「【きょう】も【たの】しかったかな? 【て】を【あら】って、おやつをどうぞ!! 【れい】ぞうこにイチゴとバナナを【き】って、お皿にいれてます。

※それぞれ、【】内が出題した漢字。
これまた、手の込んだことを……。頭が良いママじゃなければ出題なんてできないだろうし、なによりも母の愛を感じます。
どうしてこのようなことを始めたのか、トリッシュさんに話を聞きました!
父の頭髪に関する漢字問題も
トリッシュさんが自作の漢字ドリル、その名も「ママドリル」を始めたのは2022年7月から。当時、小学2年生だった長女の様子を心配したことがきっかけでした。「長女が漢字を覚えることを苦手そうにしていたので、『夏休み中、市販の問題集を買うからやってみようか?』と話を持ちかけたてみたんです。でも、『学校のプリントやドリルがなんだかつまらないと感じるのは、機械が書いたようなあの印刷の文字が嫌いだからなの。売っている問題集も一緒だから、解きたい気持ちにはならない!』と言われました。要するに、学校の宿題は仕方なくやるけど、それ以上はやりたくないと(苦笑)。
私もその気持ちは痛いほどわかったのですが、こちらも売り言葉に買い言葉で『じゃあ、ママがつくった問題なら、ママの文字で書かれた問題だったら解くのね?』と言ってしまいまして(笑)。
つくると言ったからには『読みたくなるような問題を!』と、身の周りのエピソードを交えた身内ネタ満載の穴埋めドリルを考えるようにしています」
たしかに、身内ネタ満載でした。ある問題文をよく読むと、パパとおじいちゃんの私生活が赤裸々です。


頭髪の悩みとパチンコ癖をドリルにされる家族。
高学年になるほど問題作成は簡単
問題文はおもしろいですが、ママが漢字ドリルをつくるだなんてやっぱりすごいことだと思います。教育熱心! トリッシュさんは子どもたちが勉強するよう、今までかなり試行錯誤してきたのでしょうか?「子どもたちに『勉強をしなさい』と言ったことは、今まで一度もありません。子どもの頃、私も言われたくなかったので……」
ただ、漢字ドリルをつくるということはドリルをつくれるほどの漢字知識を持っているということです。トリッシュさんは漢字がお得意なんでしょうか?
「漢検などは持っていませんし、さほど漢字は得意ではありません。小学校で習う漢字くらいは全部覚えておきたいな、という程度です。最近は、ど忘れがひどいですが……(笑)。
ただ、漢字にはその由来や意味が込められているものが多く、そこが美しいからとても好きです。だから、武田鉄矢さんが『3年B組金八先生』で言っていた『人という字は……』『親という字は……』なんて話も大好きです(笑)」
ちなみにトリッシュさんの3人のお子さんは、それぞれ長女:10歳(小5)、長男:8歳(小3)、次女:6歳(小1)という年齢だそう。やはり、高学年になればなるほど漢字問題をつくるのは大変そうですけど……。
「学年が上がるごとにたくさんの漢字を出題できますから、高学年の問題をつくるほうが簡単ですよ!」
おもしろい漢字穴埋め問題6選
ところで、「ママドリル」で出題する漢字はどのように選んでいるのでしょうか?「学校から持ち帰ってきたテストを見て決めています。子どもたちがテストで間違っていた漢字、本人が覚えにくそうにしている漢字を拾ってはメモしておき、その漢字を使った問題を考えています」
そんな努力の末に考案された漢字穴埋め問題、特に以下の6つがトリッシュさんのお気に入りです!
①いつも【元気】な【店長】さん、【店】から【出】たら、【気配】が消える。
②「【一万円】では【足】りなかった。」と【言】う、じいじ74歳の病院代は、【百八十円】。「【何】でウソつくの?」と【切】れる、ばあば69歳。
③【田村】さんは【町内会長】。
④【家】の【中】で【草】を拾ったら、バッタの【足】だった。
⑤うでを【組】んで、仁【王立】ちをしている【弟】は、【何】を【考】えているか全くわからないけど、とにかくパンツをはいて【下】さい。
⑥【店】の【前】につながれた【犬】、だいたいさみしそう。
※【】内が出題された漢字

子どもたちの成績は上がったのか?
ママドリルを始めてから、子どもたちの成績は上がりましたか?「ママドリルは楽しく漢字を覚えることができますが……それが全体的な成績アップに直結するかといえばそうでもないみたいで、やっぱり私の子どもたちだなという気がしました(笑)」
でも、これだけ楽しいママドリルです。率先して漢字を勉強するようにはなったのでは?
「自ら勉強する姿、それもごく稀でして……。『やっぱり私の子だわ!』と実感しております(笑)。でも、私の出した問題文を読んで笑いながら解いている姿はとてもうれしいです! 子どもたちも、自分のことや家族のこと、体験したことがいろんな問題になっているので『これならわからない漢字があっても楽しい』と言ってくれています。あと、身近なエピソードとセットで漢字を覚えるので、頭に定着しやすいみたいです」
勉強が楽しくなったようで、なにより! そういう変化が見られたならば、漢字以外のドリルをつくってもよさそうです。
「実は、すでに漢字以外のドリルもつくっています。簡単な計算問題を書いたドリル、ひらがなやカタカナを覚えるドリルも作成しました。ただ、今後は子どもたちもドンドン成長していきますから、これから私がつくるとしても小学校で習う程度の漢字ドリルくらいだと思います」

「あと、これはひそかな夢のような話ですが……アラフォーもしくはアラフィフ以降向けの『あるある漢字ドリル』など、大人向けのドリルを手書きでつくって、いつかkindleで販売してみたいなあと思っています。くすっと笑える自虐ネタなどを漢字を交えて問題にしたらきっと楽しそうだなあ、なんて考えています(笑)」
もしも商品化されたときは、買いたいです! 普段からパソコンばかりで、漢字力がめっきり衰えているのを自覚しているので……。アラフォー、アラフィフにこそ、「ママドリル」はうってつけかもしれません。
<取材・文/寺西ジャジューカ>