新卒から18年半、テレビ朝日のアナウンサーとして、報道、スポーツ、バラエティなど多岐にわたる番組を担当してきた大木優紀さん(44歳)。
40歳を超えてから、スタートアップ企業である「令和トラベル」に転職。
プライベートでは、小学生2人の母として子育てにも奮闘中。まさに、仕事と家庭を両立させる“等身大のワーキングマザー”です。
本連載もいよいよ第4回。今回は、そんな大木さんが忙しい日々のなかで「バランスを取るために手放したこと」にフォーカスし、働き方と生き方に込めた想いを深掘りしていきます。
思い返せば、独身時代や子どもがいないころは、どんなに忙しくても、家に帰ればそのままダラっと休めたし、休みの日にはふらっと旅行に出かけたり、趣味に没頭したり。やることは多くてもすべて「自分のため」に時間を使えていたなと思うんです。
当時はそれはそれで必死でしたが、振り返ってみると、自分の成長や達成感に向き合っていればよかったあの日々って「人生の贅沢タイム」だったのかもしれません。
でも、子どもが生まれて家庭を持つと、住む場所もお金の使い方もすべて子ども中心で、「自分がどうしたいか」より「家族としてどうするか」と考えるようになります。
それは、とても幸せなことではあるんですが、少しずつ自分の自由ややりたいことが削られていくような感覚。これはもう、働くママやパパに共通するリアルな悩みではないでしょうか。
そんななかで、私がたどり着いたのは、「何をするか」ではなく「何をやめるか」を決めることでした。
今日は、私が日々の暮らしを少しでもラクに、心地よくするために、私が「やめたこと」を3つご紹介します。
やめたこと、ひとつ目は「朝の準備時間」です。
実はこれ、アナウンサー時代に身につけたライフスタイル。数年間、早朝番組を担当していた私は、夜中の2時に自宅にお迎えが来るので、1時50分に目覚ましで起床という生活を送っていました。
そこから10分で、顔を洗って、着替えて、水だけ飲んで出発。
当然、洋服のコーディネートを楽しんでいる余裕なんてありません。当時はまだ今のように「パーソナルカラー診断」はここまで一般的ではありませんでしたが、番組のスタイリストさんに相談し、肌色に合う服だけを残して、いらない洋服を手放すこと。朝に迷う選択肢をなくしたんです。
この体験を通して気づいたのは、「朝に準備するという行為そのものが、時間を無駄にしている」ということでした。準備時間を削ると、1日のスタートが驚くほどスムーズで、時間を得た感覚になったんです。
この習慣は、今でも我が家の朝の基本スタイルになっています。
家族全員、6時20分に一斉にガバっと起床。
その間に私は着替えを済ませて、子どもたちは食べ終わった食器を自分で水に浸け、夫がパーッと洗い物をします。6時50分には家族で家を出発しています。起きてから家を出るまで30分。7時過ぎにはオフィスに到着して、しっかりワークタイムを確保できています。
ちなみに、お恥ずかしながら、メイクはアナウンサー時代の悪しき習慣で、今も会社に着いてから。まだ誰もいないオフィスでお茶を飲んで、メールをチェックしながらゆっくりメイクをして、というのが私のルーティンになっています。
朝はとにかく「準備時間を圧縮しスムーズに動きだす」ことを意識しています。
続いてやめたこと、ふたつ目は、料理です。
20代のころ、やや料理好きを“アピール”していたんですが、あのときの私に言ってやりたいです。「お前の料理好きはまやかしだ!」と(笑)。
主婦になってわかったんですが、お料理って、やる・やらない以前に日々生きるために、そして子どもを生かすために、やらなきゃいけないこと。それでも好きだと思えたときにやっと「料理が好き」と言えるものなんだなと。
前回の記事で、オーストラリアに母子でホームステイしたお話をしたんですが、そのとき、大皿料理で一品だけ、食卓に出すスタイルを見て、「あ、これでいいんだ」と気がラクになりました。それから、私は料理に対するハードルを下げることにしました。
実は、我が家では先日、ついに、夕飯に焼きうどんを解禁しました。
専業主婦だった私の母は、焼きうどんは週末のランチには出しても、夕飯には出しませんでした。それもあり、「焼きうどんはランチまで」となんとなく思い込んでいて、夕飯のメニューとすることに抵抗があったんです。
でも先日ついに、もう疲れたからと今日は焼きうどんでいいやと作って出したら息子がすごく喜んでくれて。なんだ、これでいいんだと思ったんです。
ちなみに、私は、夫がいない晩には、焼きうどん同様、オムライスも解禁しちゃいました。素麺とお好み焼きは、まだ躊躇しています(笑)。皆さんは、どこまでのメニューを夕飯のオーケーラインとしていますか? よかったら、コメントいただけると嬉しいです!
