誰かの出身地を聞いた後に披露すると、かなりの確率でその人を怖がらせることができる「知識」が、X上で注目を集めている。
2025年8月5日、Xユーザーのきょくにゃん(@ky2g)さんが投稿したのは、4枚に分割された日本地図。
たとえば青森には「今」「一戸」「小田桐」「小比類巻」......地名だろうか? いや、一戸は聞いたことがあるが、他は......?
この不思議な日本地図に、きょくにゃんさんはこんな呟きを添えている。
「突然地域特有の苗字を指摘してフォロワーを怖がらせましょう!」
「『君この地域の出身なの? じゃあ〇〇って苗字の人知り合いにいるよね』と聞くとかなり高い割合で怖がってくれますよ」
地名じゃなくて、その地域特有の苗字だったのか! 〝ご当地苗字〟ってこんなにいろいろあるんだなあ......!
Jタウンネット記者は8日、注目を集めた「地域特有の苗字苗字マップ」について、投稿者・きょくにゃんさんに話を聞いた。
苗字の世界は奥深い
苗字について解説した同人誌の発行やYouTubeでの配信などを行うなど、「苗字系Vtuberのパイオニア」として活動しているというきょくにゃんさん。
小学生の頃、「四月一日(わたぬき)」、「八月一日(ほずみ)」といった難読な苗字があることを知って興味を持った事をきっかけに、電話帳や名簿などで苗字を探すようになったという。
「現在は苗字の分布と伝播に特に興味があります。苗字が発祥して人々の移住により、苗字が移動して現在の分布になるまで、長い歴史があります。とても一朝一夕にわかることではありませんがすごく興味があります」(きょくにゃんさん)
話題となった「苗字マップ」を作ったのは9年前のことだ。
「皆さんは『この地域に多い苗字』だとか『あまりいない苗字』とか、なんとなく肌感覚でわかっているかもしれないんですが、意外と他の地域の苗字は知らなかったりします」(きょくにゃんさん)
そこで、そういったことに興味を持つきっかけになってくれればと思い、地域特有の苗字をまとめた地図を制作するに至った。
きょくにゃんさんが地図に書き入れた「地域特有の苗字」は、その地域に分布が集中(概ね、全国世帯数に対して3割以上がその地域に分布)している苗字の内、由来などを説明しやすいものだという。
「以前、日本ソフト販売という会社が発売していた『写録宝夢巣』という苗字の分布がわかる電話帳ソフトが有るのですが、そのソフトのデータを眺めて目についた分布に特徴がある苗字を抜き出して、また紙の電話帳で補完したものです」(きょくにゃんさん)
なお、2県以上に集中する苗字は載せていないこと、また、ある苗字の分布が地域内でも偏っている場合もあることから、「この地図がしっくりこない人もたくさんいると思います」ときょくにゃんさんは補足する。「うちの地元でしか会ったことない○○さんは違うのかな?」「まわりに□□さんなんかいないけど?」と思った人は、そういうことかもしれない。
そして、きょくにゃんさんは、まだまだ載せるべき苗字は沢山あると語る。
「特に鹿児島県は苗字の種類が多いので特有の苗字も多く、沖縄県は分布するほとんどの苗字が特有なので、載せるのが大変でしたし、まだまだたくさんあると感じた人が多いと思います」(きょくにゃんさん)
日本の広さ、まだ出会ったことのない人の多さ感じさせる「地域特有苗字マップ」には、X上で8万1000件以上のいいね(12日昼時点)のほか、こんな声が寄せられている。
「地元の苗字だと『読める読めるぞ』ってなるけど、他の地域だと一般的にはこう読むけどそれであってるのか?ってなるような苗字もあるから怖い」
「自県には知り合いの苗字いっぱいあるのに他の都道府県のは会ったことのないのばかり!隣県に2つ3つあるくらい!これすっげー!」
「出身県のを見てみると、確かに上京してからは見かけないのに同級生にはいたよなって苗字がいくつかある」
「富山県民です。 他県の苗字は、馴染みのないものばかりなのに、富山県だけは、身近な苗字ばかりで吃驚!」
また、「静岡の勝又率まじで多い」、「沖縄は比嘉って言っとけば大抵当たります」など、地域特有の「苗字あるある」も多く寄せられている。
こうした反響に対し、きょくにゃんさんは
「皆さんが思う苗字のイメージやその地域の人がどう思っているか知れて嬉しいです。一方でこの画像だけ見ても苗字の奥深さの一端しか知ることができませんから、ぜひご自分でも自分の苗字を調べたりしてみてほしいです」
とコメントしている。皆さんの地元の〝特有の苗字〟は、マップに入っていた?