フォロワーから「食べられない!」という反応が多数寄せられたのは、その名も『パンダおにぎり』です!
具材や盛りつけを工夫し、動物や歴史上の人物などをおにぎりで表現する「おにぎりアート」のアーティストである、おにぎり劇場さん。
なぜ、このような活動を始めたのか? 今まで、どんな作品をつくってきたのか? そして、『パンダおにぎり』の具体的なつくり方について……などなど、気になることをご本人に聞いてみました!
“おにぎりアーティスト”になったきっかけ
「おにぎりアート」を製作・発表するようになったきっかけを聞きました。「2019年10月におにぎりのコンテストがあることを知り、それに応募したことをきっかけに『おにぎりアート』に目覚めました。コンテストの結果はダメでしたが、そのときにつくったおにぎりをSNSに投稿してみたところ思った以上に反響があったんです。それで『おにぎりアートをつくり続けてみようかな』と思い立ち、今に至ります。『おにぎりアート』をつくり始めて、かれこれ5年経ちました」
実は美術系の大学出身という経歴を持ち、お子さまのキャラ弁づくりを通じて食材デコレーションのスキルはすでに身につけていたおにぎり劇場さん。なるほど、“おにぎりアーティスト”になるべくしてなった感がありますね。
そんなおにぎり劇場さんが最初につくった「おにぎりアート」は、ボール型のゴマフアザラシ。コンテストに応募した作品のうちの一つです。

「おにぎりは昔から好きです。ただ、初めてのアルバイト先はパン屋さんでした」
パンダの体つきに似せるのは難しい
今回の『パンダおにぎり』は大きな反響を呼んでいますが、パンダをモチーフにした理由を教えてください。「パンダは人気者なので、今までさまざまなパンダのおにぎりをつくってきました。

【つくり方】(ごはんの量:お茶碗に軽く2杯分)
①ラップに塩を振り、ごはんを広げてお好みで具を乗せて、包み込んで丸める
②パンダの上半身の形をつくる。ラップをはずして耳を付ける
③細く切った海苔で口をつくり、黒ごまで目をつくる。黒ねりごまで鼻、耳、目の周りを塗る
④器に8分目くらいまでごはんを平らになるように詰める。その上にパンダの上半身を乗せ、手を器に乗せる
⑤手と胴体に黒ねりごまを塗ることで黒い体毛を表現。完成!
(製作時間は1時間くらい)
「今まで何度かパンダをつくってきましたが、体の形の再現が非常に難しくて、どうしてもうまくいきませんでした。そこで今回は、頭から背中に向かって丸いラインを描き、どっしりした体つきになるよう意識をしました。また、丸みが感じられるように耳の位置や大きさを調整する点にもこだわっています」
たしかに、丸みを感じさせるフォルムはより一層の愛らしさを感じさせます。だからこそ、食べるのに躊躇してしまうのですが……。ところでXで発信した後、この『パンダおにぎり』はどうなったんでしょうか。
「もちろん、おいしくいただきました」
具はなるべく入れる
今回の作品に限らず、「おにぎりアート」を製作するなかで気をつけていること、こだわっている点を教えてください。「完成した状態からはわかりづらいですが、なるべくおにぎりの具を入れるようにしています。具を入れることで隙間ができたり具の水分が滲み出したりすると、おにぎりの強度はやっぱり落ちます。
しかし、『おにぎり』といえば具も楽しみのひとつ! そこにたどり着いたときの幸福感も味わいたいので、具はなるべく入れるようにしています。ただ、表面に味の濃いものを使うときは具を入れていません」
ちなみに、今まで発表した「おにぎりアート」で特にお気に入りの作品はどれですか?
「『信楽焼たぬき』は、全体的にうまくいっていると思うのでお気に入りです。お顔が可愛いですし、ねりごまの艶感は陶器っぽいし、寿司揚げは傘にぴったりでした」

信楽焼をおにぎりで再現するだなんて、着眼点がおもしろい! ほかにも、おにぎり劇場さんは驚きのおにぎりを多数発表してきています。
たとえば、ニンゲンに心を許さない野良猫集団『やさぐれ会』のおにぎりは、猫それぞれの伏し目がちな目の角度が“やさぐれ感”を漂わせていました。

モチーフにするのは動物だけじゃない!
モチーフにするのは動物だけじゃありません。ときには、織田信長を模した「おにぎりアート」も。
はたまた、唐突にさんまの塩焼きに挑戦することも……いえ、違います。すべて、お米でつくられているんです。さんまの塩焼きを模した『秋刀魚の塩焼きおにぎり』は、我々の度肝を抜きました!

こうした「おにぎりアート」のモチーフは、どのように選んでいるのでしょうか?
「まず、なによりごはんと具材で再現できそうな色と形を持ち合わせたモチーフを選ぶようにしています。あとは、形に安定感があって『表現できそう』と思ったもの。
また、その時期の季節に合ったものや流行のなかから探したりもします。
たしかに、今年1月には雪男・イエティをモチーフにした『イエティおにぎり』を発表していましたしね。季節に合っているし、インパクトもすごいです!

<取材・文/寺西ジャジューカ>