声優の土屋神葉さん(29歳)が、鬼伝説の町・愛媛県の「鬼北町」を舞台にした映画『鬼ベラシ』に出演。人間と鬼の混血“鬼女”たちが国家による根絶の施策に逆らい、壮絶なサバイバルを繰り広げるエンターテイメント作品です。


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 土屋さんは話題作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』のシュウジ・イトウ役など、本業の声優として活躍する一方、ある想いから本作のような映像作品に出演したかったと明かします。

 芸能活動を始めて10年、来たる30代を前に決意を新たにする土屋さんに、いろいろな話を聞きました。

いざ台本を開いて「え? 殺し合うの?」

「本当に頑張ったなと…」土屋神葉が“有名女優の姉“への想いを明かす。20代最後の1年への意気込みも
©2025『鬼ベラシ』製作委員会
――今回の『鬼ベラシ』、出演が決まった時はいかがでしたか?

土屋神葉(以下、土屋):フリーになって2年ほど経つのですが、僕は声優業を中心に置きながらも、さまざまな表現活動をしていきたいと思っています。舞台はこれまで出会った作品から新しいご縁に恵まれているのですが、映像はなかなか出演のチャンスに出会うことができず、壁を感じていました。

そのため、今回のお話をいただいた時は、とても嬉しかったです。さまざまなことに挑戦できる一つのきっかけになればという想いもあり、感謝の気持ちでいっぱいでした。

――その念願のお仕事はいかがでしたか?

土屋:『鬼ベラシ』はタイトなスケジュールに加え、かなりの長いシーンをワンカットで撮影しており、どことなく舞台に近い感じがありました。現場はアットホームでホッとしましたが、斧やナタに血糊が付いているのを見た時は、鬼の世界観に圧倒されました(笑)。

――鬼同士が生き残りを賭けて戦うストーリーということで、激しいバトルも見ものですよね。

土屋:実は、平和な話を予想していたんです。でも、いざ台本を開いてみたら「え? 殺し合うの?」みたいな感じで、驚きました(笑)。配役が決まる前に台本を読んだので、どの役が自分に決まるかなと想像しながら読みました。

ずばり、配役は予想どおりでした! もともとアクション部出身ではあるので、桃乃助もやってみたいと思ったのですが、年齢的なものもあり、案の定、会話劇の担当でした(笑)。
今は、完成した映像を早く観ていただきたいという気持ちでいっぱいです。

「お芝居が上手くなりたい」とばかり考えている

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土屋神葉
――演じた羽柴拓也というキャラクターについては、どのように理解して演じましたか?

土屋:基本的には助っ人キャラなので、達観しながらものを言えるようなイメージでした。見た目はそうは見えないかもしれないけれど、実は正義感や熱さがある人物で、そこのギャップが面白いなと思いました。冷静で、熱い、そして優しい内面が、映像に出せればいいなと思って演じていました。

――今回の作品を経て、改めて想いを新たにしたことはありましたか?

土屋:お芝居が上手くなりたいですね。お芝居が上手くなれば、そのパフォーマンスを通して、観てくださった方の心により近づける可能性を秘めているのではないかと感じています。自分のお芝居を通して、今まで遠い存在だった誰かの心情に想いを馳せてみようと思うきっかけになれば嬉しいです。そのためには多くの人たちに共感してもらえる表現力が必要です。だから、お芝居が上手くなりたい。そのことばかりを考えています。

姉の活躍は「心の底からすごい」

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土屋神葉
――この作品の公開とちょうど時を同じくして『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』のシュウジ・イトウ役も話題となり、先行の劇場版ではアンバサダーも務められました。大活躍の現況についてはどう受け止めていますか?

土屋:僕自身エンタメが大好きなのですが、すべてが自分の仕事に帰結するんですよね。なので、お芝居が本当に趣味なのかもしれない。もちろん、苦しいときもあります。
オーダーに応えきれず上手くできなかったり。

みなさんのいろいろな趣味のひとつにエンタメがあるとすれば、それを届ける人間のマインドとしては、仕事の責任感はあれど「100パーセント趣味です!」というスタンスでいたい。そうありたいなとは思います。

――お姉さんの土屋炎伽さん、土屋太鳳さんの活躍はどうみていらっしゃいますか?

土屋:僕が役者を始めようと思って劇団に入った年が、2015年なんです。ちょうど、朝ドラの『まれ』(主演:土屋太鳳)の放送中でした。僕は4月に大学の寮に入り、毎朝ご飯を作りながら『まれ』を心の底から凄いなぁと思って観ていました。姉の葛藤や踏ん張っている姿を側で見ていたので、テレビや広告で姿を観ると、本当によかったな、頑張ったなと、見守っている感じでしたね。

――お互いに頑張って過ごした10年間みたいなことですよね。

土屋:分野は違えど、2015年から振り返ると姉弟3人ともご縁に恵まれながらも奮闘していると思います。太鳳は太鳳として常に頑張っていて、一番上の姉の炎伽は、チアと社会人というスタイルから、チアとタレントという新たなスタイルに挑戦しています。ある日TVを付けたら、アパマンショップさんのCMに、姉2人が出演していて、大混乱したことも(笑)。そんな今の状況を感謝しながら楽しんでいます。


20代最後の一年「大前提は今を大切にすること」

「本当に頑張ったなと…」土屋神葉が“有名女優の姉“への想いを明かす。20代最後の1年への意気込みも
土屋神葉
――今年20代最後の一年となりましたが、新しい目標を掲げていますか?

土屋:僕は25歳の時に劇団を辞めたのですが、その時に30歳までの5年間で達成したい目標を書いたんです。たまたま「ガンダムに乗る」と書いていました。ほかにも書いていたことはあるのですが、30代になったら、これまで見てきた先輩方の立ち居ふるまいをできるかぎり自分でも体現したいと思っています。

たとえば、ある座組の中でメインを張る若手がいたとしたら、それを支える中堅の30代がいる。その時、主演の若手が孤立しないように声をかけたり、必要があればディレクターとの間を取り持つ。そんな素敵な先輩を見てきたので、自分もそういう立場になれるように、また、そういう立場でいられる実力もつけていきたいと思っています。

――ガンダムの目標、叶えていてすごいですね! ちなみに次の夢は書いているのですか?

土屋:あります! ですが、かなり具体的なのでここでは控えさせていただきます(笑)。30歳までにあと一年間あるので、30~35歳までの目標をなんとなく考えようかなと思っているところです。しかし大前提は今を大切にすることです。今取り組んでいる作品や、向き合うべき台詞に、どのくらい真摯にいられるかが、30代から先の俳優人生に大きな影響を及ぼすのではないかと思っているので、最善を尽くしていきたいと思います。

<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>

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土屋神葉


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『鬼ベラシ』


【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。
故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。
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