橋田壽賀子脚本の人気長寿ドラマシリーズ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)で10歳から12年間、“加津ちゃん”こと野々下加津役を演じていた宇野なおみさん(36歳)。かつて“天才子役”と呼ばれた宇野さんは現在、フリーライターとして活動中です。


 そんな宇野さんが30代女性として等身大の思い、ちょっとズッコケな日常をお届けるエッセイ連載。今回は「女友達」をテーマに綴ります。

『3年B組金八先生』に参加する友人が羨ましかった

36歳独身・元『渡鬼』子役が「金八先生に出ている友人が羨まし...の画像はこちら >>
 実は、素敵なカフェと、おいしいスイーツに詳しいわたくしです。

 皆様、ご機嫌よう、宇野なおみです。すっかり秋となり、さつまいもやかぼちゃスイーツが収穫の時期ですね。おいしい季節!

 今回はわたくしの大切な、女友達の話です。

 昔むかしは友達が大変に少なかった私。休日に遊ぶなんてことは都市伝説だと思っておりました。これは、普通に土日に習い事や稽古があり、ひとりで本を読むことが好きだったということも大きいのですが……。当時はかなりの「コミュ障」でした。

 よくテレビの仕事をしていたと我ながら思います。渡鬼の現場は大人ばかりで、逆にラクだったのかもしれません。スタジオ収録日がごくたまに被る『3年B組金八先生』に参加する劇団の友人を、指をくわえて羨ましがっていたものです。


 ただし、果たして当時の私が同年代とうまくやれたかというと、はなはだ怪しう存じます(渡鬼レギュラーで年齢が一番近いのは、長谷川純さん。4歳差は、子どもにとっては十分大きいです。「おかくら」チームは収録日も違いましたしネ)。

 高校ぐらいから一念発起し、友人作りに挑戦し始めました。自分にとって貴重な存在という認識があるためか、「愛が重い」とよく(当人たちに)言われます。

36歳独身・元『渡鬼』子役が「金八先生に出ている友人が羨ましかった」ワケ。女友達の愛が重すぎる現在とは
みんなめちゃくちゃ写真を撮ってくれます。ありがたい
 お酒が飲める友人が少ないので、集まるのは大体おいしくて内装がキュートなカフェ。カフェやレストランには詳しいほうかもしれません。アフタヌーンティーとかもよく行くんですよ、なぜなら愛しいみんなを素敵な場所で眺めたいから……。

 独身気ままなしょっちゅう会っているフレンズが5人ほどいて、子どもがいるなどなかなか会えないけれども、仲良し、という友人もたくさんいます。休みの日に遊んでいると、1か月はあっという間に経ってしまう! 幸せな忙しさです。

どれだけ好きなの? 誕生日プレゼントダブり買い事件

36歳独身・元『渡鬼』子役が「金八先生に出ている友人が羨ましかった」ワケ。女友達の愛が重すぎる現在とは
夜景が素敵な横浜でスケートに行ったことも
 愛が重いエピソードと言えば、先日、バースデープレゼントを「ダブり買い」しました。

 ある日、少し遅れた誕生日プレゼントとして、友人が愛用していると話していたブランドのハンカチを2枚買いに行きました。新作や店舗限定がよく出るのでプレゼントにもぴったり。
あげたら大変喜んでくれました。

 その時、キュートなモコモコポーチを発見。こちらは別の友人の誕生日プレゼントにしようと購入しました。

 数日後、ラッピングを始めた私。メッセージをカードに書き込もうとしたその時、ふいに気づきました。

「……買ってなかった?」

 今年は、彼女の誕生日のすぐ後に会っていたのです。私の性格上、プレゼントを用意した上で、カフェの席を予約しているハズ。

 こんな時はスマホの出番です。写真フォルダをスクロールしていくと……私があげたプレゼントを持って微笑む友人とのツーショットが現れました。やっちゃった!

 母親にこの話をしたところ、「どんだけ〇〇ちゃんのことが好きなの」と呆れられました。

自分の人生を生きている人と友情を築くために

36歳独身・元『渡鬼』子役が「金八先生に出ている友人が羨ましかった」ワケ。女友達の愛が重すぎる現在とは
先日はこのレジャーシートでピクニックしました。雑誌のふろくです!
 といってもこの激重ラブ、同じ熱量で返ってくることは期待できません。

 誰もが自分の人生に集中している人たちで、それが格好良くて好きなのです。でも、根本的なところで甘ったれのわたくしは、多少寂しさも感じます。


 うるうる目でこう告げたとて、「へー、知らん」としか言われないでしょう。切ない。

 そもそも、人生に対していじいじと拗ねてふてくされていると、容赦なく叱られます。私が私をおざなりに扱ったり、人に対して不誠実だったりすると、おそらく見限られてしまう。常に人生に真剣でいないと、一緒にいられないのです。

