そう話す宮崎しおりさん(仮名・43歳)は昨年、マッチングアプリで出会った男性と結婚。
容姿をからかわれたトラウマを乗り越えて婚活をスタート!
しおりさんは昔から、自分の名前が嫌いでした。なぜなら、周囲にいる「しおりちゃん」はみな、美形だったからです。「学生時代はよく比較され、容姿をからかわれました。クラスメイトからは『同じしおりなのに、なんでこんなにも違うの?』と笑われていました」
一時期は、整形を考えたこともあったそう。しかし、ダウンタイム中の様子や失敗談などを知ると、整形をする勇気が出なかったと言います。
恋愛経験は、ほぼゼロ。好きな人といいムードになっても、ワンナイトで終了。酷い時には「お前となんて付き合うわけないじゃん」と笑われたこともあったそうです。
そうした経験から、しおりさんは「ひとりで生きていく」と決め、恋愛や婚活から離れました。
けれど、次々と結婚していく友人たちを見る中で、「私も誰かと幸せになりたい」と思うように。そこで、35歳の頃、マッチングアプリでの婚活をスタートさせました。
「結婚相談所も考えましたが、入会費や月会費を払うことが金銭的に厳しかったので、まずは婚活アプリで頑張ってみようと思ったんです」
容姿へのコンプレックスを抱えた“同志”とアプリ婚!

長期戦になっていいから、自分を大切にしてくれる人と出会いたい。
「夫も自分の容姿にコンプレックスを持っていたようでした。だから、気持ちが分かり合えたし、自分が傷つくことを言われてきた分、他人を貶さない人だった。そこが素敵だと思ったんです」
似た痛みを抱えてきた2人は意気投合。2年間の交際を経た後、結婚となりました。
「自分の顔にドレスが似合わないことなんて、分かっていました。でも、私だって人生で1回くらい友人たちみたいにキラキラしたいって思ったので、結婚式はやろうと思ったんです」
そうした気持ちを話すと、夫は大賛成。「せっかくだから、色んなドレスを着てみようよ」と試着にも快く付き合ってくれました。
ウェディングドレスの試着中、義母から“衝撃的な言葉”

しかし、義母はしおりさんがドレスを着るたびに、「これはダメ。42歳が着るデザインじゃない」とダメ出し。結局、どのドレスも却下されてしまいました。
義母の言葉に落ち込む、しおりさん。
さらに、「おまけにあなたは器量も良くないでしょ? 何を着ても似合わないし、招待客もみっともない肌を見せられて迷惑だよ」と言ってきたのです。
「ショックすぎて反論できませんでした。顔合わせの時から、あまりよく思われていないとは感じていたけれど、義母もブスだと思っていたんだな……と傷つきました」
この一件により、しおりさんは結婚式をキャンセル。事情を知った夫は義母に怒りの電話をしましたが、義母は「よかったじゃない。あんな器量の悪い子と結婚したんだって周りに知られなくて。お母さんに感謝してほしいくらいだわ」と開き直ったそう。
「夫はその言葉にも反論してくれましたが、『わかった、わかった。キャンセル料ならこっちで払うから』と言われ、一方的に電話を切られてしまったそうです」
夫は励ましてくれたものの……
夫は「母さんの言うことなんて気にせず、結婚式をやろうよ」と言ってくれましたが、しおりさんはもうそんな気分にはなれなかったそう。ウェディングフォトだけでも撮ろうという提案も断りました。「私がもう少し若かったり、顔がマシだったりしたら、こんなことにはならなかったと思う。やっぱり今世では、多くのことを望んじゃいけないんだなって痛感しました」
これからは、自分の身の丈に合った幸せを考えていきたい。
自分の掴みたいものを求めていい権利は、誰にでもある。しおりさんの傷を知ると、そう伝えたくなります。
<取材・文/古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291