が現れやすい」(本書より引用、以下カギカッコ内同じ)。そして黄体期とは「生理がはじまる10日ほど前からはじまる」。このふたつを改めてインプットしてください。さらに「PMS・PMDDの原因ははっきり解明されていない」といいます。こうなると、病院に行くべきかどうか迷ってしまいますよね。
本書いわく「血液検査で数値化したり検査で判定できないので、基本的には自己申告」だそう。とはいえ、“しんどい!”を耐える必要はまったくなし。
セルフケアの第一歩は「生理日誌をつけてみる」。生理前にどのような不調が起こるのか、記録しておくのです。
この方法はバイオリズムの流れを把握できるだけではなく、「書いて気持ちをアウトプットすることで、自分と向き合う時間ができる」という利点があります。
過去の記録を振り返れば、いつ頃にどういう不調になりがちか、あらかじめ予測もできますよね。バイオリズムを考慮して、予定も立てやすくなります。
ホルモンにやさしい食事をしよう
次なるセルフケアは日々の食事です。「排卵後は卵胞ホルモンの減少とともに脳内のセロトニンも低下してしまう」と本書。セロトニンとはいわゆるハッピーホルモン。「脳内の神経伝達物質のひとつで精神を安定させ幸せを感じやすくする働きを持つ」とされています。生理前にダウナーになるのはしかたないにしても、ハッピーを食事で補うとは?と首を傾げたあなた。トリプトファンとビタミンB6を味方につけましょう。

さらに「マグネシウム不足もPMS・PMDDの要因のひとつ」。ひじきやわかめ、サバやイワシもメニューに加えたいです。

甘いもの爆食いしたい時に冷やし焼き芋
PMS・PMDDにありがち問題なのが、甘いものの爆食い。心身が大量のエネルギーを欲しているのだな、というのは感覚的にわかるのですが、おまけにくっついてきそうな体重増加や肌荒れに怯えますよね。本書でも「生理前の時期はある程度仕方ない」としたうえで、「血糖値の急上昇に気をつけて」とアドバイス。

QOL(クオリティオブライフ)を向上させよう
生理日誌や食事法、運動やマッサージ。自宅でできるケアから、ピルや漢方薬のメリットやデメリットなど、本書は私達の疑問や不安をやさしく解きほぐしてくれます。「あなたの生きる日常をあきらめないで!!」というなおたろーさんからのメッセージに、あなたも心が熱くなるでしょう。
<文/森美樹>
【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx