(台北中央社)李遠(りえん)文化部長(文化相)は5日、台北市内で開かれた台湾の文化遺産に関する国際フォーラムの開会式に出席し、直面する自然災害や戦争などの脅威を前に、遺産の保護や持続可能性、強靭(きょうじん)性の維持により多くの力を注ぐことの重要性を訴えた。

李氏は、今夏の台風や豪雨災害で多くの人が古跡や歴史的建造物のもろさに気づいたと言及し、これは台湾の歴史や社会の移ろいやすさに似ていると指摘。
遺産の保護や持続可能性、強靭(きょうじん)性の維持により多くの力を注がなければ、台風や豪雨、戦争などでこれらの遺産が全て破壊されてしまう可能性があると危機感をあらわにした。

フォーラムは台湾の文化遺産の保存と国際的PRの推進を目的とし、文化部(文化省)文化資産局が開催。ベルギーやオーストラリア、スイス、英国、日本などから文化遺産分野の専門家を招いた。

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産の実例や教育、分野を超えた連携、鉄道遺産の管理などに焦点を当て、6日までの日程で専門家の講演や座談会が行われる。

国連非加盟の台湾はユネスコ総会で採択された「世界遺産条約」を締結しておらず、台湾には世界遺産が一つもない。文化部は「阿里山林業鉄道・鉄道文化景観」(南部・嘉義県、嘉義市、中部・南投県)など18カ所を「潜在的な世界遺産」として選定している。

(邱祖胤/編集:名切千絵)
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