突然ですがみなさんはイエベですか? それともブルベ? 骨格はストレート、ウェーブ、ナチュラル? ……この呪文みたいな問いかけは私たちの日常会話でもよく繰り広げられています。
しかし、どうして私たちはこんなにも“自分に似合う”ものを求めるのでしょうか? 今回は、診断系コンテンツが流行する背景と、活用する上で陥りがちな落とし穴についてご紹介します。
男女ともに関心が高い「パーソナルカラー」と「骨格診断」
2022年にキャンプ・アウトドア情報を配信するWEBサイト「TAKIBI」が全国の18歳~65歳の男女500人を対象におこなった服装にまつわるアンケート調査では、「ご自身のパーソナルカラー・骨格タイプが気になりますか?」という質問に、全体の61.4%が「気になる」と回答。男女別でみると、女性で69.5%、男性で55.1%と、いずれも過半数が興味を示しています。さらに年代別にみると、若い世代ほど関心が高い傾向も見られました。流行りの診断系コンテンツとして注目されているパーソナルカラーや骨格診断ですが、実はは1980年代から存在しています。なぜ、今になって人気に火がついているのでしょうか。
人気の理由は「SNSの発展」と「消費行動の変化」
その理由は大きく2つあります。1つは「SNSの発展」です。2010年以降、SNSが大きく発展し、誰もが気軽に試せる・会話のきっかけにつながる診断系コンテンツがバズったことで若い世代を中心に認知が広まりました。SNSでヒットすると、その勢いにあやかって、アパレル企業や美容業界の企業が診断系コンテンツを絡めた商品企画を発信。その結果、30代以降の大人世代にも広く一般的に周知されています。

その上で信用性の高い情報を自身で選別し、確かな買い物をしたいというコスパ・タイパ重視な消費行動が根強い傾向に。雑誌などの紙媒体から情報を得てきた40代以降の世代に比べると、モノを買うという行動において「流行りだから欲しい」という消費心理より「自分にとって良いか・悪いか」に重きを置いていることから、自分を知ることのできるパーソナルカラーや骨格診断への興味関心も高まっていったのでしょう。
悩みが増えてしまう人も。診断系コンテンツの「落とし穴」
時代との親和性が高い、パーソナルカラー・骨格タイプ診断。一方で、こうしたタイプ分けをする診断系コンテンツにはデメリットも存在します。
また、自分に似合うタイプが分かっていても、実際に買おうとしている服が自分の似合うタイプに当てはまる服かどうか判断がつかず結局買い物に悩むという声も……。
ブルベ冬は色白美人? 診断結果での“マウンティング”も
さらに最も悲しいのは、タイプ別診断が他者とのコミュニケーション不和を引き起こすきっかけにもなり得るという点です。いわば「パーソナルカラーマウント」や「骨格マウント」と呼ばれるもので、自身と他者のパーソナルカラー・骨格タイプを比較し、どちらが優位であるかを示唆するような発言が生まれやすいのもこうしたタイプ診断の闇深い一面。身体的特徴を型にはめることで、服やメイク選びの方針が決められるのは魅力的。しかし、型にはめることは時に選択肢が制限されたり、自分らしさを他人の評価軸にさらされたりして逆に不自由な気分になってしまう可能性も秘めているのです。
半分参考にして、半分気にしないのが正解
診断系コンテンツは大量のデータから算出された統計学です。「正解」を求める教育方針で育ってきた日本人にとって、感覚優位なファッションという分野はなかなか理解が難しいもの。そんな中で正解を導くファッション系のタイプ診断というのはとても魅力的なコンテンツに見えるかもしれません。しかし、それにとらわれすぎてしまうと、「似合うもの絶対主義」となり、心が過剰適応を起こして健やかさや自由な発想、自己表現が低下してしまいます。
これらの診断は、似合う色や服を知り、新しい自分を発見するためのものとして活用してほしいと思います。その上で、ときには似合う・似合わないを気にせず好きなものを選ぶ遊び心も忘れずに。半分は参考にして、半分は気にしない。そんな肩肘張らない楽しみ方ができると、素敵なファッションライフを送ることができるのではないでしょうか。
<文&イラスト/角佑宇子>
【角 佑宇子】
(すみゆうこ)ファッションライター・スタイリスト。