これはスロージョギングの提唱者で生理学者、故・田中宏暁教授の言葉です。理屈はわかるけれどジョギングなんて無理! と思ったのは私だけではないですよね。
筋肉量90歳からのリベンジ
運動が苦手でデスクワーカーのまきさんの筋肉量は、なんと90歳レベル。40代で早期閉経を迎えたあとの測定でそう告げられたそうで、凹んでしまうのも納得です。医師に推奨されたのは、「1日8000歩を歩くこと」。まきさんも努力を重ねましたが、思うように成果が出ない日々。そんな時に出会ったのが、スロージョギングでした。
























スロージョギングって何?
スロージョギングとは、疲れない走り方。ジョギング=疲れる、というイメージを覆す、スロージョギングの基本を本書から抜粋してみました。1. 足の指の付け根で着地する
腰から下肢全体の衝撃を和らげてくれるフォアフット着地で、怪我を予防します。
2. 歩幅は20㎝~30㎝からスタート
自分の体型や体力に合わせて、少しずつ広げていく。
3.時速3~5㎞のニコニコペースで走る
息切れ一歩手前、疲れないスピードで走る。
4. 口を開け、呼吸は自然にまかせる
5. 顎を軽く上げて、視線は遠方に
通常、走ってから着地させる足は「かかと」になると思います。しかしスロージョギングでは「足の指の付け根部分」で着地させるのです。
疲れないから無理なく続く
「歩くスペースでゆっくり」「息が上がらないペースで走る」。そしてニコニコおしゃべりもできる、というのがスロージョギング。歩くように走る、というのはかえって難しいと思った私。実際にやってみたのですが、私個人の感覚としては、急がない小走りというのが近いです。歩幅も広くはないので、女性にはやりやすいのではないでしょうか。具体的には「1分間に180歩を目安にすると良い」とされています。
スローではありますが、ジョギングの定義は「歩く」ではなく「走る」です。さらに「走ることは歩く約2倍のエネルギー消費になるのです。
健康効果とダイエット効果はあるの?
疲労を感じない運動だと、健康やダイエットの効果は少ないのでは? と私はつい疑ってしまいました。でも同書によると、「走ると最大酸素摂取量がだんだんと増え、血行も良くなり各臓器もいきいきとして、安静時消費カロリーも増える」そうなんです。走る習慣で体が軽くなれば、筋肉がついて、自ずと活動的になるのです。
講師の松田拓朗先生よると、特に、一見太っていない人の「隠れ肥満」には効果的だとか。標準体重なのに体脂肪率が高く、お腹や太ももがボヨボヨした「隠れ肥満」の人は、筋肉をつけることで締まってくるのです。
ラクして元気!マラソン大会も夢じゃない
運動や筋トレの必要性を迫られながらも、自分に合った方法がわからない、時間がない、といった理由であきらめてしまう方も多いです。まきさんも、そんなひとりだったのです。スロージョギングを取り入れてから、まきさんの生活は豊かになりました。仕事や家事の合間に、週に2、3度、1~2㎞スロージョギング。じょじょに体力がアップしてくると、純粋な欲がわいてきます。そう、マラソン大会出場!
エントリーしたのは7㎞の部。ここまで順調に進んできたまきさんですが、7㎞完走の道はいかに?
年齢やメンタルの壁にプチ挫折しながらも、その先にある爽快感を知っているから、まきさんは今日も走ります。読み終えたあと、必ずゆるっと走り出したくなる、そんな前向きな一冊です。
<文/森美樹>
【森美樹】
小説家、タロット占い師。