2010年にTBSに入社し、『朝ズバッ!』『報道特集』などを担当したのち、2016年に退社したアンヌ遙香さん(39歳・以前は小林悠として活動)。

元TBSアナ、39歳の私が最近取得した資格とは。北海道でのシ...の画像はこちら >>
 TBS退社から8年経った今年、紆余曲折を経て20年生活した東京を後にして活動拠点を故郷北海道に戻したアンヌさん。
アラフォーにして再スタートを切った「出戻り先」でのシングルライフの様子や心境をつづる連載です。
 第51回となる今回は、最近取得したという資格について綴ります(以下、アンヌさんの寄稿です)。

「十勝ワインバイザー」の資格勉強はとにかく楽しかった!

元TBSアナ、39歳の私が最近取得した資格とは。北海道でのシングル生活で見つけた“新しい楽しみ”
「十勝ワインバイザー」の認定証書と
 最近とある資格試験に合格しホクホクの私。その名も「十勝ワインバイザー」という資格。

 いいでしょ? 北海道在住、ワイン好きの私としては絶対合格したい資格だったのです! 北海道十勝、池田町はワインの一大産地。国内初の自治体ワイナリーとして誕生した「ブドウ・ブドウ酒研究所」、通称“ワイン城”なるものがあり、私は毎年10月に開催されているワイン祭りの司会をさせていただいたご縁で、池田町によくお邪魔するようになりました。

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池田町「ブドウ・ブドウ酒研究所」
 北海道のワインの中でも十勝のワインについてどんどん知識が深まっていくと、ススキノでお酒を飲むときも、ワインメニューの見え方がどんどん変わってきて、とにかく楽しい! お店に足を運んでも、北海道のヴィンテージワインを、と注文できるようになった自分がなんだか誇らしい。

 資格を得る目標があれば、勉強をする励みになるというもの。資格をゲットすることそのものが趣味だという女性もいらっしゃり、私もちょっとそれに似たようなところがありますが……。今回は、趣味と実益を兼ねているので、とにかく勉強そのものが楽しかった!

池田町のワインをしこたま買い込んで……

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十勝ワインがずらり
 私のような初心者から、ソムリエ並みの知識を持っている人たちまで、より幅広い層に十勝ワインに親しんでもらえるようにと創設されたのがオリジナル資格制度「十勝ワインバイザー」。

 試験の問題は、ワインの一般常識や十勝ワインの製造へのこだわり、歴史、製品の特徴などですが、見どころはやはりテイスティング試験。十勝のワイン3種類をまず出されテイスティングし、そのうちの1種類が後ほど出されます。先ほどの3種類のうちどれだったのか? を、色や香り、味わいなどから分析して当てるというもの。

 私はこの試験に合わせて、池田町の赤ワインをしこたま買い込み、毎晩のようにファイターズの中継を見ながらプチテイスティング試験を重ねていたのでした。


 そして今年のテイスティング試験、地元の方でもなかなか判別がつかないという難問だったのですが、 なんと私、今回のテイスティング試験を難なくクリア! 実は試験前日、同じく十勝ワインバイザーを受ける友人たちと一緒に試験練習を飲食店でしたのですが、 なんとそのときも私は全問正解! 私って香りや味の些細な違いもかぎ分けることができる繊細な舌を持っているのでは?! ということが判明したのです!

 これは才能ありか?! 自分にこんな能力があったなんてと勝手に感激していた私ですが、 そんな繊細な舌の持ち主だったら、さぞかしグルメで、かつ料理上手なのではと思われかねませんが……悲しいことにむしろ最近自分の料理の腕にほとほと呆れかえることが続いているのです。

友人が届けてくれたキクラゲを一緒に食べようという話に

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十勝ワイン
 そもそも現在私は北海道の実家で大型犬と年老いた父親と暮らしていますが、家は2世帯住宅で、父は父で生活があり、また食や飲み物へのこだわりがなかなか強い。作りすぎたカレーを父親におすそ分けしようとしても、いらないとはっきり言われることもしばしば。

 ということで、料理は単純に自分だけのためにする日が続いています。 これが良くない。 自分だけのために、見た目も味付けもきちんとした料理を作ろうという気がまったく起きないのです。

 ここしばらくずっと自分だけのためにカレーを作り、パスタを作り、正直味なんて本当~にどうでもよく、 でき上がったものを黙々と食べる生活をしておりました。 そうすると…自分の味というものがわからなくなり、味付けの正解がまったく見えなくなっていくばかり。

 つい先日、立派な生キクラゲを自宅に届けてくれた某友人。キクラゲと卵の中華炒めを一緒に作って食べようということになり、レシピを調べたところ、「中華スープの素」なるものが必要とのこと。

 一人暮らしで中華スープの素なんて、少なくとも私は持っていない! ない調味料に関しては適当にめんつゆか何かでずっとごまかしてきた私でしたが、今回はお客さんがいらっしゃる。慌てて近所のスーパーへ。


 中華スープの素を買ってきたものの、分量がどのくらいなのかわからない。 とりあえず味見をしながら、少しずつ少しずつ中華スープの素を加えていき……私的にはオーケーじゃない? なかなか本格的な味じゃない? とセルフゴーサインが出たものをちょっと得意げに友人に出したところ……。

 心優しい友人は、「うん……おいしいけど……ちょっとパンチが足りないかも……中華炒めだし……ごめんね」と言って、申し訳なさそうにお醤油を足して食べ始めた始末。

 どうやら私は、ここしばらく自分のためにしか料理をしない生活が長引きすぎたせいで、とんでもない薄味人間になっていたようなのです。

 ワインのテイスティングで発揮された繊細な舌はどこへ?! どうやらワインがわかるのと料理上手であるかどうかはまったく別問題であるようです……。

 これを機会にワインに合う食事作りを趣味にしてもいいかななんて漠然と思ってましたが……やっぱりそれを味見してくれる人間がいないと張り合いが出ないというもの。

 自分だけのためにしっかりとおいしいものが作れる人って実はかなり偉いかも。

<文/アンヌ遙香>

【アンヌ遙香】
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道札幌出身、在住。現在はフリーアナウンサーとしてSTV「どさんこWEEKEND」メインMCや、情報番組コメンテーターして活動中。北海道大学大学院博士後期課程在籍中。文筆家。ポッドキャスト『アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。
Instagram: @aromatherapyanne
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