和洋中、いろいろな飲食店を展開している「すかいらーくグループ」。2025年7月度の速報値を見ると、同グループにおいて最も店舗数の多い「ガスト」は1月(1247店)よりも7月(1239店)はわずかに店舗数が落ちている。
「ジョナサン」も163店から157店、「ステーキガスト」も82店から77店と伸び悩む中、同グループで2番目に店舗数の多い「バーミヤン」は363店から368店と着実に伸ばしており、安定した人気を誇っている印象だ。
料理のジャンルとして、中華料理の価格は高い。中華料理店の外に張り出されたメニュー表を見ると、酢豚や麻婆豆腐が単品でも1000円を超えているケースは珍しくない。そのため、リーズナブルに中華料理を楽しめるバーミヤンが堅調であることは納得できる。なにより、コスパ良く飲めることも大きく影響しているかもしれない。
とはいえ、まだまだバーミヤンはファミレスのイメージが先行しているが、飲み屋としてのポテンシャルが高いことは知られていない。そこで今回は「居酒屋・バーミヤン」でちょい飲みしたい。
メニュー表をチェック
バーミヤン東新宿駅前店に足を運ぶ。平日の昼過ぎに訪問しただけあって、店内は落ち着いていた。
時間帯が時間帯だからね
メニュー表をチェックする。「生ビール、本格焼餃子(3コ)、ザーサイ」もしくは「ハイボール、からあげ(3コ)、ザーサイ」がセットになっている「晩酌セット」(550円)が目に入る。
メニュー表、反射しすぎ
生ビールは1杯549円、本格焼餃子(3コ)は219円でありコスパは抜群。ハイボールver.のセットも同価格でお得ではあるが、「1杯目はビール」という刷り込み教育を受けているため、生ビールver.の「晩酌セット」を頼む。
気を使わない“至福の1人飲み環境”
注文すると1分ほどでビールとザーサイが届く。運んできてくれたのは配膳ロボット。
愛いやつ
1人飲みをしていると「団体客でもない自分のために店員さんの時間を奪うのは申し訳ない」という気持ちになるため、店員さんを呼ぶことを躊躇(ちゅうちょ)してしまう。
その点、ここでは注文はタッチパネルで、配膳はロボットが担っているため、余計な罪悪感は生まれない。ITを駆使して1人飲みを快適にしてくれる、いわば“1人飲みDX”はとてもありがたい。
去り際。背中には「ようこそ バーミヤン」の文字が流れる
今日、誕生日だっけ?
ビールはめちゃくちゃジョッキが大きいわけではない。ただ、2杯目からは439円になるため、そこまで量に目くじらを立てる必要はない。
そこまで大きくない
また、「せっかくバーミヤンで飲むのなら」と意気込み、「おつまみビーフン」(439円)と「北京ダック(3枚)」(549円)といった一般的な居酒屋では注文しない料理を選択した。
ちなみに、これらのメニューは「逸品小皿」というカテゴリーに属しており、他にも「中華風漬けまぐろ~秘醤ソース~」(439円)や「海老のチリソース(小皿)」(494円)などの魅力的なメニューが多い。誰かと一緒に行って「逸品小皿」をいろいろ注文してシェアするのも良さそうだ。
誕生日会ですか?
中華料理は基本的に火を使うため、ビールが届いてから少々時間が空き、その後続々とメニューが運ばれてきた。
セットメニューを頼んでいるとはいえ、3つしか注文していないものの、テーブルの上は大渋滞。料理がテーブルいっぱいに並ぶ様子を見て、一瞬「あれ? 今日、誕生日だっけ?」と錯覚するほど壮観だった。
安定感抜群の餃子
実食レポをしていきたい。まずは「晩酌セット」の「本格焼餃子」と「ザーサイ」から。
ギッシリではない
「本格焼餃子」は餡がギッシリというわけではない。ただ、ニンニクが効き、ジューシーさもある。良い意味で特に言うことのない安定感のある味だ。卓上にいろいろ調味料が置いてあるため、醤油や酢コショウなど、自分の好きな味で食べられる。
好きなように食べられる
「ザーサイ」は思ったよりも苦味が強い。甘いザーサイは多い中、大人の味となっており、キツいお酒と相性が良いかもしれない。食感もコリコリよりはゴリゴリとした堅さで特徴的。ザーサイは人を選ぶ食べ物ではあるが、バーミヤンのザーサイはよりその傾向が高そうだ。
弾力あるビーフン
ノリだけで注文
次に「おつまみビーフン」をレポート。正直なところ、ビーフンは特に好きではない。自分の中での「好きな麺類ランキング」のトップ10に一度も入ったことはない。居酒屋などでもあまり見かけないため、せっかくなので注文してみた。
弾力が結構ある
食べてみると、弾力がしっかりある。
ビーフンは歯切れが良いイメージだったが、噛み応えを楽しめる仕上がり。味もしつこくなくサッパリしている。ほどよく油の風味があり、どのお酒にも合いそうだ。
中盤は若干味に飽きを覚えたが、卓上にあるラー油を垂らして味変すると、また違った顔を見せてくれて最後まで堪能できた。「好きな麺類ランキング」に大きな変化が起きるかもしれない。
「北京ダックを食べている」という高揚感
そして「北京ダック(3枚)」。「おつまみビーフン」とは異なり、「北京ダック(3枚)」は即決だった。なぜなら北京ダックだからだ。
北京ダックを注文しないという選択肢はない
パオピン(薄餅)がせいろに入っており、アツアツの状態で食べられる。パオピンに肉をセットした後、いかんせん久しぶりに北京ダックを食べるため、ネギやキュウリの“適量”がわからず困惑した。
野菜はどれくらい乗せるものなの?
巻いた後、和食では味わえない独特の甘辛さがクセになる甘味噌につけて食べる。アヒルはカモの一種に分類されるが、カモ同様にジューシーさはなくサッパリした味。肉を肉で例えることに若干の抵抗はあるが、チャーシューのような肉厚さがあり、食感が良い。
ネギやキュウリも青臭さはなく、野菜が嫌いな人でも問題なく食べられる。とはいえ、肉も野菜も味がスッキリしており、どうしても甘味噌の味ばかりが口の中に広がる。コッテリとジューシーが入り混じるガツンとした味を勝手に予想していただけに、少々物足りなさを覚えつつも「北京ダックを食べている」という高揚感はとても心地良かった。
200円で飲めるお酒
ビール1杯ではさすがに無理があるため、バーミヤンの激安アルコール「100日発酵紹興酒5年熟成(ロック・カン・ストレート)」(219円)を追加注文。
これで200円はありがてぇ
4種類の飲み方ができるが、夏場なのでロックにした。約200円のため、あまり量は期待していなかったが、思いのほか量があって驚愕。中華料理特有の油を、甘さとキレのある紹興酒で流し込むのはなんとも贅沢な飲み方である。
いろいろなメニューを頼み、2杯飲んだが2000円以下に収まったのだから、コスパは良好と言って良い。なにより、「逸品小皿」のメニューは多く、“やりこみ要素”が豊富だ。1人でも気軽に飲めるバーミヤンを今後もリピートしたい。
ファミレスの入り口とは思えない光景
また、冒頭に「飲み屋としてのポテンシャルが高いことは知られていない」と述べたが、入り口付近にはボトルキープがずらりと並び、めちゃくちゃ居酒屋として認知されているようだ。ファミレスでボトルキープするのも大人の嗜みなのかもしれない。
<写真・文/望月悠木>
【望月悠木】
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki