今回はそんな経験をした女性のエピソードをご紹介しましょう。
単身赴任中の夫の家で覚えた違和感
里村祥子さん(仮名・32歳/会社員)は、純也さん(仮名・36歳/会社員)と結婚して1年になります。「新婚なのに純也は単身赴任が決まり、別々に住んでいるんです。周りから『何でついて行かないんだ』とごちゃごちゃ言われましたが、私は今の職場が気に入っていて辞める気になれなかったんですよね」
そうは言うものの、寂しい思いをしている祥子さんは、ある日突発的に純也さんに会いたくなり新幹線に飛び乗りました。
「純也には何も言わず部屋で待っていてビックリさせてやろうと思い、ワクワクしながら合鍵で玄関を開けたんですよ」
多少散らかってはいましたが、きちんと暮らしているのが伝わってくる部屋の様子に安心したそう。
「ですがなぜか違和感が……。不思議に思い周囲を見渡したら、なぜかキャビネットに可愛らしい動物のマスコットが5体程並んでいて、『はぁ?』って思わず大声を出してしまいました」
帰宅した夫は、泣いている妻を見て大慌て
こんなの純也の趣味じゃないし、絶対に女がいる! と確信した祥子さんはやり切れない気持ちになり涙が出てきました。「私が居ない土地で、思い切り羽を伸ばして他の女とこの部屋でいちゃいちゃ過ごしているんだと思ったら、悲しさと悔しさと怒りがごちゃ混ぜになったような気持ちになり泣いていたら、純也が帰って来たんですよ」

夫を問いただして判明した「意外な真相」
「私がマスコットを掴んで思いの丈をぶちまけると、純也はさらにビックリ顔になり『え、それ作ったの俺』と照れくさそうにしていて、またはぁ?ってなりましたね」実は、単身赴任で慣れない職場環境や仕事にストレスを感じた純也さんはSNSで見かけた“羊毛フェルト”に興味を持ち「これなら気楽に自分オリジナルの立体物を作れそう」と道具を揃えて、YouTubeなどで勉強しつつ自己流で腕を磨き、かなり完成度の高いマスコットを作れるようになりました。

新たな趣味となった羊毛フェルトマスコットのことを祥子さんに話そうかとも思いましたが、ストレスを抱えていることを伝えて心配かけるのも嫌だし、かと言ってわざわざ嘘を考えてまで話すのも違うと感じ、別に悪いことをしている訳ではないしまぁいいかとそのままにしてしまったそう。
「ビックリしましたが、元々純也はプラモ作りが好きで手先が器用だったので納得しました」
インスタにはマスコット専用のアカウントまで
純也さんは「バレてしまったしもういいや」と祥子さんの目の前で楽しそうにマスコットを作る姿も見せてくれました。「何だかほっこりしてしまって。練習のために作ったというマスコットをいくつも見せてもらいましたが、どんどん上手くなってゆく過程が見てとれて感心してしまいましたね」
そしてインスタにマスコットを載せる専用のアカウントまで作っていて、フォロワーは30人ほどでしたが朗らかに交流しているようでした。
「結局は私の取り越し苦労で、純也は潔白だったんです。ていうか純也の新たな才能を知ることができて改めて好きって思えたほどなんですよ」
ですがその3ヶ月後、再び祥子さんがサプライズで純也さんに会いに行くと……。
まさかの浮気発覚。きっかけは……
「前回とはまるで態度が違い、純也の目が明らかに泳いでいたので、これは? と思いすかさずスマホをチェックしてみたら、なんとインスタのフォロワー女子と浮気していることが発覚して。いざ本当に浮気の証拠を掴むと悲しくて泣くというより、ふざけんなって力がみなぎるんですね」 
ですがそんな祥子さんをなんとか引き止め、結局は浮気を認めた純也さんはひたすら平謝りし続けました。
「DMでの2人のやり取りを全部見たのですが、純也は“先生の作品のファンです! 大好きです”などと持ち上げられ簡単に落ちていました。ですが1回会った後すぐにそのフォロワー女子に既読スルーされていたので、複雑ながらもホッとしました」
人間関係が広がると、良くない誘惑もある
1回だけの浮気だったことから祥子さんは今回だけは渋々目をつぶることにしましたが、インスタのアカウントは削除させたそう。「新たな趣味が増えるのは良いことですが、人間関係が活発になると良くない誘惑もあるってことで、気をつけないといけないなと肝に銘じました。純也は今のところ反省している様子ですが、油断しないで抜き打ちチェックしていかないとって感じですね」とため息をつく祥子さんなのでした。
<文・イラスト/鈴木詩子>
【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop