1987年、オーディションで映画『湘南爆走族』のヒロインに選ばれ、芸能界デビューした清水美砂さん(54歳)。

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『稲村ジェーン』『シコふんじゃった。
』『おこげ』『うなぎ』など、数多くの作品に出演してきた清水さんですが、デビューから2年の1989年には、NHK連続テレビ小説『青春家族』にてヒロインを務めています(いしだあゆみさんとのダブル主演)。

15歳の稲垣吾郎が泣いた日…54歳元“朝ドラヒロイン”が明かす真実
『囁きの河』①
現在は、2020年の熊本県豪雨被災から立ち上がろうとする人々を描いた映画『囁きの河』が公開中。そんな清水さんに、初期の代表作のひとつである、朝ドラに出演した当時のことを振り返ってもらいました。

街中で知らない人から「朝ドラ見てるわよ」と

――清水さんは10代のときに朝ドラ『青春家族』でヒロインを務められました。

清水美砂さん(以下、清水):そうですね。家族の物語で、いま見るとまたちょっと刺激があるような、当時としては珍しいタイプの作品でした。いわゆる女一代記ものではなくて、現代劇の家族もの。新たな作りでしたので、最初は「これは朝ドラにはちょっと斬新すぎじゃない?」という声もありました。

――そうなんですね。

清水:でもいしださんと(一家の父役の)橋爪功さんの演技が本当に面白くて、視聴率もどんどん良くなっていきました。

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清水美砂さん②
――朝ドラ出演後、反響や変化はありましたか?

清水:当時、私はバスでNHKに通っていました。その際、知らない方から「朝ドラ、見てるわよ」とよく声をかけていただきました。ただ、今は若い方も朝ドラを見るようになったと聞きますが、当時は今のように配信といったものなどがある時代ではなかったので、いつでもたくさんの方が見られる形ではありませんでした。


なので、声をかけてくださるのは、圧倒的に年配の方が多かったですね。

――当時、まだキャリア2年でした。撮影中、緊張はありましたか?

清水:それはありましたよ。だって橋爪さんにいしださんですよ。当時から私はいしださんの大ファンでしたし、いしださんの出てらっしゃる映画が本当に大好きでした。その方が役とはいえお母さんなんですから。

そして、「なあなあでお芝居するのは違う」と教えていただいたのがいしださんでした。ピリッとしましたし、ケンカもしました。

弟役は当時15歳の稲垣吾郎。「本当に可愛かった」

――弟役が。

清水:稲垣吾郎さんでした。当時はたしかSMAPが結成されたばかりの頃。
14歳とか15歳とか、それくらいでしたからね。お芝居も初めてという感じで。弟役でもありますし、本当に可愛かったです。打ち上げのときにも泣いちゃってね。「自分は踊りはイヤだけど、お芝居はやりたい」と話していました。

――それは! 楽しくて目覚めちゃったのかもしれませんね。

清水:吾郎さんの心の中のことは私には分かりませんけれど、ひょっとしたら、いしださんの前でいろいろお芝居をして、「自分もああいう風になりたい」と思ったのかもしれませんよね。

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清水美砂さん③
――清水さんも稲垣さんも先輩の姿や現場に刺激されたようですが、俳優さんは年齢を重ねてなお魅力を増す仕事でもあります。お父さん役だった橋爪さんは83歳の今も現役バリバリです。

清水:そうした先輩方は、情熱があるからこそ長年やっていかれるのだと思います。私も情熱をもって、いつまでも仕事に対してのときめきを持ち続けて、脳が退化するまでやり続けられたらうれしいです。

脳さえ動いていれば「役者は死ぬまで」と先輩方もよくおっしゃっていましたから。


私たちには考える力がある

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清水美砂さん④
――自分がときめくことのできる仕事というのはすごいことですね。

清水:どの仕事でもそうだと思いますが、この仕事って、愛を与えられるんですよね。私には役者が合ってるし、この仕事につけて幸運だなと思っています。

――現在公開中の、被災地から立ち上がろうとする人々を見つめた映画『囁きの河』のように、伝える意義のあるお仕事でもあります。

清水:『囁きの河』は水害の話ですが、いつまた何が起こるか分かりません。主演の中原丈雄さんは、熊本県人吉のご出身で、小さい頃にご自身も水害に遭われているんです。今回、地元を取り上げるということで、しっかりした映画にしたいとお話されていました。

15歳の稲垣吾郎が泣いた日…54歳元“朝ドラヒロイン”が明かす真実
『囁きの河』
――いまや自然災害は毎年のように起きています。

清水:それでも人はどうやって成長して、そして覚悟を持ってこれからを強く生きていくのか。私たちには考える力がありますから。そう思える作品になっていると思います。それこそ熊本の水害以外にも、災害について改めて考えて、何ができるというわけではないかもしれないけれど、覚悟のためにも、この作品で前進していく人間の強さを観ていただければと思います。


<取材・文・撮影/望月ふみ ヘアメイク/佐々木博美 スタイリスト/村上利香>

『囁きの河』は全国順次公開中
(C) MISTY Film

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『囁きの河』
『囁きの河』
令和2年7月豪雨の被災地である熊本県の人吉球磨地域を舞台に、被災から立ち上がろうとする人々の姿を見つめるヒューマンドラマ。母親の死の知らせを受け、22年ぶりに帰郷し、変わり果てた町の様子を目にした主人公が、被災した町で暮らす息子や、かつての友人、恋人(清水)と再会する。

15歳の稲垣吾郎が泣いた日…54歳元“朝ドラヒロイン”が明かす真実
清水美砂さん⑤


【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi
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