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マンションやアパートに住む方なら、同じ建物の住人とのトラブルはできれば避けたいものです。しかし予期せぬトラブルというのは起きてしまうもので…そんなトラブルで近隣の住人と気まずい関係になってしまった男性がいました。
母親が亡くなり片付けに没頭
大手食品会社の経理で働く健斗さん(仮名・38歳/独身)は都内の湾岸エリアにあるタワーマンションに、数年前から病気療養中の母親と2人で住んでいました。「仕事ばかりしていて趣味もなく貯金ばかりが増えていくので、せめて母には少しでも快適な生活をしてほしいと思ってタワーマンションを選びました。母も眺めの良さを気に入ってくれて、少しは親孝行ができたのかなと勝手に思っていました」
しかし、不幸は突然訪れます。安定していたように見えていた母親の病状が急に悪化し、帰らぬ人となってしまったのです。
「突然のことで悲しむ暇もないほどでした。身内だけの葬儀を終えるとどっと疲れと悲しみが襲ってきて、それを紛らわせるために後片付けなどに没頭していました。その日は気分をスッキリさせようと思い家の中にある洋服を全部洗濯していたんです」
洗濯機が故障してフローリングが水浸しに

「フローリングがなぜか水浸しになっていたんです。慌てて部屋の中に戻ると、洗濯機が故障したようで水漏れしてました。気づくまで結構時間が経っていたようで、床にシミができていたんです。これはマズイと思い慌てて水の処理をして管理会社に連絡した後、階下の方に謝罪に向かったんです」
冷静な行動をしているようでこの時かなりパニック状態だったという健斗さん、謝罪に向かう際、ふと玄関に置いてあった菓子折りをよく考えもせずに手に取り持っていったのだそう。
「幸い階下の天井に若干のシミができる程度だったので、それは保険で対応できて大事にならずにすんだんです。
「失礼すぎます!」階下の女性が激怒したワケ
管理会社がすぐに対応してくれたこともあり、その日のうちに水漏れについては一件落着したのですが、夜になって突然健斗さんの家のチャイムが鳴ります。
一度開けて包み直されていた様子の包装紙を慌てて剥がしてみると、白黒結び切りに「御供(ごくう)」と書かれた“のし”が顔を出したのです。それを見た健斗さんはまさに顔面蒼白。
「その菓子折りは遠方の友人が香典代わりに送ってくれたもので、内のしが付けられていたんです。葬式後のゴタゴタで中身を確認せずに放置していたので忘れていて…。謝罪に向かう時はそんなことを考える余裕もなく必死だったので気づかなかったんです」
パニック状態だったとはいえ、そんなことは階下の女性が知るわけもなく、健斗さんはただただ謝罪を繰り返すことしかできませんでした。
気まずくて、引っ越しも考える日々

さらに、周囲の住人にも水漏れ+御供事件が知れ渡ってしまったようで、ヒソヒソされているように思えてきました。ちょっとそれは考えすぎでは…という気もしてきますが、きっと健斗さんはマジメな人なんでしょうね。
「完全に僕に落ち度があるのですが、流石に母を亡くしたショックの上でこの状態は耐えられそうにありません。
様々なことが重なり偶発的に起きてしまったご近所とのトラブル。健斗さんと女性の関係はまだ良い方向に進む気配がなく、今後どうしていくべきなのか模索中とのことでした。
<文/大杉沙樹>
【大杉沙樹】
わんぱく2児の母親というお仕事と、ライターを掛け持ちするアラフォー女子。昨今の情勢でアジアに単身赴任中の夫は帰国できず。家族団欒夢見てがんばってます。