謎の古代民族、ピクト人の指輪が1,000年以上の時を経て発見される
Image credit: National Museum Scotland

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 スコットランド、マレーにある古代遺跡バーグヘッド砦でのアバディーン大学の発掘調査中に、1000年以上も手つかずのまま眠っていたピクト人の指輪が発見された。

 指輪は凧のような形をしていて、中央に赤いガーネットあるいはガラスが埋め込まれたなかなか凝ったデザインだ。

 詳しいことはよく知られていない謎のピクト人の歴史が新たにわかるかもしれない。

歴史から消えていった、謎多きピクト人

 ピクト人とは、ローマ帝国に支配されていた頃、スコットランド地方にいたコーカソイド種族のことだ。

 強大な部族だとされているが、文字の記録はほとんどなく、その実態はよくわかっていない。

 ケルト語を話していたこと、支配していた数人の王の名前などは知られているが、謎に満ちた民族だ。

 西暦8世紀頃、スコットランドに併合されて歴史から姿を消したとされている。

 バーグヘッド砦は、ピクト人がいた時代には重要な場所だったが、長い間忘れられていた。

 19世紀に砦のほとんどが取り壊されて町が建設され、漁業で栄えた。

 最近の発掘作業で、バーグヘッドにいたピクト人の過去が徐々に明らかになりつつある。

 この3年間で、高い金属加工技術と魅力的な建造物があったことを示す遺物がたくさん見つかり、この砦跡がかつてピクト人の権力の中心地だったことがよくわかった。

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ピクト人が使用していた精巧な指輪を発見

 かつてのピクト人の普通の住居だった建物の床から思いがけず指輪を発見したのは、ボランティアで発掘作業に参加していたジョン・ラルフ氏だ。

 専門家は指輪をひと目見るなり、その重要性に気がついた。

地中に1000年以上も埋まっていたにもかかわらず、宝石のようなものが埋め込まれているのがすぐにわかったのです

 現在、指輪はスコットランド国立博物館によって保管され、詳しい分析が行われている。

 ピクト人の指輪が発掘されることは稀なため、この遺物はバーグヘッドがピクト人にとって重要な場所だったことを示す証拠として大変に重要な遺物となる。

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バーグヘッドはピクト人の中心となる拠点だった

指輪の精巧なデザインは、これが地位の高い人物のために作られたものであることを示していて、バーグヘッドが権力をもつエリートの拠点だったという説を裏付けている。

 このことは、バーグヘッドが金属加工技術が発達した、政治的、経済的に影響力の大きい場所だったことがわかる。

  下の画像はバーグヘッドの3D復元図。発掘を主導したアバディーン大学のゴードン・ノーブル教授らが作成したもので、ピクト人が住んでいた砦の歴史がよりリアルに感じられる。

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