わずか200gだった命が、こんなにも大きくなってくれた……。そんな喜びを噛みしめるのは、キジ白猫のあずきくんと暮らすバニラさん(@9qh3eaR4d9Zz8oN)。
2021年、バニラさんは近所にある病院の職員用駐車場であずきくんを発見しました。
ハムスターと見間違えるほど小さな子猫を発見
出会った時、あずきくんは車の下から少しだけ顔を出していました。あまりにも小さかったため、バニラさんはハムスターかと思い、気になって近くへ。そこで子猫であることにようやく気がついて、大層驚いたそうです。
車に轢かれてしまったら……? 心配になったバニラさん。車の下に隠れてしまったままのあずきくんを保護するため、車の所有者が病院から出て来るのを待ちました。
「事情を話すと、ゆっくりエンジンをかけてくれました。飛び出てきたところを、用意していた虫取り網で無事にキャッチ。もう少し遅い時間だったら見つけられなかったかもしれません」
生きるか死ぬかの瀬戸際を強い生命力で乗り越えた

すぐに動物病院へ行くと、猫風邪を患っており、さらに栄養失調であるとの診断が下ります。体にはノミ、体内には回虫もいました。
「厳しいけれど、自力で食べていけるなら助かる」と獣医師さんに言われ、バニラさんは処方された抗生剤を飲ませながらケアをスタートさせます。

「複数回に分けて、少しずつ。最初は一口からあげ、徐々に量を増やしていきました」
幸いあずきくんはすぐにご飯を口にしてくれ、命をつなぐことに成功。その生命力の強さに、バニラさんは感動したと言います。

母親代わりになってくれたのが、当時5歳だったシンくん。

一方、女子メンバーのゆずちゃんとレモンちゃんは最初こそあずきくんを警戒していたとか。しかし、次第に受け入れてくれるようになり、気づけばすっかり仲良しになりました。

「一度、探しても探しても見つからず涙目になっていたら、あくびしながら洗濯機から出てきたことがあります。以来、洗濯機の蓋閉めが必須になりました」
強運で腸閉塞を乗り越えた

「注射を打ってもらいましたが、『これでダメなら手術』と獣医さんに言われました。まだまだ小さい体なのに……と心配でたまりませんでしたね。どうか上手くいきますようにとひたすら祈っていると、なんとか注射が効いてくれて。『あずくんは強運だね』と、先生と話したのが忘れられません」
出会った当初の衰弱やその後の病も乗り越え、絆を深めていったあずきくんとバニラさん。あいだに生まれた信頼関係は月日を重ねるにつれ、より強固なものになっています。
バニラ家の絆は深まってゆくばかり

「投げると取りに行き、咥えて持ってきて『投げて』と何度も催促。エンドレスの遊びです(笑)」
唯一苦手なのは、お腹を触られること。内出血の痕が消えた今も、触ろうとすると唸るのだとか。

「突然目の前に現れた、小さくて今にも消えそうな命。あの時、私が見落としていたらおそらく……と思うと、運命を感じずににはいられません。もしかしたら、あずくんはうちの子になろうとすでに決めていたのかも」
天真爛漫で末っ子気質なあずきくん。これからも、持ち前の明るさでおうちを照らしてね。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291