(台中中央社)修復が進められている日本統治時代の官公庁舎「旧台中州庁」から当時の金庫が見つかった。暗証番号や鍵の在りかは不明だが、台中市政府文化局は解錠したい考えを示しており、製造元や海外の専門家に依頼する方針。
金庫には「KOBAYASHI & CO」「KINKO.FZIKWA」などの文字が刻印されているという。

旧台中州庁は1912(大正元)年に着工。翌年の第1期工事の竣工後、複数回の増改築を経て1934(昭和9)年に現在の姿になった。当時の台湾に設けられた5大州庁(台北、新竹、台中、台南、高雄)の一つで、台湾の官庁建築を多く手掛けた森山松之助によって設計された。戦後は台中市政府として使われ、2006年に市の古跡に登録。昨年、国定古跡に格上げされた。


市は文化部(文化省)と連携し、近隣の旧台中市議会(1961年築)と共に「国立台湾美術館台中州庁園区」として整備するプロジェクトを進めている。旧台中州庁は昨年から修復が行われており、完成は2022年の見通し。元の姿を復元する方針で、後期に増築された部分は撤去するという。

建物の屋根裏には「キャットウォーク」と呼ばれる足場が設けられている。文化局によれば、森山は当時、兵士が100人入るように設計。敵が襲来した際、短時間で兵士が集合し、窓から銃で防御できるようになっているという。


(趙麗妍/編集:楊千慧)