7月27日に浅野忠信がInstagram上にアップしたツーショットが話題になっていた。撮影場所はどこかの野外。
一緒に写るのはサングラスの男性。パッと見、静止画なのに……。

 よーく見ると動画というユニークな仕掛けまである。しかもそのサングラスの男性の正体は、息子。俳優やアーティストとして活躍する佐藤緋美とのツーショットだった。

 男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、ユニークなツーショットの話題から佐藤緋美の才能を解説する。

静止画かと思いきや……

 浅野忠信は、世界的巨匠・青山真治監督作『Helpless』(1996年)で映画初主演を果たして、第76回エミー賞を総なめにした海外ドラマ『SHOGUN 将軍』(Hulu・Disney+、2024年)でゴールデングローブ賞(第82回、テレビドラマ助演男優賞)をさらっと受賞してしまう。月並みにいって名優中の名優だが、SNS投稿は遊び心にあふれてかなりユニーク。

 7月27日に浅野がInstagram上にアップした投稿が話題である。自然豊かな野外。サングラスの男性とのツーショット。一見、静止画に見える。でも投稿画面には再生ボタンがある。
ボタンを押す。浅野とサングラスの男性を写すカメラがゆらゆらしている。

 え、でもこれやっぱり静止画だよね。だって被写体の二人がピクリともしない。というように錯覚させ、静止画かと思いきや……、動画だったというユニークなギミック。では麦わら帽子を被る浅野に対してサングラスの男性は誰か。キャプションに書いてある。「息子と!」。

フジロックフェスティバルでのツーショット

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 息子の名前は、佐藤緋美。浅野の元妻・Charaとの子どもである。父と息子そろってユニークなこのツーショットは、苗場で開催されたばかりのフジロックフェスティバルで撮った動画だった。

 父と息子でフェスに参加したプライベート写真かと思ったら、佐藤緋美がHIMI名義でボーカルとギターを担当するトリオバンドHIMIZが同フェスに出演していた。で、その合間に静止画風の動画を撮るという、ユニークオブユニークな父と息子。


 浅野と佐藤の複数人ショットが話題になったのは、今回が初めてではない。2017年にラフォーレ原宿のキャンペーンビジュアルとして浅野と佐藤、さらに浅野の娘で佐藤の姉・SUMIREが起用された。

 父、息子、娘が並ぶモノクロームのスリーショットが実にあざやかだった(2019年には娘と息子のツーショットをInstagram上に投稿して話題に!)。

才能と存在感が浮き立つテレビドラマ俳優

 このスリーショットは、佐藤にとってモデルデビューでもあった。現在では、俳優、モデル、アーティストなど、マルチに活躍する佐藤だが、その中でも特に彼の才能と存在感が浮き立つテレビドラマ俳優デビューはいつ、どの作品だったか?

 巨匠リドリー・スコット監督が制作総指揮を務めた海外ドラマの日本リメイク作『THE GOOD WIFE / グッドワイフ』(TBS系、2019年)第1話に、初々しい雰囲気の佐藤が出演している。常盤貴子演じる主人公・蓮見杏子の弁護士事務所に一人の高校生が会いにくる冒頭場面がある。初々しい高校生役ではあるが、ドラマデビュー作出演でも自分の存在感を主張しようとする強い意志を感じる。

 近年の出演作としては、西島秀俊が世界的指揮者役を演じた『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』(TBS系、2024年)で、天才チェロ奏者役が素晴らしい佇まいだった。

 第2話でバッハの「無伴奏チェロ組曲」を演奏する工場の場面は目を見張る演技。クラシック音楽監修の視点から見ても、チェロを抱くように演奏(演技)する佐藤を捉えるローアングルの画面はプロ奏者そのもの。

 上述した父と息子のツーショットがユニークなら、同作のチェロ奏者役のワンショットは、佐藤緋美のストロングな魅力がみなぎる代表作だ。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修
俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。
CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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