ESAが運用する近赤外線宇宙望遠鏡「ユークリッド」がとらえた超高精細な宇宙地図が公開された。
南半球の132平方度をカバーする208ギガピクセルのこのマップは、ユークリッド宇宙望遠鏡による史上最大の3D宇宙マップ作成という6年間におよぶ旅の始まりを告げるものだ。
公開された画像は観測できる範囲のほんの1%でしかない。どんだけ宇宙広いんだよってことだ。だが、これまで誰も見たことがないほど繊細な銀河の姿を私たちに教えてくれる。
史上最大の宇宙の3Dマップ作成ミッション
宇宙望遠鏡と言うとジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡が思い浮かぶが、地球の外から深宇宙に目をこらす望遠鏡はほかにもたくさんある。
今回のユークリッド宇宙望遠鏡は、ESAが2023年に打ち上げ、2024年2月から観測を開始している最新型だ。
その主な目的は、宇宙の膨張の正確な観測を通じて、ダークエネルギーとダークマターの謎を解明することである。
今回公開された画像は、史上最大の3D宇宙地図作成ミッションの一環として公開されたもの。
このミッションでは、今後6年かけて空の3分の1を観測し、100億光年先までの数十億の銀河がマッピングされる。
まずは映像を見ながら壮大な宇宙旅行にいざなってもらおう。
これが今回公開されたユークリッド宇宙望遠鏡がとらえた宇宙の姿だ。
左上の楕円形の画像の黄色い枠の部分は、全天図(41,000平方度)と今回の画像の位置を示している。
左下の画像は今回の画像の倍率を変えたもので、600倍まで拡大すれば渦巻銀河の繊細な姿が見えてくる
驚異的な詳細度で捉えた宇宙の姿
今回、その旅の幕開けとして公開されたモザイク状の画像は、2024年3月25日~4月8日に行われた260回の観測で構成されている。
2週間で観測された部分は観測できる範囲ののほんの1%でしかないが、132平方度をカバーする南半球の空は、満月の500倍もの面積に匹敵する。
そこに含まれている天体は、天の川銀河の星々やそのほかの銀河をはじめ、およそ1億にも達するという。
また、そのうち1400万の銀河は、ユークリッド宇宙望遠鏡の主要な目的であるダークマターとダークエネルギーの影響を研究するために利用できるとみなされている。
その美しさは、拡大すればするほどよくわかる。
どんどん画像をズームし、600倍にまで拡大してみれば、元のサイズでは気づきもしなかった渦巻銀河の複雑かつ繊細な構造がはっきりと見えてくる。
もう1つ注目すべきなのは、天の川銀河の星々の間にある淡い青白い雲だ。これらはガスと塵が混ざったもので、「シラス(巻雲)」と呼ばれる。
ユークリッド宇宙望遠鏡の超高感度可視光カメラがとらえたのは、シラスによって反射される天の川銀河の光だが、過去には遠赤外線によってもその輝きが観察されている。
なお現在の時点で、ユークリッド宇宙望遠鏡は観測の12%をすでに終えているという。
53平方度の深域調査のプレビューは、2025年3月に公開予定。また、同ミッションの最初の宇宙データは2026年に公開予定であるそうだ。
[https://www.youtube.com/@DurhamUniversity]
References: Euclid “Dark Universe” Telescope Unveils Stunning 208-Gigapixel Window Into the Cosmos[https://scitechdaily.com/euclid-dark-universe-telescope-unveils-stunning-208-gigapixel-window-into-the-cosmos/] / ESA - Euclid survey’s sneak preview[https://www.esa.int/ESA_Multimedia/Videos/2024/10/Euclid_survey_s_sneak_preview]











