著者の中村尚人氏は、理学療法士でヨガインストラクター。今日まで約2千人のインストラクターを養成し、腰痛などで悩む約1万人の患者さんを診てきたそうです。これは期待できそうですが、なぜ「そる」だけでオールオッケーなのでしょうか。その根拠を、本書が説明してくれました。(初公開日は2019年5月7日 記事は取材時の状況)
腹筋は縮めるより伸ばす
まず従来の腹筋運動は、「縮める腹筋」です。寝転がって上半身を起こすやりかたですね。ところが、「解剖学的にも、筋の硬さから見ても、腹筋は伸びる力のほうが、縮める力よりはるかに強いのです」と言うではないですか。さらに、「縮める腹筋は、腹筋を縮めて背筋を伸ばすので、腹筋本来の役割に反した使い方をします。非合理的なトレーニングなので、疲れる割に効果は望めません」。今までの苦労は何だったの? と週に2日は筋トレしている私、愕然としました。

そして最終段階が、「背中は丸く猫背になり、骨盤もまっすぐ立てられなくなり後傾。腰が落ちて、胸はつまり、顔は前に出て、ついにはお腹が飛び出して、そこにどんどんお肉がたまっていくのです」。これってもはや恐怖です。
「そる」腹筋エクササイズ
「ぽっこりお腹」の原因がわかったら、あとは撃退するのみ。「10秒でお腹がやせ上がる! そる腹筋」を紹介していきますね。そる腹筋のルール
1. 1日に何回やってもOK!
2. 終わった直後の「お腹が引き上がった姿勢」を5分以上保つ
3. 心身が活性モードになるので、就寝前には行わない

両足を腰幅にひらき、平行にして立つ。足の指をそらせ、床から浮かせる。
※かかとで重心が感じられたら正解。

親指は組まず下に向け、首筋を挟むようにする。首に負荷がかからないように両手で支え、息を吐きながら頭を持ち上げる。

息を吸いながら上体を後ろに反らし、キープしたまま呼吸を2回くり返す。
※膝が曲がると、骨盤が前に出て腰がそり、腰痛の原因に!
<Step4>
元の姿勢に戻す
息を吐きながら元の姿勢に戻る。Step2~4を5回繰り返す。(1回でもOK)
いかがでしょうか。私も実践してみましたが、あまりに簡単なのでビックリ。とはいえ、お腹だけピンポイントに、ジワジワ効いているのがわかるのです。
メリットしかない! ぽっこりお腹に疲れずに効く
場所も時間も選ばない、覚えやすいし、何より疲れないのが魅力。「そる腹筋は胸が広がり心臓の圧迫が取れるので、血圧も心拍数も上がらずくるしさを感じません」とのこと。疲労感が少ないから継続しやすい、おまけに効果のほどは体が証明してくれるとあっては、やらないわけにはいきません。
普段の姿勢の癖は、なかなかとれないもの。
数日「そる腹筋」をやってみた私。気分転換にもなるし、身体を伸ばすことの清々しさが、今や快感になりつつあるのです。
<文/森美樹>
【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx