誰にでもコンプレックスの一つや二つはあると思います。皆さんも、それなりに悩んだり傷ついてきたのではないでしょうか?

 今回は、そんなコンプレックスを抱えながら婚活に向き合った女性のエピソードをご紹介しましょう。


「1回デートしたら音信不通」盛れた写真の弊害

 杉本千奈美さん(仮名・32歳/契約社員)はここ数年ご縁がなく彼氏がいなかったため思い切って婚活アプリを始めてみたそう。

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「なんとか数人の男性とマッチングできたのですが、1回デートをすると、なぜかその男性と音信不通になることが続いてしまって

 そして、千奈美さんはなんとなくその理由が分かっていました。

私は目が細いことがコンプレックスで、プロフィール写真をちょい盛り気味にしているんですよ。だからマッチングした男性が実物の私を見て『え? 写真と違うんだけど』と離れていくのかな? と感じていたんです」

 ですが盛れていない写真だとそもそもマッチングする確率が減り、いいね! してくる男性の層も変わってきてしまうと感じた千奈美さんは、どうしても盛れている写真のままが良く、変えられずにいました。

「そんなある日、私好みな松下洸平似のイケメンとマッチングすることができたんです。大輝さん(仮名)という35歳の会社員男性です。とてもスムーズにデートの約束までいくことができ胸が高鳴ったのですが……また今までみたいに私を一目見たらガッカリしてしまうのかな? と思うと怖かったですね」

精一杯コンプレックスを隠してデートへ

 そして精一杯おしゃれをして、カラコンとメイクで極力写真と差が出ないようにコンプレックスを封じ込めた千奈美さんは、大輝さんとのデートに挑みます。

「努力のかいあってか、大輝さんも楽しそうにしてくれて正直ホッとしました。しかも別れ際に『千奈美さんとは話していてとても楽しいし、ビックリするぐらい僕の好きな顔なので、この機会を逃したくないです。ぜひ僕とお付き合いすることを考えてみてください』と急展開を迎え、かなりドキドキしてしまいました」

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すっぴんを知らない彼氏
 こんなことは初めてだった千奈美さんはしばらく夢心地でしたが、一方で心配も。

顔が好きと言っても、大輝さんは私の素顔を知らないわけだし、このデカ目メイクの私を褒めてくれただけ。決して気は抜けない! とにかくある程度の関係を築き上げるまではこの顔をキープして、嫌われないように頑張るしかない! と気を引き締め直しました」

始まった「絶対にメイクを落とせない交際」

 そうして、大輝さんとのお付き合いがスタートしました。当時は真夏だったこともあり、デートの時は汗でメイクが崩れそうになる度にトイレに駆け込みお直しをしました。お泊りの時にお風呂に入っても、決してメイクは落とさなかったそう。

「もちろん大輝さんが寝るまでメイクは落としませんし、大輝さんより早く起きてメイクをほどこし、絶対にすっぴんは見せないように神経を尖らせまくって生活していましたね

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寝ている女性
 ですがそんなある日、仕事がとても忙しく疲れていた千奈美さんは……。


「その日は大輝さんが起きる時間になっても爆睡したまま起きられきなくて。あんなに死守してきたのに、ついにすっぴんを見られてしまったんですよ」

すっぴんを見た彼の「意外すぎる反応」

 千奈美さんが意識を取り戻し、ビックリ顔で覗き込んでいる大輝さんと目が合った瞬間「あ、終わった。この糸みたいに目の細い女、誰? 騙されたって絶対ドン引きしているに違いない……」と血の気が引き、とっさに正座をして罵倒される覚悟をしたそう。

「そしたら大輝さんが『可愛い~! 絶対にすっぴん可愛いだろうなって最初から思っていたけどやっぱりそうだった。ごめん、見られるの嫌かな? もちろん化粧した顔も綺麗で好きだよ。でも同じぐらいすっぴんも好き』と見たことのない弾ける笑顔で言ってくれて、肩の力が抜けてその場に崩れ落ちてしまいましたね」

大輝さんの「好みの女性」とは

 実は大輝さんは元々細い目の女性がタイプで、それが分かった千奈美さんはそれ以来自分に自信を持てるようになり、リラックスして大輝さんとの時間を過ごせるようになりました。

「今ではナチュラルメイクの自分も悪くないって思えるようになり幸せです。好きな人に褒めてもらえると気持ちも安定するし、何よりいちばん効果のある美容法なんじゃないでしょうか?」と微笑む千奈美さんなのでした。

<文・イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop
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