秋は気候がちょうど良く日没も早くなり夜の時間が長くなるため、やたらと眠くなってしまいますよね。

今回はそんな秋の睡眠にまつわるエピソードをご紹介しましょう。


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気になる後輩とラーメンデートの約束

渡辺美沙さん(仮名・29歳/会社員)は、同じ部署で働く後輩・哲也さん(仮名・27歳)のことが気になっていました。

「私が哲也さんの指導役でいろいろと教えているうちに、その仕事覚えの良さとコミュニケーション能力の高さに感心して。いつの間にか『こんな人とお付き合いできたら楽しいだろうな』と考えるようになったんです」

そんなある日、お昼休憩中の雑談で哲也さんがラーメン好きだという話題になったそう。

「私はさほどラーメンに詳しくはないのですが、哲也さんのお気に入りのラーメン店に何だか聞き覚えがあって……あ、そういえば私がたまに行く市場のようないい感じの店舗が連なっているおしゃれ施設に、その店主さんがプロデュースしたラーメン店ができたばかりなことを思い出したんですよ」

そのことを伝えると哲也さんは興味津々でスマホで検索し始めて「この店舗のことは知らなかったです! 食べてみたいな。よかったら今度連れて行ってくれませんか?」と無邪気に言ってきました。

「私的にはプライベートな話をできただけでも嬉しかったのに、まさか2人でのお出かけに誘われるなんて! と内心は大興奮だったのですが、あくまでいつものできる先輩の顔をして平静を装いつつOKしたんです」

大事な日に思いっきり寝坊してしまう

美沙さんは、自分から哲也さんを誘うとセクハラやパワハラだと思われてしまうのでは? とビクビクしてしまい行動を起こせずにいたそう。

「なので、やっと訪れたこのチャンスを絶対に掴みたい! と思い、デートの前夜に『明日は早起きして半身浴をしながらマッサージでむくみをとって、パックして、ナチュラルだけど丁寧なメイクをして、髪を巻いて……』としっかり予定を立ててから眠りについたんですよ」

そして翌日、哲也さんからのLINE電話での着信音で目を覚ました美沙さんは時計を見て驚きました。

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眠気
「哲也さんとの待ち合わせ時間の12時を過ぎていて……私、いつの間にかアラームを止めて11時間近くも眠っていたんですよ!

夏にクーラーをつけっぱなしでいたので、身体がずっとだるくて疲れがたまっていたせいもあると思います。それにしてもなんでこんな大切な日に寝坊なんて……と慌てて哲也さんからの電話を取ったんです」

季節は秋になり、気温もちょっと肌寒いぐらいで毛布のぬくもりが心地よい時期になったからかもしれませんね。さて哲也さんの反応は?

テレビのせいで、寝坊を嘘だと勘違いされて

「哲也さんに寝坊してしまったことを謝ると『それならよかったです。体調を崩して部屋で倒れていたらどうしよう? って心配していたんですよ』と優しい返事が返ってきました。

でもその時に不注意でリモコンを踏んでしまい、テレビがついて大音量で駅の雑踏音が流れたんです。そしたら『あ、今駅にいるんですね。やっぱりしっかり者の美沙さんが寝坊なんておかしいと思ったんですよ。もしかしてこれからデートですか? 何だか無理に誘ってすみませんでした! では』って哲也さんに勘違いをされて、一方的に電話を切られてしまったんですよ」

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ベッド
美沙さんは「早く誤解を解かなくちゃ! どうしよう、どうしよう?!」と焦りまくり、とりあえず嘘をついていないことを証明したいと思い、ボサボサ髪のすっぴんで部屋着姿を自撮りし哲也さんに送ったそう


「するとすぐに哲也さんから電話が来て、『本当に今起きたんですね』と笑ってくれたのでホッとしました」

そして「そんなに寝たならお腹空いてるんじゃないですか? これから一緒にラーメン行きましょうよ」と、無事に哲也さんの信用を取り戻し、デートも中止にならずに済みました。

スウェットとラーメンで近づいた距離

「もうこれ以上待たせたら申し訳ないので、顔を洗って軽くBBクリームだけ塗って眼鏡ですっぴん隠しをして、それに合うようなラフな格好で急いで待ち合わせ場所に走りました。哲也さんに好かれたくて、せっかくパックや化粧品に、デート服やマッサージ器具まで新調していたのに……悔しかったですが自業自得なので」

哲也さんに会うなり慌てて謝る美沙さんに、笑顔で開口一番「おはよう」と言ってくれたそう。

「そしてほぼすっぴんでスウェットのセットアップ姿の私を見た哲也さんが『いつものクールでピシッとした美沙さんとのギャップがヤバいですね。正直すごく可愛いです』と褒めてくれたので、え、こんなんでいいの? と驚きつつ照れくさかったですね」

そのまま一緒にラーメンを楽しんだ2人は、その日を境にぐっと距離が縮まったそうで……。

「それからほどなくして哲也さんからお付き合いを申し込まれて、仲良くやっています。あの日の寝坊がいい方向に転んで本当によかったなと思います」と微笑む美沙さんなのでした。

<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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