正確に言うと、水回り(特にお風呂・トイレ)の掃除とシーツ替えを、やめました。
もう10年も前になるんですが、長女を出産し、仕事復帰を控え、初めて家事代行を利用したんです。当時、2時間で5000円ほど。ちょっと高いかなと思いつつ、試してみたら、もう感動しました。
長女を連れて公園で遊んで帰ったら、家の中はすべて掃除され、水回りはピカピカで、ベッドには洗い立てのシーツが。その感動が忘れられず、今に至るまで、週に一度、定期的にお願いしています。
それ以外は、基本的には、お掃除ロボットと簡単な片付けや掃除のみ。
こうしていくつかの「やめる選択」をしたことで、子どもの話をゆっくり聞いてあげられる時間も増えましたし、宿題をみる余裕も生まれました。
働きながら母親をやるって、本当に大変なことだと思います。
「よき母親とはこうあるべき」という目に見えない理想像に縛られて、自分の時間や心の余裕を削りながら、その理想像に近づこうとする。
でも、そもそも「よき母親像」って誰が決めたことなのか。というのを私自身も最近感じているところです。
みなさんが「やめたこと」は何でしょうか。もっとやめたことあるよという方も、ぜひ教えていただきたいです!
母親だから、妻だからと、会社員だから……と足し算のように役割を増やしていくのではなくて、私たちに必要なのは、全部をやろうとしないという「やめる勇気」なのかもしれません。
<文/大木優紀>
【大木優紀】
1980年生まれ。2003年にテレビ朝日に入社し、アナウンサーとして報道情報、スポーツ、バラエティーと幅広く担当。21年末に退社し、令和トラベルに転職。旅行アプリ『NEWT(ニュート)』のPRに奮闘中。
40歳を超えてから、スタートアップ企業である「令和トラベル」に転職。
現在は、令和トラベルが運営する旅行アプリ『NEWT(ニュート)』の広報、まさに「会社の顔」として活躍中です。
プライベートでは、小学生2人の母として子育てにも奮闘中。まさに、仕事と家庭を両立させる“等身大のワーキングマザー”です。
本連載もいよいよ第4回。今回は、そんな大木さんが忙しい日々のなかで「バランスを取るために手放したこと」にフォーカスし、働き方と生き方に込めた想いを深掘りしていきます。
仕事と子育てをしながら、自由や余白をどう作る?
家庭と仕事を両立させることって、「幸せ」と引き換えに「自由」や「余白」を奪われているような、そんな感覚になることありませんか?思い返せば、独身時代や子どもがいないころは、どんなに忙しくても、家に帰ればそのままダラっと休めたし、休みの日にはふらっと旅行に出かけたり、趣味に没頭したり。やることは多くてもすべて「自分のため」に時間を使えていたなと思うんです。
当時はそれはそれで必死でしたが、振り返ってみると、自分の成長や達成感に向き合っていればよかったあの日々って「人生の贅沢タイム」だったのかもしれません。
でも、子どもが生まれて家庭を持つと、住む場所もお金の使い方もすべて子ども中心で、「自分がどうしたいか」より「家族としてどうするか」と考えるようになります。
それは、とても幸せなことではあるんですが、少しずつ自分の自由ややりたいことが削られていくような感覚。これはもう、働くママやパパに共通するリアルな悩みではないでしょうか。
そんななかで、私がたどり着いたのは、「何をするか」ではなく「何をやめるか」を決めることでした。
今日は、私が日々の暮らしを少しでもラクに、心地よくするために、私が「やめたこと」を3つご紹介します。
やめたこと①:朝の準備時間。極限まで削っています

大木優紀
実はこれ、アナウンサー時代に身につけたライフスタイル。数年間、早朝番組を担当していた私は、夜中の2時に自宅にお迎えが来るので、1時50分に目覚ましで起床という生活を送っていました。
そこから10分で、顔を洗って、着替えて、水だけ飲んで出発。
当然、洋服のコーディネートを楽しんでいる余裕なんてありません。当時はまだ今のように「パーソナルカラー診断」はここまで一般的ではありませんでしたが、番組のスタイリストさんに相談し、肌色に合う服だけを残して、いらない洋服を手放すこと。朝に迷う選択肢をなくしたんです。
この体験を通して気づいたのは、「朝に準備するという行為そのものが、時間を無駄にしている」ということでした。準備時間を削ると、1日のスタートが驚くほどスムーズで、時間を得た感覚になったんです。
この習慣は、今でも我が家の朝の基本スタイルになっています。
家族全員、6時20分に一斉にガバっと起床。