 自分の人生を太陽としてひた走る人たちは、そんな人間にかまけている暇はないから……。悩んで、わーっと泣きつくこともありますけどね。

 できることは、彼女たちが頼れるように両手を広げて、なおかつ自分もしっかり生きることのみ。でも、時折、「えっ私のこと好きじゃん!!」と示されてしまうと、もう破顔一笑、ホップステップダンスしてしまいます。

 余談ですが、日本人ってあんまり喜びの舞、踊らないそうですね。うちの母方家系はみんな踊りがちなので知らなかった。

相手に喜んでもらいたい、と自然に動ける人はとても素敵

36歳独身・元『渡鬼』子役が「金八先生に出ている友人が羨ましかった」ワケ。女友達の愛が重すぎる現在とは
かざっているパンフレット。手前も奥も友人からのいただきもの
 ありがたいことに、このエッセイも非常に応援してもらっています。友人でいたい、友人として誇ってもらえる己でいよう。
素敵な部分は真似しよう。常にこう律していることが、今の私を形作っています。

 友人がいなければ、今も私は“ぼっち街道”をひた走っていたかもしれません。人に喜んでもらうことを、自然にできる人達は、どこに行っても愛されるんですよね。それを最近、実感したエピソードがありまして……。

 先日、『鯨が消えた入り江』という台湾映画を観に行きました。これが大変な名作! 私は後半に号泣しすぎてメイクが全部落ちました。クチコミで広まり、今あちこちで上映中です。

 実は既にネットフリックスでも配信済。映画が好きな友人Y氏にどうしても見てほしくて、おすすめしてみました。なんと、即見てくれた!「めっちゃ良かったから、劇場でも観てくる」と連絡が来ました。

 そして、翌日くらい?には「見たけどパンフ売り切れてた!」とのこと。
行動が早い。

 また数日後、今度はパンフレットの写真が送られてきました。「買えたんだ!よかった、私まだ買ってないから、今度見せて~」と送ったところ。

「良い映画を教えてくれたお礼に、宇野ちゃんのぶんも買っといた!」

 とのこと。

 こんなの、好きにならずにいられますかっていう……。Can’t help falling love with youですよ。カラオケで熱唱してしまいますがな。あまりにも爆イケすぎて、貴方、宝塚の男役?と思いました。※モデルさんです。

 相手に喜んでもらいたい、と人はだれしも考えるものです。時にそれは押し付け、ひとりよがりにもなり得ます。

 友人たちは、そうしたことをとても自然に、バランス良く行っている。
本当に尊敬です。一生好き(だから重いよ)。

会えても、会えなくても、友情はある

36歳独身・元『渡鬼』子役が「金八先生に出ている友人が羨ましかった」ワケ。女友達の愛が重すぎる現在とは
Y氏は歌舞伎座に誘ったらどら焼き買っておいてくれました
 大人になると友情の形は少しずつ変わりゆくもの。私も、どうしても元に戻れなかったり、終わってしまったりといった経験があります。ただ、常に連絡を取らないと友情が保てないというケースも、大人になると逆に減るのではないでしょうか。

 高校から、大学から、大人になってから出会った、いろいろな友人がいます。それぞれ人生を歩んでいて、その形は見事にバラバラ。ひとりとして同じ状況はいません。彼女たちが選んだ人生を尊重し、応援する。これが、友人としてできる務めかなと思います。

 大人の友情に大切なのは、相手の領域に踏み込み過ぎないこと。お互い傘をさして、隣を歩く、くらいの、尊重しあえる距離感。これが心地よい関係のコツでは、と(依存しがちな人間は強烈な自戒を込めて)思います。

 老後まで共に笑い転げたい。楽しいことをたくさんして、胃の続く限り、食べ放題とかビュッフェとか行きたい、できればラインダンスくらいやりたいものです。連載のタイトル候補にも「老後みんなでラインダンス」があったくらいの、本気の願望(笑)。

 己には己の事情があり、相手にも相手の事情がある。細くても長くても一瞬途切れても良い、縁を切らずに生きていたい、30代後半でございます。みんな愛してるよっ!!!

 ちなみに、「老後みんなでラインダンスしたいから練習しといて欲しい」とは、既にお伝えして回っています。ところがなんと! 全員に毎回断られています。

 でも……こればかりは、諦められないっ……!

 代々木公園でストレッチする会でも開こうかな? 参加者、募集中です。

<文/宇野なおみ>

【宇野なおみ】
ライター・エッセイスト。TOEIC930点を活かして通訳・翻訳も手掛ける。元子役で、『渡る世間は鬼ばかり』『ホーホケキョ となりの山田くん』などに出演。趣味は漫画含む読書、茶道と歌舞伎鑑賞。よく書き、よく喋る。YouTube「なおみのーと」/Instagram(naomi_1826)/X(@Naomi_Uno)をゆるゆる運営中
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