原点にして頂点。
2000~2008年 お尻の出そうな「ローライズデニム」
平成ギャル文化の盛り上がりが落ち着き始め、パリス・ヒルトン、ブリトニー・スピアーズなどの海外セレブが流行を席巻し始めたこの頃。彼女達のスタイルをならって、ヘルシーな美しさを表現するローライズデニムが流行しました。現在はこの時代のY2Kブームにより再び、ローライズデニムが流行していますが、2000年代初期のローライズデニムはとにかくローライズ具合がすごい。少しかがもうものならば、お尻が出てきてしまいそうな程の股上の浅さでしたね。そしてこの時期独特のデザインといえば、スタッズやラインストーンなどの装飾があしらわれたファッションデニム。何もかもがデコデコしていた時代だったので、デニムもシンプルなものより何かしら飾り気があったのが記憶に残っています。
2009~2015年 「スキニーデニム」「ボーイフレンドデニム」
ローライズデニムは脚長の海外セレブがはくから美しいのだ。ということに気づき始めてしまった日本人は、2009年前後を境に股上深めのスキニーデニムを手にするようになりました。ストレッチの効いたタイトなシルエットのスキニーデニムは女性的なボディラインを表現するので、男性からの支持もかなり高かったですね!(現在もスキニー支持派の男性は多いです)
一方、スキニーデニムはお尻や太ももの大きさが目立ってしまうので、ロング丈のカーディガンを合わせて、上手に着痩せコーデを作っていた方が多かったです。
もう一方で流行したのは裾をロールアップさせたデザインのボーイフレンドデニム。ストレートシルエットよりも少しゆとりがあり、でもワイドパンツほどではない絶妙なゆるさがカジュアル女子の間で流行していました。
2015~2020年 脚のラインを出さない「ワイドデニム」
スキニーデニムとボーイフレンドのブームが落ち着き、次いで登場したのは一転してワイドなシルエットのデニム。この時期から女性的なボディラインを強調する服よりも、男女兼用のアイテムやオーバーサイズシルエットが支持されるようになっていきました。
この頃のワイドデニム股上の深いハイウエストタイプかつ直線的なストレートなシルエットが特徴的。また、2015年初期はウエストにギャザーがよっていて共布のリボンで結ぶタイプなどが非常に多かったです。
2020~2025年「フレアデニム」「ローライズデニム」
ワイドデニムは以前人気が続き、現在では定番化。しかし、以前のストレートなシルエットより若干裾がフレアになっているAラインのワイドデニムなどより、脚が細く、長く、ウエストが華奢に見える設計にアップデートされています。
「流行は20年単位で巡る」は本当だった!?
成人して20年も経つアラフォーともなると、ファッショントレンドが一周回って巡るというのが本当なのだというのをこの身を持って体感することになりますね。とくに筆者はアパレル業界に携わり始めたのが2008年頃ですので、今トレンドまっただなかのフレアデニムやローライズデニムをはいている若者を見ると、当時のアシスタント時代に似たようなデニムをはいて都内を駆け回っていたあの頃を思い出し、ノスタルジーおばさんと化してしまいます。とはいえやっぱり同じ名称のデニムが再び流行ったとしても、昔のデザインと今のデザインでは微細なシルエット設計に違いがありますね。古いトレンドからインスパイアを受け、その時代を表現する新しいトレンドへと昇華されていく。また、20年後に同じアイテムがどんな形で流行っていくのかを楽しみに、これからも流行を見届けていきたいところです。
<文&イラスト/角佑宇子>
【角 佑宇子】
(すみゆうこ)ファッションライター・スタイリスト。スタイリストアシスタントを経て2012年に独立。過去のオシャレ失敗経験を活かし、日常で使える、ちょっとタメになる情報を配信中。2023年9月、NHK『あさイチ』に出演。インスタグラムは@sumi.1105