そこからはパズルのように夫とタスクを分担しています。私は卵料理とごはんやパンをバッと準備し、夫はヨーグルトとフルーツを用意。子どもたちが着替え終わって食卓にたどりつくころには、朝ごはんがすぐ食べられる状態になっています。
その間に私は着替えを済ませて、子どもたちは食べ終わった食器を自分で水に浸け、夫がパーッと洗い物をします。6時50分には家族で家を出発しています。起きてから家を出るまで30分。7時過ぎにはオフィスに到着して、しっかりワークタイムを確保できています。
ちなみに、お恥ずかしながら、メイクはアナウンサー時代の悪しき習慣で、今も会社に着いてから。まだ誰もいないオフィスでお茶を飲んで、メールをチェックしながらゆっくりメイクをして、というのが私のルーティンになっています。
朝はとにかく「準備時間を圧縮しスムーズに動きだす」ことを意識しています。
やめたこと②:料理。一汁三菜の呪縛からの解放

大木優紀
一汁三菜の呪縛から解放されました。
20代のころ、やや料理好きを“アピール”していたんですが、あのときの私に言ってやりたいです。「お前の料理好きはまやかしだ!」と(笑)。
主婦になってわかったんですが、お料理って、やる・やらない以前に日々生きるために、そして子どもを生かすために、やらなきゃいけないこと。それでも好きだと思えたときにやっと「料理が好き」と言えるものなんだなと。
前回の記事で、オーストラリアに母子でホームステイしたお話をしたんですが、そのとき、大皿料理で一品だけ、食卓に出すスタイルを見て、「あ、これでいいんだ」と気がラクになりました。それから、私は料理に対するハードルを下げることにしました。
実は、我が家では先日、ついに、夕飯に焼きうどんを解禁しました。
専業主婦だった私の母は、焼きうどんは週末のランチには出しても、夕飯には出しませんでした。それもあり、「焼きうどんはランチまで」となんとなく思い込んでいて、夕飯のメニューとすることに抵抗があったんです。
でも先日ついに、もう疲れたからと今日は焼きうどんでいいやと作って出したら息子がすごく喜んでくれて。なんだ、これでいいんだと思ったんです。
そうやって一汁三菜にこだわることをやめることで、心の余裕を手に入れることに成功しました。
ちなみに、私は、夫がいない晩には、焼きうどん同様、オムライスも解禁しちゃいました。素麺とお好み焼きは、まだ躊躇しています(笑)。皆さんは、どこまでのメニューを夕飯のオーケーラインとしていますか? よかったら、コメントいただけると嬉しいです!
やめたこと③:掃除。思いきって、家事代行に頼る
そして、もうひとつ、やめたことはお掃除です。正確に言うと、水回り(特にお風呂・トイレ)の掃除とシーツ替えを、やめました。
もう10年も前になるんですが、長女を出産し、仕事復帰を控え、初めて家事代行を利用したんです。当時、2時間で5000円ほど。ちょっと高いかなと思いつつ、試してみたら、もう感動しました。
長女を連れて公園で遊んで帰ったら、家の中はすべて掃除され、水回りはピカピカで、ベッドには洗い立てのシーツが。その感動が忘れられず、今に至るまで、週に一度、定期的にお願いしています。
それ以外は、基本的には、お掃除ロボットと簡単な片付けや掃除のみ。
水回りのしっかりとした掃除とシーツ替えから解放されたことが、心にも時間にも大きな余白を与えてくれました。
大切なのは「やめる勇気」を持つことだった

大木優紀
働きながら母親をやるって、本当に大変なことだと思います。
「よき母親とはこうあるべき」という目に見えない理想像に縛られて、自分の時間や心の余裕を削りながら、その理想像に近づこうとする。
でも、そもそも「よき母親像」って誰が決めたことなのか。というのを私自身も最近感じているところです。
みなさんが「やめたこと」は何でしょうか。もっとやめたことあるよという方も、ぜひ教えていただきたいです!
母親だから、妻だからと、会社員だから……と足し算のように役割を増やしていくのではなくて、私たちに必要なのは、全部をやろうとしないという「やめる勇気」なのかもしれません。
<文/大木優紀>
【大木優紀】
1980年生まれ。2003年にテレビ朝日に入社し、アナウンサーとして報道情報、スポーツ、バラエティーと幅広く担当。21年末に退社し、令和トラベルに転職。旅行アプリ『NEWT(ニュート)』のPRに奮闘中。
2児の母
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