ひと足先に最終回を迎えたNHKの『ひとりでしにたい』『舟を編む ~私、辞書つくります~』をはじめ、2025年の夏クールドラマは豊作です。

年間100本以上の日本ドラマをチェックするアラフォー筆者の視点で、地上波のプライム帯(19~23時放送)放送中の夏ドラマから、最後まで観たい“おすすめ5選”をご紹介します。


※一部最新話までのネタバレを含みます。

まず、この夏は学園ドラマがとにかく熱い!

僕達はまだその星の校則を知らない

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『僕達はまだその星の校則を知らない』(通称・ぼくほし)(月曜よる10時~/フジテレビ系・カンテレ制作)は、学園ドラマの枠を超えた社会派ドラマに仕上がっています。前述の『ひとりでしにたい』の脚本も務めた大森美香氏のオリジナル作品です。

幼少期から独特な感性ゆえに学校が苦手で、小学生時代いじめを受け学校を訴えた過去を持つスクールロイヤーの健治(磯村勇斗)。彼が共学化したばかりの私立高校で、教師の珠々(堀田真由)とともに不器用ながら生徒たちの問題と必死に向き合っていく物語です。

学校を舞台にしていますが、取り扱われる問題は社会全体に通じていて、見応え十分。毎話、本質を突くセリフが散りばめられておりドキッとさせられます。問題が100%完璧に解決することはなく、各々が課題と共に生きていく姿を丁寧に描いている点も好感が持てます。

さらに、難しいテーマを扱っていながらも決して説教くさくありません。宮沢賢治×天文部という線を一本通し、柔らかで温かな世界観で表現している点も秀逸で、じわじわ心に沁みる作品です。

ちはやふる-めぐり-

最後まで観たい夏ドラマ5選|大ヒット作の“10年後”も最高だけど、前評判以上の面白さは“マリッジ・サスペンス”
画像:「ちはやふる—めぐり—」番組HPより
一方で、和歌とスポ根が融合した『ちはやふる-めぐり-』(水曜よる10時~/日本テレビ系)はとにかく胸アツ!競技かるたに青春をかける高校生たちの姿を、漫画・映画『ちはやふる』の10年後を描いています。

実際に映画版で高校生を演じていた上白石萌音をメインキャストに、広瀬すず、新田真剣佑、野村周平、矢本悠馬、森永悠希らも当時の役で出演。“ちはやふる”の世界を存分に楽しめます。もちろん中心は、現役の高校生たち。
多くの若手俳優が瑞々しい演技で、それぞれの役の個性を表現し、純度の高い青春劇を繰り広げています。

なかでも見どころなのは、主人公・めぐる(當真あみ)と幼なじみ・凪(原菜乃華)の対比です。受験の失敗からコスパ・タイパ重視となり、コンプレックスから青春は贅沢だと考えるめぐるの葛藤を當真が繊細に表現しています。

一方で圧倒的な陽の空気を身にまとい、キラキラとヒロイン力を発揮する原。現在、心がすれ違っているふたりが競技かるたを通じてどう変化していくのか、しっかり見守りたいと思います。

学校を舞台にしていますが、全く違う意味で見守りたい恋愛ドラマも。

愛の、がっこう。

最後まで観たい夏ドラマ5選|大ヒット作の“10年後”も最高だけど、前評判以上の面白さは“マリッジ・サスペンス”
画像:「愛の、がっこう。」番組HPより
高校教師とホストの恋を描いた『愛の、がっこう。』(木曜よる10時~/フジテレビ系)です。堅い家庭で育った真面目すぎる女子高の教師・小川愛実(木村文乃)が、文字の読み書きが苦手なホスト・カヲル(ラウール/Snow Man)と出会い、恋に落ちます。

婚約者をストーカーした過去を持つほど人と関わることに不器用な愛実の頑なさを木村が見事に表現。学習障害「ディスレクシア」を抱えた上に母親に育児放棄された過去を持つホストの葛藤を丁寧に見せるラウールの演技にも惹きつけられます。


ふたりの周りには、もはや愛実のストーカーと化した婚約者・川原(中島歩)や昭和の遺物のような愛実の両親、金をたかるカヲルの母親(りょう)など、クセの強い人物ばかり。そんな中だからこそ、違う世界に生きてきたふたりが互いを知り、惹かれ合い、想い合って育んだ“恋心”が物語の中で、より輝いて見えるのです。

いよいよふたりの関係が周囲に知れ渡ることとなり、ドロドロ展開に歯止めがかかりませんが……最後にはハッピーエンドになってほしい!と願ってやみません。

スティンガース

最後まで観たい夏ドラマ5選|大ヒット作の“10年後”も最高だけど、前評判以上の面白さは“マリッジ・サスペンス”
画像:「スティンガース」番組HPより
刑事ものが多い夏クールの中で、特におすすめなのが『スティンガース 警視庁おとり捜査検証室』(火曜よる9時~/フジテレビ系)です。テンポの良いコミカルな展開で肩ひじ張らず、気軽に楽しめます。警視庁に新設されたチーム「スティンガース(=おとり捜査検証室)」が次々と現代の犯罪者たちを騙して捕まえていくストーリーです。

主演・森川葵演じるリーダー・二階堂民子は、警察庁のエリートとしてFBIで本格的な囮捜査を学んだプロフェッショナル。どんな極限状態であっても飄々と笑顔で冷静にチームを仕切って乗り切る様が実に痛快です。チームのメンバーは藤井流星(WEST)、本郷奏多、志田彩良、井内悠陽、杉本哲太で、キャラのバランスも抜群。

なかでも藤井演じる、情動的な捜査で事件を解決に導く乾信吾は、民子に反発するも結局毎度いいように囮にされるなど、彼の雑な扱いが笑えます。ちなみに「スティンガース」を創設した審議官役の玉山鉄二もいい感じ!

シリアスさをとことん排除しており、チームのわちゃわちゃとスピーディーな展開で1時間はあっという間です。最後までこのまま駆け抜けてほしいです!

しあわせな結婚

最後まで観たい夏ドラマ5選|大ヒット作の“10年後”も最高だけど、前評判以上の面白さは“マリッジ・サスペンス”
画像:「しあわせな結婚」番組HPより
脚本・大石静氏、主演・阿部サダヲ、ヒロイン・松たか子という盤石な布陣から期待値の高かった『しあわせな結婚』(木曜よる9時~/テレビ朝日系)も、前評判以上の面白さ!個性的な登場人物たちによるスピーディーな展開から目が離せません。

独身主義だった人気弁護士・幸太郎(阿部サダヲ)が結婚したネルラ(松たか子)は、かつての婚約者・布施(玉置玲央)を殺害した疑いを刑事・黒川(杉野遥亮)にかけられています。


第一部では15年前の事件をはじめ、ネルラやネルラの家族が抱える過去が次々と明らかになりました。そして、まさかの黒川がネルラに恋心を抱いていることも分かります。

布施の殺害事件の真相はもちろんですが、幸太郎とネルラの夫婦関係、黒川との三角関係、そして家族たちとの行く末が気になって仕方ありません。

前段でも触れましたが、既に終了したNHKのドラマや深夜帯、配信まで含めると、この夏はドラマが本当に熱い!豊作すぎて、選定するのもかなり苦労しました。皆さんのお気に入り作品は何ですか?

<文/鈴木まこと>

【鈴木まこと】
日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:@makoto12130201
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