みなさんはどんな方法で「ワカメ」を食べるのが好きだろう。
どんな方法でって言っても......そんなに種類は思い浮かばない人も多いかもしれない。
たとえば、2025年8月2日にX上に投稿されたこんなワカメ料理はご存じだろうか。
皿に載っているのは、板状のワカメである。全くフニャフニャしている感じはせず、何ならパリッとしてそうだ。
どういう状態なのか? 写真を投稿したのはブログ「東京でとって食べる生活」の筆者・トモさん。ポストでは、こう呟いている。
「島根料理をいただく。まずは炙りワカメ、しらないやつだ」
島根料理? 炙りワカメ? 馴染みのない食べ方だが、投稿にはこんな声が寄せられている。
「旦那(出雲出身)が『これ知ってる?』と聞いてくるので知らないと答えたら『俺はワカメって炙って食べるものと思ってた...』と言われ」
「出雲出身の父が好きでした」
「島根出身の亡き母が好きで食べていた」
「子どもの頃はおやつによく食べてました 大人になってからは日本酒のつまみに」
「そのまま日本酒のおつまみにしたり、細かく砕いて白ごはんに振りかけて食べたりします」
「こっちで『板わかめ』と呼ばれるものを炙ったやつですね 素干しワカメです」
「めっちゃ美味しいやつや」
地元民たちの郷愁をくすぐった炙りワカメとは何か? 他にはどんな島根料理を食べたのか?投稿者・トモさんに、初めての島根料理の印象を聞いた。
食べてみたら、見た目以上に...
トモさんは、東京周辺でとって食べられる食材を収集し、その体験をブログ「東京でとって食べる生活」やYouTube「東京でとって食べる生活ドキュメンタリー 」で発信している。
地方の珍しい料理を食べることが趣味でもあり、今回は仕事で島根に来たついでに、出雲大社にお参りして、宿泊地近くの居酒屋で出雲料理を食べたという。
炙りワカメは、店員さんに「島根の名物を食べたい!」と伝えたら運ばれてきたそうだ。
「『これはまた知らないのが来たな-!どうやって食べるの??』というのが素直な印象です。ちぎってそのまま食べる、とお店のお姉さんに教えてもらって、食べてみたら見た目以上に美味しくてびっくりしました」
お店に入ったときは「宍道湖のしじみを食べれればいいかなー」くらいの気持ちだったと語るトモさん。しかし、炙りワカメのほか、関東では馴染みのない料理がたくさん登場して、楽しかったそう。
たとえば、「赤てん」という料理にも、驚かされたという。
「すり身をあげたやつ?くらいの気持ちでかじったら、刺激的な辛さがピリッときて思わず『なにこれ!』と声をあげたほどです。スパムのような食感と色ですが、ちゃんと魚肉練り物らしい。こんなの始めてです。良いですね~!やっぱり地方料理は楽しい」(トモさん)
赤てんとは、何なのか? 農林水産省のサイト「にっぽん伝統食図鑑」によると、山陰屈指の漁獲量を誇る浜田港を擁する浜田市で生まれたらしい。
石臼を使ってすけとうだらのすり身に唐辛子を混ぜ込みながら丁寧に練り込み、ハムカツのように長方形に成形し、パン粉を塗して揚げている。地元のかまぼこ店がハムカツの代用品として考案したのが始まりとの説がある。
「切ると赤い断面が現れ、中に辛子を混ぜ込んでピリ辛味に仕上げた独特のねり物。周りにはパン粉を塗して揚げてあるのでサクサクとした食感が食欲をそそる」という。
トモさんは「あごのやき」も紹介していた。
これは、アゴ=トビウオのすり身を炭火で焼き上げたもの。旬のトビウオの旨味と甘みに加え、製造工程ですり身に練り込む地酒の香りが口一杯に広がるという。ちくわより肉厚で噛み応えがあり、食べやすい厚さに切って、そのまま食べるのが一般的(参照:農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」)。
出雲大社が鎮座する出雲地方、海の生活・山の生活が調和する石見地方、そして、隠岐諸島。島根県は3つの地域に分けることができ、それぞれ地域性が大きく異なるという。食の文化も、奥深い。
もっと知りたい人は、農林水産省「にっぽん伝統食図鑑」や、「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」を覗いてみてはいかが。