ここ数年、冬が終わると急に暑くなり、長い夏が続いて、急に寒くなりませんか? 寒暖差に体が追いつきません。
春と秋がなくなる!?進む「二季化現象」
実は近年、日本の気候が「二季化」に向かっていると指摘されています。二季化とは、四季のうち春と秋がなくなり、冬から一気に夏へと移行するかのような現象のことです。実際、春用コートなんて出番が少ししかないですよね。今年3月には、1876年の統計開始以来、3月としては最も多い夏日の日数を記録しました。昨年も春、夏、秋と3季連続で史上最高気温の記録を更新。主な原因はやはり「地球温暖化」だと言われています。
この二季化現象は自然災害の増加、農業や漁業への影響だけでなく、私たちの心身にも「二季化バテ」を引き起こすそうなんです。
「二季化バテ」が増加中。夏は冬より免疫力が低下する
「急激に暑くなるこの4~6月に不調を訴える患者さんが急増します。早めのケアが大切です!」と警鐘を鳴らすのは、いとう王子神谷内科外科クリニック院長の伊藤博道先生です。
外気温が高くなると、体は内臓を冷やそうとして汗をかきます。
腸は“第二の心臓”と呼ばれるぐらい大切なのに、血流が足りないなんて……。
「腸には免疫細胞の約70%が集まっており、その腸が冷えることで全身の免疫の働きが低下します。その結果、感染症などにかかるリスクも増大してしまうのです」と伊藤先生。
「百日せき」に「リンゴ病」……感染症に気をつけて
確かに、この数か月で、いくつかの感染症の流行がニュースになっていますよね。ひとつは、子どもを中心に感染し、激しいせきが続く「百日せき」。6月8日までの1週間に全国の医療機関から報告された患者数は3044人と、過去最も多いそうです(国立健康危機管理研究機構調べ)。

今から二季化対策を!医師が薦める4つの習慣
では、この「二季化バテ」に負けず免疫力をキープするには、どうしたらいいのでしょうか? 忙しい私たちでもできる、簡単なことからお願いします! 伊藤先生は、以下4つの習慣を推奨しています(「 」は伊藤先生)。1. 腹筋をきたえる。
「不調を訴える患者さんは、筋肉が少ない傾向にあります」。筋肉が多いほど体温が高くなるため、特に腹筋を強化することが重要。毎日の運動が難しい場合は、腹式呼吸から始めましょう。
2. 発酵食品と食物繊維を積極的に食べる
腸内環境を整えるために、ヨーグルト、チーズ、納豆、キムチなど“善玉菌”を含む発酵食品を積極的に食べましょう。「乳酸菌の一部は、腸管から免疫細胞を刺激して、免疫力の向上に役立つこともわかっています」。また、ゴボウやたまねぎなどに多く含まれる食物繊維も、腸内細菌のエサとなるので欠かせません。

「朝起きたら日の光を浴びて、体内時計をリセット。また朝日は自律神経を整えるホルモンであるセロトニンの合成を促し、睡眠のリズムを整えましょう」。
セロトニンを材料として、夜には睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンが作られるため、質の良い睡眠につながるのです。
4. 長めのパジャマで、お腹周りを冷やさない
子供のころ「夏でもお腹を冷やさないように」と親に言われた気がしますが、これは深部体温を下げないため。「夏の夜でも、しっかりとお腹が隠れる長めのナイトウェアを着用することをおすすめします」。

<文/溝口ゆかり>