
アメリカのフロリダ州を直撃したハリケーン「ミルトン」。各地に多くの爪痕と逸話を残した特大ハリケーンだったが、その襲来に備えていた人たちも確かにいた。
オーランドに住むペドロ・カサレスさんは、自宅をコンテナ用のベルトで固定することを思いついた。
地面にフックを埋め込んで、黄色いベルトで家を丸ごと固定。その斬新な方法は当初話題を呼んでいたが、実際にハリケーンが襲来した後、ペドロさんの家は無事だったのだろうか。気になる結末は?
ハリケーンに備えて家を丸ごと「ベルト」で固定
ハリケーン「ミルトン」が刻一刻と近づいていた2024年10月初旬。プエルトリコ出身のペドロさんは、なんとか自宅をハリケーンから守りたいと考えた。
そこで思いついたのが、船の上でコンテナを固定するのに使う、プラスチック製の固定ベルトだ。彼は2万2000ドル(約328万円)の資金を投入し、アイダホ州のメーカーに固定ベルトとフックを特注した。
ご覧の通り、地面にはフックがありますが、これは8フィート(約2.4m)の深さに埋められたコンクリートに繋がっていて、浮き上がらないようになっているんです
取材を受けたペドロさんの娘、ライサさんは、カメラに向かってこう説明する。
実はペドロさんの家族は、かつてプエルトリコの島グアイナボに住んでいた頃、やはりハリケーンに襲われて、家の屋根が吹き飛ぶという被害に遭ったことがある。
その20年以上前の経験から、彼は今回、ベルトで屋根ごと固定してしまうというアイデアを思い付いたのだ。
このベルトとフックは、合計で約2,450kgもの荷重に耐えられるように設計されているんだそうです。とにかく、試してみましょう!
この斬新なアイディアは当時アメリカのメディアで取り上げられ話題となった。
さて、無事にハリケーンをやり過ごすことができるのだろうか。
屋根も無事!ハリケーンの被害はほぼゼロで済んだ
さて、ハリケーン一過のペドロさん宅は?
ライサさんのTikTokでの報告によると、家は無事だった! 黄色いベルトも、板で覆った窓も、ミルトンが去った後そのままの状態を保っていた。
私たちは元気です。今、家の外へ出た片付けをしながら、被害がないか確認しました
あちこちに葉っぱが散乱していますが、ありがたいことに家は無傷です。近くには被害を受けた場所もたくさんあります
瓦は一枚も浮いていません。それ以外も小さな被害だけで、ひどいものではありませんでした
この様子を見た視聴者からは、称賛の声が送られていた。
- これはもう「伝説」だね
- お父さんはとても賢い人だ。無事でよかったよ!
- 自分もプエルトリコにいたとき、木造の家で同じことをした。ハリケーン「ヒューゴ」と「ジョージ」を生き延びたのはその家だけだったよ
- 自分はカナダに住んでいるので、ハリケーンというと「強風で何かが飛んでくる」というイメージしかなかったんだ。このアイデアは確かに理にかなっているね。家を失うリスクが減る。飛んでくるものは避けられないけど……
- ストラップと屋根の間に防水シートを敷いた方が良かったんじゃないかな
- これは新たなビジネスになるんじゃないか?
- 早く特許を申請した方がいい!
ミルトンは上陸時には「カテゴリー3」まで勢力を落とし、当初の当局の想定より被害は小さくて済んだようだ。
フロリダ州の人口密集地であるタンパは直撃を免れ、恐れられていた高潮による致命的な被害も発生しなかった。
現在、空港やウォルト・ディズニー・ワールドなどのテーマパークも再開され、フロリダの観光産業は既に正常に戻り始めている。
だが現地はまだハリケーンのシーズン真っ只中。ライサさんは当分の間、このベルトは設置したままにしておくつもりだそうだ。
追記:(2024/10/14)本文を一部訂正しました。
References: Update on ‘legendary’ man who strapped down his entire house in preparation for Hurricane Milton[https://www.unilad.com/news/us-news/man-straps-down-house-hurricane-milton-update-849790-20241011]