
日本では、1人で食べられる焼き肉店なども登場し、女性が安心して外食を楽しめる「ひとり飯」はもはや当たり前の光景となっている。だがそれは日本だけではなかったようだ。
仲間や家族と外食を楽しむ文化のあるアメリカでも、一人でレストランで食事をすることが「自分だけの時間を楽しむ」新しいライフスタイルとして人気を呼んでおり、ひとりでの予約が急増しているという。
新たなライフスタイル「ひとり飯」がトレンドに
レストラン予約サイト「OpenTable」によると、アメリカのレストランでは過去2年間で一人の予約が29%増加しているという。前年同期比で8%増加した。
アメリカ人2000人を対象とした調査では、回答者の60%が過去一年間にひとりで食事をしたことがあると答えた。
そのうちの68%を占めていたのが、ミレニアル世代(1980~1996年生まれ)とZ世代(1996~2012年生まれ)だったという。
ひとり飯が増加している理由
ひとり飯(ひとりメシ)が増加している理由は、家で調理や後片付けをしなくて済むので便利、新しいレストランを開拓したい、日常を忘れて自分へのご褒美のため、自分だけの時間を大切にしたいなどさまざまだ。
さらに、バーテンダーや給仕をしてくれる店のスタッフやほかの客との会話を楽しむ人もいる。
レストランの経営者、業界関係者などの調査によると、ミレニアル世代とZ世代がひとり飯を牽引しているようだ。SNSの情報のおかげで、ひとり飯に適したレストランを見つけやすくなったこともある。
メキシコ料理の「チポトレ」やヘルシーレストラン「スイートグリーン」などのファストカジュアルレストランが増えたことも、ひとり飯に一歩踏み出したい人の追い風になっている。
こうしたレストランは敷居が低く、ひとりで店に入っても気まずさを感じないためだ。
ひとり飯の増加はライフスタイルの変化を反映したもの
コロンビア大学ビジネススクールでレストランコンサルタントとして教鞭をとっているスティーヴン・ザゴール氏は、「ひとり飯のトレンドは、より大きな社会的行動を映し出している」と語る。
アメリカ人の30%は独り暮らしで、より晩婚になっていて、結婚そのものが少なくなっている。
25~49歳の米国人のうち、結婚して子どもがいる人は37%たらずで、1970年の67%から大きく減少している。
客側のひとり飯に対する意識も変化している。
2022年に1200人を対象にした調査では、回答者の60%がカジュアルダイニングレストランでひとりで食事をすることに抵抗がないと思っていることがわかった。
レストラン側にとってのビジネスチャンス
店側もひとり飯トレンドの需要に気づいていて、シェフの近くのテーブルやカウンターなどのひとり用の席を増やすなど、戦略を工夫している。
予約の時間帯もさまざまに変化している。
ランチや午後遅くのソロ予約が増えていて、これまではひとり客はカウンター席を好む人が多かったが、最近はプライベート感が確保できるこじんまりしたテーブル席やブース席を選ぶ人が増えてきたという。
ひとり用の少な目の料理を揃えている店もあり、おひとりさまにとってより利用しやすくなっている。
ひとり客の意図を意識し、彼らに特別なひとときを提供するチャンスを活かそうと考えている店が増えてきているのだ。
かつてアメリカでは、ひとりで食事をしていると、まわりから”あの人、恋人いないのかしら?”とか、”寂しそう”と奇異な目で見られるのが常だったそうだが、今は隔世の感がある。
私は小学生時代から1人で外食するのは好きで、現在も全く抵抗なく、町中華や定食屋にふらっと入るのだが、まだ焼肉はトライしたことないな。焼肉ライクの出店を心より望んでいる次第である。