別の意味でスリリング!イギリス最古の木製ジェットコースターが走行中に崩れ落ちる

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 ジェットコースターの醍醐味は、「スリル」という一点にあると言っても過言ではないと思う。最新型のジェットコースターは技術的進歩により高さや速度、ひねりなんかも加えて恐怖の度合いも加速している。

 だがそのスリルを楽しめるのも、安全だという前提があってこそ。本当に怖いのは、速くも高くもひねりもないが、年季の入ったものなのかもしれない。

 イギリスで一番古い木製のジェットコースターで、走行中にコースの一部がボロボロに崩れるという事故が起きた。乗っていた人は別の意味でスリルを味わったようだ。

イギリス最古の木製コースターが崩壊

 2024年8月10日、イングランドのケントにある遊園地「Dreamland Margate」のイギリス最古の木製のジェットコースターでそれは起きた。

 木製のレールの上を進んでいくと、スロープを上る途中で、何かが落ちているように見える場所があった。

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 車体はそのまま進んでいくのだが、スロープを上ったところでスピードを落としていったん止まり、今度は猛スピードで後ろ向きに進み始めた!

 するとなんと車体の下から、ボロボロになった木材と、穴だらけになったコースが現れたのだ!

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ケガ人はなかったが、施設は閉鎖に

 この映像はオランダのテーマパーク愛好家アンドレ・ボーマンズさんが、愛好家仲間といっしょにこのライドを訪れた際に撮影したもの。

ほとんどの友人たちは既に乗車していましたが、私は撮影のために一番前の席を確保したくて、1回待つことにしたんです。

彼らは普通に乗車を終え、私の番になりました。最初の部分はいつも通りでしたが、2回目のリフトのところで、コースの上に何かがあることに気づきました。

これは必ずしも珍しいことではありません。何度も警告されているにもかかわらず、乗車中に持ち込んだアイテムを紛失する人はいるからです。

その後、私はコースターがわずかに横に動くのを感じ、急ブレーキがかかったのを感じました。車体が後退したとき、コースにダメージがあるのが見えたんです

 この後乗客はスタッフの迅速な誘導で安全な場所に避難したが、幸いにしてケガ人などはいなかったそうだ。

スタッフは全員が大丈夫かどうかを何度も確認し、私たちには食べ物と飲み物が提供されました。

私はすぐに、自分が見たものと撮影した映像について報告しました。スタッフは何が起こったのか、そしてもちろんどうすれば防げるかという調査に役立てるために、映像を欲しがりました。それで私は、映像を彼らと共有したんです

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1920年に導入された100年以上前の木製コースター

 このジェットコースターは「Scenic Railway Ride」という、イギリスで最も古いとされる木製コースターである。

 導入されたのは1920年。機械部分はアメリカから取り寄せたものの、コースや車体は地元の木材を使って作られたのだそうだ。

 以来イギリスの各地で、同様の木製のジェットコースターが子供たちの人気を博すことになるのだが、1972年、ロンドンの遊園地にあった木製のジェットコースターで、5人の子供が死亡するという大事故が起こった。

 この事故をきっかけに、イギリスでは木製のジェットコースターへの信頼は失われ、多くの遊園地で撤去されることとなった。

 だがこのScenic Railway Rideは、「イギリス最古のジェットコースター」という歴史的価値から解体を免れ、保護措置が取られることに。

 以後は珍しい木製コースターとして営業を続けていたが、1949年、1957年の2回火災に見舞われたほか、2008年には放火されてライドやコースの大部分を失った。

 しかしその存在を惜しむ声は大きかったようで、大規模な修理が行われた後、2015年に再オープン。Dreamland Margate の目玉として人気を集めていたという。

 下の映像は、2年前に全コースを撮影したものだ。

よく見ると枕木部分に補修の跡が見えるような?

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 ちなみに現在も運行されている中で、世界最古のジェットコースターは、1912年に運用を開始したThe Great Scenic Railwaという木製コースターで、オーストラリアのLuna Park Melbourneにある。

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日本にもある木製ジェットコースター

 さて、日本国内に目を向けてみると、我が国には現在、木製のジェットコースターは3種類存在している。

 一番古いものは1992年開業の城島高原パークにある「ジュピター」で、この名称は「木製」と「木星(ジュピター)」をかけてつけられたものだそう。

 さらに東武動物公園では水上木製コースター「レジーナⅡ(ドゥーエ)」が、ひらかたパークでは「エルフ」が営業中だ。

 かつてナガシマスパーランドにあった「ホワイトサイクロン」は2018年に営業を終了。現在はハイブリッドコースター「白鯨」として生まれ変わっている。

 ちなみに今回の映像を撮影したアンドレさんは、ナガシマスパーランドを訪れたことがあり、テーマパークのみならず、温泉や和食を堪能して帰ったそうだ。

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 木製コースターは鉄製のものに比べ、どうしても老朽化が早いという問題がついて回る。安全に営業を続けるには、大幅な改修やきめ細かいメインテナンスが不可欠だろう。

 今回の事故を起こしたScenic Railway Rideは、現在営業を停止しており、再開の目途はまだ立っていないようだ。

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