天王星の衛星「ミランダ」の地下にはまだ液体の浅い海が存在しているかもしれない
天王星の衛星ミランダ。1986年、ボイジャー2号が撮影/Image: NASA/Jet Propulsion Laboratory-Caltech

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 太陽から7番目にある惑星「天王星」の衛星「ミランダ」の地下には、液体の水の海が隠されているかもしれない。

 この驚きの新説は、ミランダの地表をマッピングし、そこから衛星に働く潮汐力をモデル化することで導き出された。

 米国ノース・ダコタ大学をはじめとする研究チームによると、過去1億~5億年の間には深さ100kmを超える海が存在した可能性が高いのだという。

 現在もそのような深い海がある見込みは薄い。だが浅い海なら残っているかもしれない。というのも、ミランダの表面に亀裂がなく、完全に凍結しているとは考えにくいからだ。

個性的な第7惑星、天王星

 太陽系の第7惑星「天王星」は、ひときわ個性的な惑星だ。ほとんど横倒しになった自転軸、メタンによる青緑色、極端な季節の変化、赤外線のオーロラなど、ユニークな特徴をいくつも持っている。

 土星ほど壮麗ではないが、環だってあるし、ついでに30個近くもの衛星をともなっている。

 衛星について言えば、じつは今年初めにも新しい衛星が発見された。

 とても小さな衛星で、幅はほんの8km程度しかないが、2年かけて天王星をぐるぐると公転している。

 この衛星に名前はまだないが、ほかの衛星と同様、いずれシェイクスピアかイギリスの詩人アレキサンダー・ポープの作品にちなんだ名前が与えられることだろう。

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天王星の衛星ミランダの外部の特徴から内部をモデル化

 だが、今回の話は、その新入りではなく、1948年に発見された衛星「ミランダ」についてだ。

 ミランダはまるで抽象画のようなゴツゴツとした地表が特徴だ。その地形は、ミランダに作用する潮汐力と内部の熱によって形成されたものだと考えられている。

 今回、米国ノース・ダコタ大学をはじめとする研究チームは、こうした外部の特徴に基づいて、ミランダの内部をモデル化した。

 ミランダの表面に見られる力やズレの痕跡を手がかりに、それらを形成した内部の力を推測してみたのだ。

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ミランダにはまだ液体の浅い海が残されている可能性

 それによると、ミランダは、ほかの天王星の衛星と重力で互いに作用しあい、軌道を変化させているという。

 その結果として、衛星の内部に脈動するような熱が生まれ、なんと過去のどこかの時点では深い海が存在したと考えられるのだという。

 厚さ30kmもの氷の地殻から推測すると、その海の深さは100kmを超えた。

 残念ながら、そこまで深い海が現在も存在する可能性は低い。だが、もしかしたらその一部はまだ残されていて浅い海が残っているかもしれない。

 となると気になるのは、生命が存在する可能性だ。

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地球外生命体が存在する可能性は?

 太陽系で地球外生命を探す研究者は、こうした液体の海に熱い視線を注いでいる。

 たとえば木星の衛星「エウロパ」「ガニメデ」、土星の衛星「エンケラドス」などは、その氷の下に液体の海が存在すると考えられており、地球外生命発見の有力候補となっている。

 もしも現在のミランダにまだ海が残されているのなら、この衛星もまた地球外生命発見の有力候補ということになる。

 ミランダに探査機が送られるのは、しばらく先になるだろう。

 だが木星の衛星なら、ESAの探査機「JUICE」がガニメデなどを目指している最中だし、つい先月もNASAが探査機「エウロパ・クリッパー」を打ち上げたばかりだ。

 そこで発見されることは、天王星の衛星ミランダを理解をするための大切な手がかりになるかもしれない。

 この研究は『The Planetary Science Journal[https://iopscience.iop.org/article/10.3847/PSJ/ad77d7]』(2024年10月15日付)に掲載された。

References: Uranus' moon Miranda may have an ocean beneath its surface, study finds[https://phys.org/news/2024-10-uranus-moon-miranda-ocean-beneath.html]

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