また、吉本興業は8月18日に、各種コンテンツの制作拡大や、番組フォーマットなどの海外展開を目指すことを目的とした「コンテンツファンド」の組成を報告。ダウンタウン、明石家さんまといったベテラン陣、千鳥、かまいたちといった今ではテレビで見ない日はない人気芸人がプロデュース・出演するコンテンツの制作を行っていくと綴られていた。
パワハラプラットフォームになる可能性
「ダウンタウンチャンネル」開設をはじめ、「コンテンツファンド」の組成など、吉本興業の公表が続いている今現在。これらの発表内容を見ていると、1つ気がかりなことがある。松本が「ダウンタウンチャンネル」内のコンテンツに出演した場合、後輩芸人の共演はあるのか、ということだ。芸人にとってイメージは何よりも大切な指標である。女性への性的行為強要疑惑が報じられ、そのことに対して記者会見を開いて反論することもなく、今日まで有耶無耶(うやむや)な態度をとり続けている松本と共演することは、芸人生命を脅かすレベルのイメージダウンになりかねない。
他事務所の芸人であれば多少なりとも断りやすいと思われるが、吉本興業所属の芸人であれば容易ではない。吉本興業の長年の功労者である松本からの直々のオファーだった場合、断れる吉本芸人はほぼいないだろう。「ダウンタウンチャンネル」が“パワハラプラットフォーム”になりかねない。
“先輩芸人への上納”に潜むパワハラ構造
松本サイドは性的行為強要を否定しているが、仮に報道の内容通りのことが起きていたのであれば、後輩芸人は松本のために“上納”(ここでは女性を差し出すような行為を意味する)を行っていたことになる。松本とのコネを作るため、憧れの松本とお近づきになりたいためなど、後輩芸人がどのような事情で上納していたのかはわからない。ただ、先輩を喜ばせるため、裏を返せば喜ばせなければ自分自身の立場が危うくなるため、上納していた芸人もいるのではないか。
この松本に逆らえず首を縦にしか振れない、という状況は「ダウンタウンチャンネル」でも再現されるかもしれない。
もちろん、性被害を受けた人がいる可能性が示唆されている性的行為強要疑惑と同列に語ることはできない。性犯罪は“魂の殺人”と言われる通り、被害者の尊厳や心を踏みにじる卑劣極まりない行為だ。それでも、後輩芸人を私利私欲のために利用する、という意味では共通している。
「嫌なら見なければいい」では済まない
「ダウンタウンチャンネル」での松本復帰が予想されていることに、SNSでは「何の説明責任も果たさないまま、ほとぼりが冷めたら活動再開というのはどうなのか」「もう松本人志さんがどれだけ面白いことをしても笑えないと思う」といった懐疑的な声が目立つ。とはいえ、有料プラットフォームでの出演になるため、「見たくなきゃ見なければいい」という声も多い。たしかに見なければいい。その通りではあるが、後輩芸人が仕方なく出演してイメージダウンさせられかねない状況は、注視する必要があるように思う。それはお笑いを愛する人こそ持っておかなければならない視点なのではないか。
そもそも、松本が「ダウンタウンチャンネル」など吉本興業制作のコンテンツに出演するのかは決まっていない。松本が出演したとしても、どのような内容なのかもわからない。
<文/浅村サルディ>
【浅村サルディ】
芸能ネタ、炎上ネタが主食。好きなホルモンはマキシマム ザ ホルモン。