断捨離で人生の転機を知る
『マンガで納得 身につく断捨離』(KADOKAWA)は、目的ごとに断捨離を実践していくコミックエッセイ。監修はやましたひでこさんです。人生には転機があり、人が必要とするモノや手放すべきモノは変化していきます。むやみに捨てるのではなく、今、当事者や家族にとってよりそえるモノなのか、あるいは役目を終えたモノなのか。本書と一緒に、心の鏡で部屋を見つめなおしてみませんか。














断捨離は整理整頓とちがうワケ
断捨離は整理整頓とは違います。本書によると「断捨離は片づけない片づけ方」。そして「いかにモノを保管するか」に主軸を置いているのが整理整頓です。「断捨離の『片づけ』とは、必要なモノの絞り込み」。基準となるのは「主役はモノでなく自分」という考え方。
私達はつい「まだ使える」「もったいない」という視点で片づけをしてしまいますが、本書いわくこれは「モノが主役のモノ軸」。次にありがちなのが「人にもらったから」「捨てたら人に何か言われるから捨てない」という、気遣いから生まれた捨てられない癖(くせ)。こちらは「他人が主役の他人軸」。
両方とも耳が痛いですよね。でもここが勝負の決めどころ。
断捨離で今の自分が見えてくる
モノは生きているわけではありませんが、モノには買った当初の自分や、使用した歴史、ともに生きた自分が投影されています。「断捨離は自分を高める手段であり、単なる片づけではありません」という本書の言葉が、モノとの対話で実感できるのです。
理屈はわかったけれど、モノが多すぎてどこから手をつけたらいいか悩んでしまう。こんな方はまず「断捨離をする前の3つのチェック」に注目してみましょう。本書から簡単に抜粋してみました。
・捨てられない段階を知る
モノが滞ったり積み重なったりしているなら、要らないモノを取り除く「分別」をする。
・自分のくせを知る
人はモノを取り出した場所に「戻す」「しまう」作業が苦手。苦手なことを収納に頼るのには無理があることを自覚する。
・3つの「保留」をやめる
判断の保留:「まだ使える」「あとで使うかも」という、本当に必要かどうかの保留をやめる。
決断の保留:要らないと判断したのになぜかまだとっておく、という保留をやめる。
断行の保留:捨てて初めて家の中のモノが減る、最後のステップの保留をやめる。
いかがですか。特に3つの保留はハードルが高いのではないでしょうか。
モノとお別れする=今までの自分お別れする、または否定すると感じる方もいるかもしれません。でも、お別れしたらスッキリした、と清々しくなるような気もしませんか。
断捨離で新しい景色に出会える
ひとり暮らし、家族との暮らし。推し活や趣味活、実家仕舞いに遺品整理。本書にはありとあらゆる局面で行う断捨離を、マンガでわかりやすく解説しています。断捨離するうちに、自然とほぐれていく心や家族との関係など、思わず「わかる!」と泣けてくることも。それほど、私達の生活とモノとのつながりは深いのです。だからこそ、都度(つど)部屋を見なおし、モノと自分や家族を照らし合わせる時間も大切になってくるのではないでしょうか。
「実のところ、捨てるごとに、拾えることがたくさん!」と本書。部屋に空きスペースができると、心にもゆとりが生まれます。
「部屋がきれいであることは、それだけでうれしいこと」このシンプルで究極な幸せを、あなたもぜひ、断捨離で感じてください。
<文/森美樹>
【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx