吸い込まれたら一巻の終わり!恐怖のダム穴、グローリーホール

吸い込まれたら一巻の終わり!恐怖のダム穴、グローリーホールの画像はこちら >>

 ダム穴とは、ダム湖やため池などの人造湖の水位が一定以上にならないよう、調整するための放水路に通じる取水口である。

 さまざまな形や大きさのものが世界中で稼働しており、根強いファンやマニアがいる。

私もそんな1人だ。

 中でも上向きに開いた円形のものは「グローリーホール」と呼ばれており、形状が朝顔の花(モーニング・グローリー)に似ていることから名付けられた。日本語の名称もやはり「朝顔型洪水吐」なんだそうだ。

 ダム穴の魅力に取りつかれる人も多い中、アメリカのとある男性が、ドローンを飛ばしてダム穴の内部を撮影した映像をYouTubeに投稿し、話題を呼んだ。

朝顔の花のような円形のダム穴

 アメリカのカリフォルニア州ナパ郡にあるモンティセロ・ダムは、州内で7番目に大きい人造湖・ベリエッサ湖を形作っており、美しいダム穴があることで有名だ。

 文字通り、朝顔の花のように見えるグローリーホール。

[画像を見る]

 モンティセロ・ダムのダム穴は、湖面での直径が約22m。ダム湖の水位が130mに達すると自動的に放水を開始する。

 最大で毎秒約1,370立方mもの水を排水することができ、流れ出た水は600mほど下の方にあるプタ川に注ぐようになっているそうだ。

 ただし、このダム穴が実際に排水口としての役割を果たす頻度は多くない。

 最後に越流、つまり自然に水が流れ込んだのは2019年2月26日のことで、それ以来今日まで、水位が穴の縁を上回ることはなかったらしい。

水位が上がると穴の中に水が吸い込まれていく

 今回紹介する映像は、2017年2月に撮影されたもの。この時、現地は記録的な大雨に見舞われており、ダム湖の水位も上昇していた。

 撮影者はYouTubeチャンネル「NorCal HID Matt Casias」を運営するマット・カシアス氏。

 2月17日付の映像では、まだそこまで水の勢いはなく、マットさんのドローンは上空からダム穴内部へと高度を下げていく。

[画像を見る]

 ダム穴の内側から縁を見上げるとこんな感じだ。このくらいの水量では、コンクリートの内壁がよく見える。

[画像を見る]

 この日、水量はかろうじて穴の縁を越えるくらい。天気が良いので、ドローンの映像も美しく仕上がっている。

[動画を見る]

 だが、2月19日付の映像では、水位は大幅に上昇しており、穴に流れ込む水流は激しさを増している。

 ご覧のように、すごい勢いで水がこのダム穴に吸い込まれていく様子は圧巻だ。

[画像を見る]

 水量も水の勢いもかなりのもので、もし人間が間違って近づいたら、あっという間に吸い込まれてしまうだろう。

ダム湖で泳いでいた女性が吸い込まれて死亡する事故も

 実はこのモンティセロ・ダムのダム穴では、1997年に死亡事故が起こっている。

 この年の3月9日、午後6時半頃。地元ナパ郡の住人で41歳のエミリー・シュワレクさんは、なぜかベリエッサ湖で泳いでいるところを目撃されていた。

 この日もダム湖の水位は高く、水はかなりの勢いでダム穴に流れ落ちていたという。

 泳ぎが得意だったという彼女は、穴の縁に約20分間しがみついていたが、救助が到着する前に力尽きてダム穴に吸い込まれた。

 そして残念ながら、彼女の遺体は後に下流で発見された。なぜダム湖で泳いでいたのか、自殺だったのか事故だったのかは、いまだにわかっていないそうだ。

 下の映像は2019年の増水時に撮影された、水鳥がこのダム穴に吸い込まれていく様子だ。

 泳ぎが達者な水鳥も、あっという間に吸い込まれてしまう。幸いにしてこの鳥はどうやら無事に脱出できたそうだ。

[動画を見る]

 水位が下がっている時のダム穴は、このように水面からコンクリートの巨大な筒が突き出ているビジュアルだ。

[画像を見る]

 ちなみに日本国内には、グローリーホールと呼べるような円形のダム穴は少ないそうで、完全に朝顔形のものは宮崎県の芋洗谷ダムと、ダムではないが千葉県いすみ市深谷の貯水池のものくらいしかないらしい。

[動画を見る]

 とはいえ四角や半円形のもの、屋根付きのものなど、さまざまな形状のダム穴が日本にも存在しているので、ダム穴を探しに出かけてみるのもいいかもしれないな。

[動画を見る]

編集部おすすめ