「片目であるがゆえにできないことはありません。狭いところも勢いよくスポンと入るし、高いところもピョンピョン登ります。
そう話すfeelingoodsさん(@feelingoods1)の愛猫ドンチッチちゃん(通称:どんちゃん)は、お気に入りの猫じゃらしを咥えながらふみふみするというユニークな癖を持つ子。
出会いは、2018年6月14日。午前4時頃、飲食店で飲み終えた旦那さんは帰宅中、子猫の鳴き声を耳にしました。
飲みの帰り道に「泣き叫ぶ子猫」と出会って…

懸命に声を振り絞っていた子猫は抱き上げた途端、静かになり、安心したかのように眠り始めました。
月齢は生後2~3週間ほどで、体重はわずか300g。右目は潰れて開かず、左目は眼球が飛び出ていました。
子猫は、モゾモゾと動く程度。とても衰弱しているように見えたため、夫婦はすぐに救急動物病院へ。すぐに左目の眼球摘出手術が行われました。
子猫のお迎えを機に、ペット不可物件から引越し

ただ、当時住んでいた物件はペット不可だったため、早急にペット可の物件を探すことに。希望する条件に合う物件はなかなか見つかりませんでしたが、どんちゃんが2ヶ月半くらいの頃、ようやく希望に合う物件を発見。
家賃は4万円増えましたが、飼い主さんはようやくペット可物件を見つけられたことに安堵しました。
真っ白な被毛に愛しい「焦げ」が増えて

シャム系猫特有の被毛の変化は成長につれて顕著になっていき、1歳頃には背中にも焦げが。季節によって焦げ方が薄くなるなどのシャム系猫特有の被毛を、飼い主さんは興味深く観察し続けています。


闘病も経験し、今は穏やかな日常を過ごす

「その時はニャンタマに血が溜まり、腫れてしまったので血抜きのため、通院をしました」
また、お迎えから1年ほど経った2019年には「好酸球性肉芽腫」という病気に。この病気は、猫の皮膚や口腔にしこりや脱毛などの炎症が起きます。
どんちゃんの場合は、口周りが赤く腫れてしまいました。舐め壊し、全身が血だらけになることもあったため、術後服を着せ、皮膚を守りました。
なお、4歳の頃には飼い主さん家族と共に九州へ移住。きっかけは、コロナ禍で仕事がフルリモートでできるようになったこと。将来を考え、お互いの両親がいる地元へ戻ることにしたのです。
悩んだのは、移動手段。飛行機かフェリーのどちらにしようかと悩んだ末、選んだのは3人で一緒に移動できるフェリー。少しでも、どんちゃんに安心してほしいという思いからでした。
移動時間は、約1日。当日、どんちゃんはフェリー内でソワソワし、夜通し鳴き続けたそう。飼い主さんらは抱っこしながら、話しかけました。

リモートワークでより甘えん坊に!“恩人”のパパが特に大好き

「リモートワークになり、一緒にいる時間が長くなったことで、より甘えん坊に。特に好きなのは、パパです。トイレなどで一瞬いなくなるだけでも大きな声で鳴きます(笑)」
猫じゃらしを取ろうとすると、犬みたいに「ニャワンッ」と吠えるところもかわいい……。そう一挙一動を褒めているからか、どんちゃんは自分の名前が「かわいい」と勘違いしている節もあるのだとか。
「仕事で行き詰まったり、へこんだりしても、どんちゃんがいるだけで元気が出ます。どんちゃんと会えなかった人生を考えたら、寂しい。ベッドで一緒に寝ている時間は、本当に癒し。一緒に暮せなかったら味わえなかった幸せです」
限界な体で自ら声をあげて助けを求めた、どんちゃん。その勇気とたくましさで掴んだ「幸せな暮らし」が、これからも長く続きますように。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。