無償の愛にグっとくる。我が子を失った盲目のオポッサムが立派な代理母になるまでの物語
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 アメリカ大陸に生息している有袋類のオポッサムは、母子の絆がとても強く、子育てを頑張る生き物だ。

 カラパイアでも、背中にいっぱい赤ちゃんを乗せたママ・オポッサムの姿とかを紹介しているので、なんとなくイメージが浮かんでくるんじゃないかな。

 アメリカのサウスカロライナ州では、目の見えない保護オポッサムのお母さんが、親を亡くした子供たちの面倒を自らみてくれるうになったそうだ。

 自分の子供じゃなくても、大切に面倒を見てくれるお母さんオポッサムの愛情深さにグっときたんだ。

目の見えないオポッサムのお母さんが孤児の里親に

 サウスカロライナ州のウォルターボロを拠点に活動している野生動物の保護団体、キーパー・オブ・ザ・ワイルド[https://keeperofthewild.org/]のボランティアスタッフ、サマンサ・マクドゥーガルさんは、助けが必要なオポッサムを預かって世話をしている。

 ある日のこと、親を失った赤ちゃんを預かって来たサマンサさんは、同じ部屋にいる盲目のオポッサム、オーディが歯をカチカチと鳴らしているのに気づいた。

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 オポッサムは子どもやパートナーを探す時に、このカチカチという音を立てるのだという。

 すると部屋の向こうから、引き取って来たばかりの赤ちゃんが「チッチッ」という鳴き声を上げた。まるでオーディの呼びかけに応えるように。

 まだ会ったこともない2匹は、なぜかお互いの存在を察知し、「いっしょにいたい!」とサマンサさんに訴えかけているようだった。

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 そこでサマンサさんは、赤ちゃんをオーディのもとへと運び、慎重にふたりを近づけてみた。

私は「これが天の采配なのか見てみよう」と思ったんです

 すると赤ちゃんは迷うことなくオーディのもとへと這い寄って行き、オーディもまた、自分の子供のようにすぐに赤ちゃんを受け入れてたのだ!

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母性本能にあふれる盲目のオポッサム

 オーディは犬に襲われて大ケガを負い、両目の視力を失った。彼女が、保護されたとき、お腹のポケットには2匹の小さな赤ちゃんがいた。

 オポッサムは有袋類の一種で、カンガルーのようにお腹に赤ちゃんを入れるポケットがついており、通常10~20匹の子供を産むと言われている。

 それが2匹しかいなかったということは、おそらく他の子供たちは、オーディが襲われた際に命を落とした可能性があるという。

 実はオポッサムは非常に子煩悩な生き物で、子供を失うと親は悲しみ、落ち込んで生きる意欲をなくすのだという。

 オーディは子どもたちを失い、視力まで失うという悲劇に見舞われたが、彼女の母性本能は失われてはいなかった。

 ケガが癒えると、オーディは親を失ったオポッサムの孤児たちを、まるで自分の子供のように愛情深く受け入れ、面倒を見るようになった。

 映像の中でオーディの傍にいた子供たちは、彼女自身の子供ではなく、やはり里子なのだそうだ。

 だから今回も、サマンサさんには「きっとオーディが受け入れてくれる」という確信があったのだろう。

オーディ自身の子供たちは、既に大きくなって別の場所にいます。彼らは野生に帰る準備をしているんです。

赤ちゃんたちの安全のためにも、同じ大きさの子供たちだけを一緒にするようにしています

 保護された赤ちゃんオポッサムたちは、いずれは野生へと帰っていかなければならないが、オーディは彼らがお外の世界で安全に暮らせるように、オポッサムとしての生き方を教えてあげている。

 人間がいくら愛情を注いで育てたとしても、これだけは真似のできないことなのだ。

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生まれた子供のうち生き残るのは半数以下

 オポッサムが多産なのは、無事に育つのが難しいことの裏返しでもある。成獣になれるのは、生まれた子供の半分以下なのだそうだ。

 他の動物に襲われるケースも多いが、最近は人間が原因で命を落とすケースもふえているという。

 特にサマンサさんが心を痛めているのは、善意で赤ちゃんを保護した結果、世話の仕方を間違えて死に至らしめてしまうケースだという。

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 今回の赤ちゃんが保護される直前にも、サマンサさんにとって悔やまれる出来事があった。

 赤ちゃんオポッサムを保護したという人が連絡を取って来たのだが、何も食べさせるなというアドバイスをきかず、ハムスターの餌やバナナを与えてしまったという。

 また、自力で体温を維持できない赤ちゃんのために、お湯の入ったボトルか温熱パッドを近くに置いて、温めてあげて欲しいという要望も無視された。

 その結果、サマンサさんのもとへ来たときの赤ちゃんは、お腹がパンパンになっていてもう手遅れだった。

彼が息を引き取るのを、私は見ているしかありませんでした。私の手の中で、冷たくなっていくのを感じていました。

そして私は、「この子が死んだのはあなたのせいです」ということを、保護してくれた人にうまく伝えなければならなかったのです。

野生動物を保護したら、すぐに保護施設や病院などへ連れて行ってください。よく知らない生き物に、みだりに水や食べ物を与えないでください

 可愛いから飼いたいと思ってしまう気持ちも理解できるが、彼らはペットではなく、あくまで野生の生き物なのだ。

 さて、オーディは今回の赤ちゃんを受け入れてから半月後、さらにもう1匹の養子を受け入れてくれたそうだ。

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References: Blind Opossum Keeps Changing The World For Baby Orphans She'll Never Be Able To See[https://www.thedodo.com/daily-dodo/blind-mama-opossum-cries-out-for-the-sweetest-reason]

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