ラウールさんが準主役で出演している純愛ドラマ『愛の、がっこう。』(フジテレビ系)の最終話が間近に迫り、Snow Manファンのみならず多くのドラマファンが、彼の演技に引き込まれています。
ホストと教師の“秘密の授業”から始まる恋
主人公は名門私立女子校の国語教師・小川愛実(木村文乃さん)。ホスト通いをしていた生徒を連れ帰るためにホストクラブへ足を踏み入れ、そこでNo.1を目指すホスト・カヲル(ラウールさん)と出会います。当初はホストに偏見があり心を開かないようにしていた愛実でしたが、カヲルの生い立ちを知り、力になろうとしていきます。実は、彼は育った家庭環境が悪くまともに学校に行っていなかったこともあり、字の読み書きが苦手。そんな彼に読み書きを教える秘密の個人授業を開始し、次第に愛実とカヲルは恋愛的に惹かれ合っていくというストーリー。
現在、物語は終盤に差し掛かっており、勤めていたホストクラブが閉店したため水商売から足を洗ったカヲルと愛実の愛が、どういった結末を迎えるか、注目が集まっているのです。
「期待していなかった」からの掌返し
筆者は他媒体でドラマコラム連載を持っており、年間100本前後のドラマコラムを執筆していますが、率直に言って放送開始するまではこのドラマにハマるとは思っていませんでした。
けれど第1話から物語にグイグイ引き込まれていきました。その理由は明白で、ラウールさんの演技が想像を圧倒的に上回り、かなり良かったからです。
“リアルなホスト”を体現した演技力

要するに、一般のみなさんよりはホストたちのお店での振る舞いやプライベートでの素を知っていたのですが、ラウールさんの“ホスト感”は良い意味で生々しく、非常にリアル。これまでにもドラマや映画にさまざまなホストキャラが登場していましたが、筆者が知る限り、ラウールさんが演じるカヲルは抜群に再現度が高いと感じたのです。
カヲルのセリフや行動は脚本で指示されたものだとは思いますが、それ以外の何気ない所作や口調が妙に生々しいのは、ラウールさんの演技力の高さゆえでしょう。ホストという職業を懸命に学び、カヲルという人格を憑依させたからこそ生まれたリアリティに思えました。
“改札のシーン”で証明された俳優ラウールの凄み
最終話間近の『愛の、がっこう。』ですが、中盤のクライマックスは確実に第6話の改札シーン。惹かれ合っていることに気付いたものの、お互いの立場を考えてもう会わないという決断をした2人が、“お別れ遠足”として最後に遠出をし、海デートをしていた第6話。
この日のカヲルは嬉しそうにはしゃいでいるものの、それは当然、寂しさを紛らわすためのカラ元気。表向きはいつもどおりの陽キャノリでありながら、本音では愛実と別れることを悲しみ、悩んでいる。そんな“二層”の演技がラウールさんに求められていたわけですが、センシティブな演技でそのカヲルの心情を見事に表現していたのです。
そして第6話終盤。日が暮れたため帰路につくのですが、海辺の駅から電車を1本ずらして別々に東京に戻ることに。
このとき、改札に入ってホームに向かう愛実の後ろ姿を見送るカヲルが、「先生ぇ!」と叫び駆け寄っていく……という15秒程度のカヲルの脳内シーンが挿し込まれたのです。
現実のカヲルは追い駆けたい衝動を必死に我慢して、改札の前で立ち止まったまま。
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『愛の、がっこう。』を観るまではラウールさんの演技力を知らず、「アイドル俳優」のドラマだろうと見くびっていたことを、素直に謝罪したい気持ちになりました。最終話でラウールさん演じるカヲルにどんな結末が待ち受けているか、みなさんも一緒に見届けましょう。
<文/堺屋大地>
【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』(扶桑社)で恋愛コラム連載、『SmartFLASH』(光文社)でドラマコラム連載、『コクハク』(日刊現代)で芸能コラム連載。そのほか『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)などにコラム寄稿。LINE公式のチャット相談サービスにて、計1万件以上の恋愛相談を受けている。公式SNS(X)は @SakaiyaDaichi