外出中に猫の声が聞こえて不思議に思っていたら、母親からの電話で実家猫が亡くなったことを知った――。そんな体験をしたのは、甘えんぼのあまさん(@nyankosoup)。
実家猫りょうちゃん(男の子)を迎えたのは、2023年5月31日のこと。りょうちゃんは猫白血病(FeLV)であることから、行き場を失っていた猫でした。
動物病院が預かっていた白血病の3兄弟を引き取った
りょうちゃんはもともと複数の猫たちと、どこかのおばあちゃん宅で暮らしていたそう。しかし、その方が亡くなり、猫たちの生活は激変。すぐに里親が決まった子もいましたが、りょうちゃんたち3兄弟は猫白血病キャリアであることから行き場を失い、動物病院へ預けられました。
そんな3兄弟を引き取ったのが、飼い主さん家族です。
「実家にはトイプードルがいましたが、犬に猫の白血病はうつらないと言われているので我が家に迎えました」
猫は、猫白血病ウイルスに感染して「猫白血病キャリア」になります。しかし、猫白血病ウイルスに感染したからといって必ずしも猫白血病が発症するわけではありません。「猫白血病キャリア」ではあるものの、症状が現れないまま天寿を全うする子もいます。
ところが、そうした事実やノンキャリアの子(健康な子)と暮らす中での注意点が広く知られていないことから、猫白血病キャリアの子は里親が決まりにくい現状があるのです。
兄弟猫を亡くしたことで人間に甘えるように
動物病院ではアイドル的存在だった、りょうちゃん。しかし、お迎え当初はまるで別ニャン。人には甘えず、兄弟猫にベッタリでした。
りょうちゃんは「されて嫌なこと」が少なく、被り物を着こなしたまま、普段通りに過ごすことも。

実家を出る直前に愛猫が「猫白血病」を発症
飼い主さんは2025年3月頃、実家を出て遠方で暮らし始めました。実はその頃、りょうちゃんは猫白血病を発症。闘病生活がスタートしていました。
猫白血は、現代の医学では完治が困難。りょうちゃんは、症状を和らげる薬を服用することになりました。

亡くなる直前に「お別れの挨拶」をしてくれた
しかし、発症から2ヶ月ほどで、りょうちゃんは虹の橋へ。亡くなる直前には最後の力を振り絞ったのか、不思議な現象を起こして遠方で暮らす飼い主さんに“お別れの挨拶”をしてくれました。
なお、りょうちゃんは先に旅立った兄弟猫よりも闘病中の苦しみが少なそうに見え、最期も誰より安らかだったそう。

遠方に住む飼い主さんは火葬に参列できなかったため、当日はりょうちゃんとの日々を振り返り、思いを馳せることで弔いました。

愛を注いだ猫が旅立つ時には、理屈では説明できない不思議な現象が起きることも多いもの。もしかしたら、猫という生き物は私たちが思っている以上に、人間を深く愛してくれているのかもしれません。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291