地震に弱い家の共通点
2016年の熊本地震や2024年の能登半島地震で被害に遭った家屋を見たという平松さんは、「地震に弱いのは木造住宅が多かった」と指摘したうえで、次のように続けました。「もちろん地震に強い木造住宅を建てることもできますが、実際には弱い家のほうが多かった。命運を分けたポイントは耐震等級、接合方法、パネルの選び方にあります」
耐震等級は、建物が地震に対してどの程度耐えられるかを示す指標。2000年に施行された品確法で定められており、1から3までの等級に分かれています。耐震等級1は建築基準法で定められた最低限の基準で、等級2は1.25倍、等級3は1.5倍の地震力に耐えられる性能を持つとのこと。
「熊本地震では等級3だと軽微な損傷で済んだ建物もありました。新しく家を建てるなら等級3を目指すべきですが、実は同じ等級3でも強さが異なります。多くの工務店が比較的簡単にクリアできる性能表示計算で等級3の条件を満たしていていますが、審査の厳しい許容応力度計算によって等級3の条件を満たした建物のほうがより安全です。
実際に許容応力度計算を行う建物は少ないからこそ、大きな地震が起きたときに被害が広がったのだと思います」
ベストな接合方法とパネルの選び方
では、接合方法とパネルの選び方でチェックすべきポイントは?「部材同士を組む木造住宅は、断面欠損が起きやすい。昔の建物は大きな材料を使っていたので欠損率が少なかったのですが、現在は材料がどんどん小さくなり弱くなっています。地震に強い家にするなら断面欠損の起きにくい接合方法を選ぶべき。そこでオススメなのはピン工法です」
ピン工法は、建物の構造体を接合部するために⽤いる仕⼝やほぞを最⼩限に抑えて、ドリフトピンという専⽤⾦物を使⽤して接合する工法とのこと。
「これまで数百社以上の工務店に確認してきましたが、ピン工法の建物が地震で被害を受けたという話は聞いたことがありませんし、私自身も見たことがありません。このピン工法と“真壁パネル工法”を組み合わせることで、耐震性の高い建物になります。
在来工法の筋交いは地震に弱いので、うちではその代わりとしてパネルが全⾯で地震のエネルギーを分散させて受け⽌める“真壁パネル工法”を採用しています。一般的な建物は、横に1トンの力を加えると壊れてしまいますが、“真壁パネル工法”なら2トンの力にも耐えられます」
ただし、選んだパネルが悪いと耐震性が低くなってしまうそう。
「パネルの強度はピンキリで、中には手の力で簡単に折れてしまうものもある。耐震性において高い性能を持つ木質系耐力面材で例えば、ハイベストウッドのパネルを選ぶようにしてください」
腕のいい工務店を見分ける方法は?

「たとえばパネルですが、工務店の中にはハイベストウッドではなく、手の力で折れてしまうようなパネルをすすめてくる店も。その理由はハイベストウッドのほうが高いのと、パネルの強度を知らないから。手で簡単に折れてしまうにもかかわらず、メーカーの言葉を鵜呑みにして自分たちで検証していないんです。
それに、ハイベストウッドのほうが高いといってもコストの差は1枚数百円程度です。それなら手で折れちゃうパネルよりも、絶対にハイベストウッドを選びますよね?」
マイホームを任せても大丈夫な工務店かどうか、見分ける方法は?
「データやロジックをもとに説明できる工務店は、信頼できると思います。たとえば、省エネな家を作りますというなら、光熱費のデータをみせてもらう。データがない、検証していないならアウトです。検証しないと分からないこともありますし、省エネだと思っていても間違っていることも十分にありえます」
建売住宅の購入やリフォームで失敗しない方法
建売住宅の購入を検討している方や、マイホームを建てた人向けのアドバイスも教えてもらいました。「建売住宅の場合は購入する前に、建築を担当した会社が建てている現場を見学するのがおすすめです。
建売住宅は費用を抑えられる分、本当に地震に強い家に出会える可能性は低いですし、リスクもあります。たとえ高くとも、いい家は時間が経っても高値で売れやすいので、もし予算を増やせるなら注文住宅にしたほうがいいと思います」
では、すでにマイホームを持っている場合は?
「2000年よりも前の家に住んでいる方は、耐震性能をチェックしたうえで耐震補強をするといいですが、どうして費用がかかります。予算が少ない方は、屋根の修繕を行うタイミングで屋根の素材を軽いものに変えるだけでも揺れを軽減できます。また、子供が独立しているなら費用を抑えやすい平屋に建て替えるのも手です」
<取材・文/黒田知道>