しかし一方で、芸人&トップ女優という組み合わせは、今まで何組も誕生しているものの、「添い遂げた」という意味で成功しているカップルは多くありません。カズレーザーさんと二階堂さんは、その数少ないカップルの一組になれるのでしょうか。
庄司智春と藤本美貴ら「芸人×女性タレント」は良好だが
庄司智春さん&藤本美貴さん、藤井隆さん&乙葉さんなど、芸人&タレント寄りの女性芸能人のカップルは、順調なイメージが多い印象があります。しかし、相手が主役を張るようなトップ女優に限ると、当初はうまくいっているように見えても、結果的に離婚してしまうというパターンがほとんどです。代表的なものをあげると、明石家さんまさん&大竹しのぶさん、石橋貴明さん&鈴木保奈美さんなどでしょうか。ほか、そのまんま東さん&かとうかずこさん、深沢邦之さん&田中美佐子さん、陣内智則さん&藤原紀香さんなど、数えたらきりがありません。
美貌、実力、そして環境など兼ね備えなければ上り詰めることができない主演女優の座。その地位を手に入れた彼女たちは、みな気品や誇りがあり、周囲からも一目置かれています。
しかし芸人の世界は――ことに男性芸人の世界は、いまだに昔ながらのホモソーシャル文化があり、タバコ・ギャンブル・酒・女遊びがカッコイイという価値観が根強くあります。
結婚前は、男性が蝶よ花よと女性を崇め、気持ち的に上の立場で結婚したにもかかわらず、日常生活を共にし子どももでき……などという過程の中で、どうしても男性側の価値観に押し込められて力関係で歪みがでてきてしまうのは、普通の夫婦でもよくあることです。
一般家庭は、世間体や金銭的な問題で女性側が我慢した上で婚姻関係を継続することはあるでしょう。
それでも芸人が主演級女優と結婚するワケ
ただ、極端な男性社会で生きる芸人と、ひとりでも生きていける力とプライドがある女優との間で、その歪みが出てきてしまったのだとしたら、擦り合わせる努力をしない限りは関係を続ける意味はありません。男性芸人と、トップ女優との結婚の行く末にいい結果をほとんど聞かないのは、そんな理由があるのかもしれません。
それでもなぜ、芸人とトップ女優は結婚するのか……恋愛結婚である以上、気持ちやフィーリングが一番先に来るでしょうが、イメージ的なメリットが多いということがあげられます。
まず、その意外性で世間にかなり多くの衝撃を与え、俳優同士や女性タレントや一般女性などとの結婚より影響度が格段あるということ。
芸人はSNSやラジオなど自ら発信をする媒体を多く持つため、周りの芸人からの祝福の声も多く出されることにより、結婚報告がハッピーな色に染まりやすいこともあげられます。
蒼井優との結婚で株を上げた山里亮太
そして、芸人側は「トップ女優に男として認められた」という点で、イメージ的な格が上がり、逆に女優側はイケメン俳優でも大金持ちの実業家ではなくお茶の間に身近な芸人を結婚相手に選んだことで、等身大をアピールすることができるのです。現に、蒼井優さんと結婚した山里亮太さんは元々はクズ芸人のイメージでしたが、記者会見などでの対応から誠実な印象を与えることが出来ましたし、不仲だった「南海キャンディーズ」の関係修復を結婚によって印象付けることもできました。
結婚31年目の木梨夫妻。独特の世界観が秘訣か
蒼井さんも、演技派女優という近寄りがたさや今までのスキャンダルなどから魔性の女というイメージでしたが、結婚を機に親しみやすく明るい方向へガラリと変わりました。山里さんの『DayDay.』(日本テレビ系)の司会就任も、この結婚なくしてありえなかったでしょう。山里さん&蒼井さんはまだまだ未知数なところもありますが、数少ない、芸人&女優のいまも順調なカップルとしてあげられるのは、とんねるずの木梨憲武さん&安田成美さんでしょうか。
木梨さん&安田さんはなんと結婚生活31年を迎えました。先日も、バブルガム・ブラザーズのブラザー・コーンさんのInstagramで親し気なショットが公開されたばかりです。
木梨さんは、芸能界で交流のある方々もヒロミさんや水谷豊さん、藤井フミヤさんなど、家庭を大事にするイメージの強い人ばかり。芸人界のホモソーシャルとは無縁そうです。
芸術分野などでも独特の世界観を持つ木梨さんは、芸人の中で異質な存在であることが、結婚生活がうまくいっている秘訣なのかもしれません。
カズレーザー×二階堂ふみの未来は明るい
それで言うと、カズレーザーさんもバイセクシャルを公言し、現在の仕事はコメンテーター業が中心という、個性が強い芸人界でもひときわ際立った存在です。二階堂さんも、映画『翔んで埼玉』の怪演でもわかる通り、個性的な存在感と雰囲気の女優さん。お互い型破りで、既成の制度や考え方にこだわらないイメージがあります。だからこそ個性を尊重し合い、木梨さんと安田さんのように、長い間円満で居られる可能性は高いかもしれませんね。
<文/小政りょう>
【小政りょう】
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