アリーナでの観戦時には、ライブのような演出にも目を奪われます。
川瀬亜弥さん(仮名・35歳)は夫・翼さん(仮名)の影響を受け、結婚後には一緒にバスケ観戦を楽しむようになりました。
しかし、日を追うごとに夫の気持ち悪い一面が明らかになり、近頃は夜も“ご無沙汰”なんだとか。
インドア派の自分に知らない世界を見せてくれた彼と結婚
亜弥さんと翼さんは、マッチングアプリで出会いました。インドア派で控えめなタイプの亜弥さんに対して、翼さんは社交的でアクティブ。話が合うか不安だったものの、翼さんからの猛アプローチに根負けして交際をスタートさせました。
もともと、スポーツ観戦にあまり興味がなかったという亜弥さん。しかし、交際中に翼さんとBリーグの試合を観戦をしたことを機にすっかりバスケ好きになります。
「それまでこれといった趣味がなかったので、熱中できるものと出会えてうれしかったです。彼のおかげで世界が少し広がった気がしました」
さらに、この出来事を通じて亜弥さんのなかで翼さんを見る目までもが変わったそう。
「この人と一緒にいたら、これまで知らなかった世界が知れるかも」。そう思い、交際からわずか半年ほどでされた彼からのプロポーズも受け入れ、スピード婚となりました。
夫が撮影したチアガールの写真にドン引き

充実した日々を過ごせていることを亜弥さんはうれしく思いつつも、ひとつだけ気になることが。それは翼さんの観戦態度です。
「試合の合間にチアガールが出てきてダンスを披露する場面が何度かあるのですが、そのたびに夫は写真を連写するのです。結婚前はそんなこと、しなかったのに……」
妻である自分が隣にいるのに、ほかの女性を撮影してほしくない。そう思った亜弥さんは不満を翼さんにぶつけました。
しかし、「ダンスがすごいなと思って撮ってるだけだよ。それに観戦の楽しみ方って人それぞれじゃない?」と言いくるめられてしまいました。
「だから、なんとか気持ちを切り替えて、夫の行動を気にしないようにしていました。
でも、やっぱり割り切れなかった。夫がどんな写真を撮っているのかが気になり、ある夜こっそりスマホを見てしまったんです」
そこには、チアガールの足や胸をズームで撮影した写真が大量にありました。亜弥さんは夫を気持ち悪く感じるようになってしまいます。
夫が書いた官能小説(!)を発見してしまう

そう悩むようになった亜弥さんはその後、よりドン引きしてしまう秘密を目の当たりにしてしまうのです。
ある日のこと、翼さんは友達との飲み会で酔いつぶれて帰宅。
普段は入ることがない夫の自室は、イメージしていたよりも綺麗だったそう。だからこそ、机の上にあった一冊のノートが目に止まりました。
「本能的に見ちゃいけないと思いましたが、開かずにいられませんでした」
すると、そこにはスマホに撮りためてあったようなチアガールの写真がびっしりとコレクションされていたそう。亜弥さんは夫の収集癖にあらためて驚きつつ、ページをどんどんめくっていきました。
「途中から小説みたいなものが綴られていたんです。読んでみると、チアガールと自分がいちゃいちゃする官能小説で……。あまりの気持ち悪さに鳥肌が立ちましたね」
ただ単に「気持ち悪い」で済ませていい問題ではないかもしれない
その日以来、亜弥さんは翼さんに誘われてもバスケ観戦を断るように。翼さんは急変した亜弥さんの態度に首をかしげつつ、ひとりでバスケ観戦に出かけています。「見てしまったノートや写真のことは言えていませんが、このままなかったことにはできない。正直に話すと、あれを見てから夫に触られたくなくなって、レスになっています」
女子スポーツ選手に向けられる性的な視線がようやく議論の俎上にのぼるようになった現在。亜弥さんの抱いた「気持ち悪さ」も、ようやく広く共感を得られるようになってきたところでしょうか。
様々な試合をダンスパフォーマンスで盛り上げてくれる、チアリーダー。彼女たちにいかがわしい視線をむやみに向けることなく、節度あるエールを贈れるファンでありたいものです。
<取材・文/古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291