「50代なんて終わっている」と、20代の頃は考えていたそうです。
しがらみを捨てたら自由になった

50歳で白髪染めをやめ、56歳で会社を辞め、さらに結婚しないことを選択。すると驚くほど自由に、かろやかになりました。しがらみを捨てたからこそ、りさねーぜさんの暮らしは輝いているのです。
世間体と価値観に縛られていた

りさねーぜさんが手放したもののひとつが、「世間体」。現在57歳のりさねーぜさんが20代、30代の頃は、「女の幸せは結婚して、好きな人の子どもを産み育てること」という揺るぎない価値観がありました。世間一般の基準を自分の価値観と錯覚してしまうのは、決してめずらしくはありません。

自分の幸せは自分で作り上げて、自分で感じればいい。他人の評価や他人の目は、まったく関係がない。結婚も出産も、りさねーぜさんが描く幸せではなかったのでしょう。
50歳で白髪染めをやめたワケ
りさねーぜさんは50歳で白髪染めをやめて、グレイヘアに移行しました。
ですが、40代でふと「この白髪染め、いつまでやるんだろう…」と立ち止まり、迷ったあげく、近藤サトさん(フリーアナウンサー)のグレイヘアを見て決断したそう。
確かに白髪は老け見えしますが、
「年齢がかなり上に見られたとして、何か困るだろうか?いや、困らないよね」
「50代なのに60代に見えるからあなたとはもう付き合いたくないと言う人がいたら、それはそれでいいかなって思ったんです」(同書より)
自然にグレイヘアに移行するには、美容室でのヘアカラーをやめて、自宅でのカラートリートメントに変え、そのトリートメントもやめて少しずつ色抜けさせる方法がオススメだとか。りさねーぜさんは半年ほどでグレイヘアに移行できました。
57歳、独身、家族は犬1匹と猫2匹

自分マインドを掘り起こして出てきたこたえは、「ペットとのびのび暮らせる空間」。確かに理想ではありますが、40代になり50代の足音が聞こえると、人生の終焉を視野に入れなくてはなりません。

1ヶ月の生活費は、合計23万円

ちなみに、りさねーぜさんの1ヶ月の生活費は、合計23万円。食費4万円、ペット費5万円、交際費・娯楽費2万円など、固定費を見なおし、削れるところは削っていますが、健康に関しては妥協しません。
かろやかで気ままなおひとりさまですが、心身のケアも自己責任。体作りに欠かせないのが、バランスのいい食事。お野菜をたっぷり、お肉かお魚のたんぱく質も欠かさずに。味噌は手作りしているそうですが、一番大切にしているのが「おいしく食べること」。おいしい!の感覚も、もちろん自分マインドです。
心を整えてくれるSNS
ネガティブな話題も飛び交うSNSですが、りさねーぜさんにとってSNSは「ひとつの居場所」。XにFacebook、Instagramなど形態はさまざまですが、発信するたびにあたたかいコメントやメッセージが届くといいます。年齢も距離も関係なく、見知らぬ誰かと世界がつながり、そして広がっていく。りさねーぜさんが誰かにパワーや気づきを与え、りさねーぜさん自身もまた、誰かから癒しや励ましをいただいているのでしょう。ポジティブな循環が、心を整えることにつながっているのかもしれません。
健康は、身体だけでなく心の安定あってこそ。好きなこと、好きなもの、50代までに培ってきた経験を前向きに配信して、やがていい具合の流れができていく。その循環を仕事につなげるまで、そう時間はかかりませんでした。
おひとりさまの可能性を仕事に

47歳で一軒家を建ててからの決断は、傍から見ても勇気があると感心しますが、反面、他人事ながら心配にもなります。でも、新たな生き方を構築して、他人ではなく自分が納得する幸せをつかむためには、躊躇なく切り捨てるのも必要なのです。
ここでも、「ないもの」ではなく、SNSや守るべきペット達、家、自分のご機嫌、等々、「あるもの」に目を向けて、愛していく。これが、りさねーぜさんだけの正解なのです。
「高齢化社会」は私たちの世代
かくいう私も50代、「もう年だから」と、つぶやいた瞬間、さらに年を取ってしまう気がします。長寿社会の今、40代や50代で、ずっとやりたかった本当の生き方にシフトチェンジしてもいいと思うのです。もちろんそこには、自分を信じる力と行動力と勇気が必要。でも、扉をあけて踏み出した世界にはきっと、求めていたあなただけのハッピーがあるはずです。
<文/森美樹>
【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx