ソニー採用担当として話題沸騰
1997年生まれの山木梨沙さんは、高校在学時の2013年にハロプロ研修生入りを果たし、2014年にカントリー・ガールズに加入。その後、5年間のカントリー・ガールズでの活動を経て、2019年の年末にグループからの卒業と同時に芸能界を引退しました。
数年前から採用プロモーション活動や内定者の入社受入対応を担っている山木さん。しかし先日、X(旧Twitter)で、山木さんについて知らなかったあるアカウントが「ソニーの採用担当の人、美人だと思ったら元ハロプロだった」と投稿。山木さんが出演する「ソニーグループ4社合同新卒採用会社説明動画」のスクリーンショットを添えたその投稿が一気に拡散され、山木さんが再注目されることになりました。
元アイドルの活用に賛否両論
この拡散によって、「大企業が元芸能人を採用し、顔出しさせて宣伝することの是非」を巡る議論が勃発。「元芸能人を雇いたいなら、一芸採用の枠を作ればいい」「『うちに入社すればこの子と一緒に仕事できるよ』という新卒へのアピールに元アイドルを使う手法が気持ち悪い」など、企業側の採用方法や山木さんの起用の仕方に疑問を呈する声も。一方で、「受付や広報、採用担当に美人を揃えるのは当然では?」との意見も見られます。また「元アイドルという肩書きがあれば、一般人がいくら努力しても手が届かない大企業にも就職できるのはズルい」「顔整い、人生イージーモードすぎ」という山木さんへの意見も。同じハロプロ出身では、テレビ東京のアナウンサーとなった紺野あさ美さんや、ももいろクローバーZの妹分グループ「たこやきレインボー」の元メンバーで、2023年に静岡朝日テレビに入社した船引とわ(奈良崎とわ)さんなど、昨今では女子アナに転向する元アイドルも珍しくありません。
輝かしいキャリアへの嫉妬?
しかし、ソニーグループも女子アナも、いずれも倍率の高い大企業のひとつ。「結局顔がよければいい企業に就職できるんだ」「自分が面接官なら、一生懸命勉強していい大学に入って就職活動を頑張っている普通顔の女性と元アイドルの2人が目の前にいたら元アイドルを選ぶ。否定的な意見が今回多かった背景には、日本どころか世界でも有名なソニーグループで山木さんがキラキラとした仕事をしているように見えるからこそ、生まれてしまっている可能性も。例えば、同じく元ハロプロでBerryz工房のメンバーとして活躍した「ももち」こと嗣永桃子さんは小学校と幼稚園の教員免許を取得し、「幼児教育の道に進みたい」として2017年に芸能界を引退。また、モーニング娘。の元メンバーの鈴木香音さんは「介護福祉の仕事につくための勉強をしていきたい」として2016年に芸能界を引退しました。この2人は芸能界引退後、メディアへの露出を避けて完全に一般人として生活している様子が伺えます。

女性アイドルのセカンドキャリアの未来

男性アイドルと比べ、女性アイドルは活動期間が短いと言われます。推しが30代や40代になっても、結婚して子どもができても応援を続ける女性ファンに比べ、推しが求める年齢層でなくなったり、恋愛や結婚など自身の人生を歩み始めることでファンを離れる男性ファンも少なくありません。その中で、女性アイドルがセカンドキャリアを見据えながらアイドル活動をし、卒業後に新たな仕事に就くという流れは、多様性が尊重される時代において良い傾向と言えるでしょう。山木さんが一般企業で働きながらその事例を作り上げることで、今後の女性アイドルのセカンドキャリアの可能性を広げる役割を果たすかもしれません。
<文/エタノール純子>
【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中