
最近ではアルコールを摂取することで健康に悪影響を及ぼすという研究結果が数多く報告されているが、では髪の毛はどうなんだろう?
お酒を飲むことで、男性型脱毛症(AGA)になり、進行してしまう可能性はあるのだろうか?気になっている人も多いはずだ。
これまで、お酒を飲む人は、飲まない人に比べてAGAになりやすいといわれており、最新の研究では本当にそうなのかをきちんと調べてみることにしたという。
はたしてどうだったのか?
飲酒と毛髪の関係
男性型脱毛症(AGA)は、思春期以降に発症する進行性の脱毛症のことである。
典型的なものは、こめかみの上から徐々に薄くなり、生え際の後退により特徴的な「M字」パターンとなる。
また、頭頂部の毛髪は細くなり、薄毛や禿髪となり、かなり目立つ部分の容姿を大きく変貌させるため、その人の心に大きな打撃となることも多い。
その原因としては、主に遺伝やホルモンなどが関係するとされているが、タバコや食事、ストレスなども挙げられている。
ではお酒はどうなのか?
ほどほどなら美味しくて楽しいお酒だが、それが健康に与える悪影響は周知の通り。肝臓・心血管系のダメージやがんなど、さまざまな病気につながる恐れがある。
となると、気になるのはそれが髪の毛に及ぼす影響だ。
これまでは、アルコールを代謝したときにできる「アセトアルデヒド」(二日酔いの原因だ)が頭皮の免疫に干渉し、薄毛が進行すると考えられていた。
ただし、これはあくまで仮説であって、きちんとした裏付けがあるわけではない。
アルコールとAGAの関連性は限定的
そこで韓国、釜山大学のキム・ユンハク教授らは、実際のところお酒で薄毛になるのかどうか、過去に行われた関連研究の統計的レビューとメタ分析をして確かめてみることにしたのだ。
その結果は、お酒を飲むと薄毛になる危険性が1.4倍になるというものだった。過去の研究の中には、確かにお酒と薄毛の関連を示すものがあったのだ。
ただし、これにはちょっと注意が必要だ。
つまり、1.4倍という結果を偶然以上のものとみなすことはできない。
この時のデータでは、たまたまそうだった以上のことが言えないのだ。また違うデータを調べてみれば、違う結果になる可能性は十分にある。
実際、お酒と薄毛に軽い関連性があるという研究があった一方、より信頼性の高いデータを調べた研究では、そのような証拠は見出されなかった。
逆に、お酒を飲んでも薄毛にならないという証拠が見つかったわけでもない。
わかったのは、お酒で薄毛になるリスクについては、今後も研究を続ける必要があるということだけだ。
キム教授らは、お酒とAGAの影響をもっと詳しく知るために、大規模で、しっかり管理されたグループから得られたデータで研究するべきだろうと、プレスリリース[https://www.eurekalert.org/news-releases/1066145]で述べている。
「お酒を飲んでも大丈夫」という言葉を聞きたかった人もいるだろうけど、更なる研究結果を待つしかないな。逆にやっぱりダメだったとなるかもしれないので、あまり期待せずに待とう。
個人的にはやはり遺伝的なものが大きくて、進行の度合いは生活習慣なんじゃないかって思うんだけどどうだろう?
この研究は『Alcohol and Alcoholism[https://academic.oup.com/alcalc/article-abstract/59/6/agae076/7889297?redirectedFrom=fulltext]』(2024年11月11日付)に掲載された。
References: Pusan National University researchers explore | EurekAlert![https://www.eurekalert.org/news-releases/1066145]