沖縄本島から西に約100キロ離れた洋上に浮かぶ、久米島(くめじま)。

沖縄県内では、沖縄本島、西表島、石垣島、宮古島に次いで5番目に大きな島だ。ダイビングスポットとしても知られ、多くの観光客を集めている。主要な産業は、農業、畜産業、水産業などで、車海老の生産量は日本一だという。

この久米島から、2020年5月28日、次のようなツイートが投稿され、話題となっている。

投稿したのは、19年4月から久米島に移住し、町の地域おこし協力隊として、島内の中学校にて学習支援員として勤務しているツイッターユーザー・ろっくまん(@rockman_385)さん。

どうやら、

「コロナの影響で車エビの値段が大暴落した結果、漁協がチビ車エビを格安出荷することにしたらしい」

というコメントが注目されたようだ。

投稿された写真には、手のひらにのるほどの大きさの海老が撮られている。これが「チビ車海老」なのか。格安出荷とは、聞き捨てならない。

「小さくても味は変わらないし殻が柔らかいから丸ごと食べれちゃうの」「素揚げしたらビールのつまみに最高だよ」ということだ。そりゃそうだろう。しかし、まだ4トン余っているらしい。

いったいどういうことだろう?Jタウンネット編集部は、久米島漁業協同組合に取材した。

「コロナの影響により...」

「まだ4トン余ってるの...拡散して...」 コロナ禍で「チ...の画像はこちら >>

油で素揚げして塩をふるだけ! (画像は久米島漁業協同組合フェイスブックより)

なぜチビ車海老を出荷することになったのだろうか。久米島漁業協同組合の担当者は、その理由を次のように説明した。

「なぜチビ車海老の在庫をたくさん抱えてしまったかと申しますと、現在、(養殖のため)池にいるこのチビ車海老を、この後、大人のサイズまで育てたところで、高額なエサ代で多大な経費がかかります。
また、コロナの影響により、車海老の市場価格は暴落しており、原価割れになることは目に見えております。そこで、(育てるのを待たずに)チビ車海老として出荷しようという、苦渋の決断をしたわけです」

しかし、担当者の声はサバサバとして、明るかった。

「まだ4トン余ってるの...拡散して...」 コロナ禍で「チビ車海老」を異例販売、沖縄・久米島からのSOSに反響

チビ車海老のガーリックシュリンプ (画像は久米島漁業協同組合フェイスブックより)

漁協担当者によると、

「チビ車海老は居酒屋等で大人気の食材です。希少価値が高く、通常はなかなか流通していません。サイズを細かく揃えて丁寧に選別すれば、1キロで1万円くらいの価格がつくこともある高級食材です」

ということだった。

ちなみにチビ車海老は、「素揚げ」「アヒージョ」「ガーリックシュリンプ」などの料理が、とくにおすすめだ。「今回は特価で1キロあたり3456円(税込)+送料で販売させていただきます」(漁協担当者)。

「まだ4トン余ってるの...拡散して...」 コロナ禍で「チビ車海老」を異例販売、沖縄・久米島からのSOSに反響

チビ車海老のアヒージョ (画像は久米島漁業協同組合フェイスブックより)

このように、久米島の「チビ車海老格安出荷」が話題になったことについて、発端となったツイートを投稿したろっくまんさんは、

「コロナが要因ではありますが、久米島の味を全国の人が気軽に楽しめるきっかけになってくれてよかったなと思います。これを機に全国の皆さんが久米島に興味・関心を持っていただけると嬉しいです」

と取材に答えた。

チビ車海老の注文は久米島漁協のサイトからというが、現在、アクセスが集中し過ぎたため、サーバーがダウンしている。復旧は、6月2日頃の予定だ。