地球の水の起源は宇宙にある、NASAの新たな発見により裏付けられる
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星/Credit: ESA/Rosetta/NAVCAM

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 地球を覆う広大な海、その水はどこから来たのだろうか?

 NASAが「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(67P)」のデータを改めて検証したところ、やはり地球の水は宇宙に起源があることが裏付けられたそうだ。

 地球の水が小惑星によって運ばれたという説には強力な証拠が得られている一方、彗星が果たした役割については矛盾したデータが研究者を悩ませてきた。

 今回、NASAゴダード宇宙飛行センターをはじめとする研究チームが、ESAの彗星探査機「ロゼッタ」のデータを再検証してみたところ、矛盾と思われたデータは彗星の塵によって歪められていたことが明らかになったという。

地球の水はどこからやってきたのか?

 生命の起源は今も謎めいているが、生命にとって不可欠な水の起源もまた同様だ。

 46億年前に地球が産声を上げようとしていたとき、ガスと塵の雲の中で水が作られた可能性はあるが、それは太陽の強烈な熱によって蒸発してしまったはずだ。

 ところが今私たちが目にしているように、この地球には液体のままの水が豊富にある。なぜ地球がこのような姿になったのかについては、かねてから議論が交わされてきた。

 これまでの研究からは、「火山」の噴火によって噴出した水蒸気が集まって雨となり、やがて海が形成されたのではないかとの仮説が提唱されている。

 一方、地球に衝突した「小惑星」や「彗星」によって、水の大部分が持ち込まれたことを示す証拠も見つかっている。

 今から40億年ほど前、地球をはじめとする太陽系の内惑星では、今よりももっと衝突が頻繁に起きていた。それによって宇宙から水がもたらされたと考えられるのだ。

 この地球の水宇宙起源説に関連して、小惑星と地球の水との結びつきはかなり強力に裏付けられている。

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水宇宙起源説に関する矛盾

 ところが、今回小惑星と地球の水との結びつきを調べるため、「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」を調査した研究者らは、その結果に驚き困惑したという。

 一般に、「木星族」に分類される彗星を測定した結果からは、そこに含まれる水と地球の水とには関係があるだろうことが確認されている。

 その関係を示すのは、「水素」と「重水素」の比率だ。重水素は水素よりも重たい同位体だが、これを多く含む水は、寒い場所で作られた可能性が高い。

 したがって、土星軌道の外側で形成された木星族彗星のように、太陽から離れたところで作られた彗星ならば重水素が多くなる。

 反対に、小惑星のように太陽の近くで作られた天体ならば、重水素は少なくなる。

 そしてこれまでの木星族彗星に含まれる水の分析では、地球の水と同程度の重水素が確認されている。

 これを踏まえるのなら、彗星もまた地球が水を獲得するうえで大切な役割をになっていた可能性が高い。

 ところが、それを覆すような発見がなされたのだ。

 2014年に欧州宇宙機関(ESA)の彗星探査機「ロゼッタ」は、木星族彗星の1つである「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星」のコマ(彗星を取り巻くガスや塵)に含まれる水を調べた。

 すると、想像をはるかに超える大量の重水素が確認されたのだ。

 地球の海の水は、水素原子6,420個あたり1個の重水素を持っている。だがロゼッタの測定値はその3倍もの重水素を示していた。

 この結果は研究者たちに衝撃を与え、地球の水は彗星にも由来するという説は見直しを迫られることになった。

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驚きの新事実!計測値は彗星の塵によって歪められていた

 今回、NASAゴダード宇宙飛行センターの惑星科学者キャスリン・マンド氏は、ロゼッタの測定値の再検証を試みている。しかも一部のデータではなく、もっと包括的にデータを検証してみることにしたのだ。

 1万6000以上もあるのロゼッタ測定値から重水素のデータを取り出すのは、非常に手間がかかる。そこで彼女らは高度な統計学的な方法を採用することで、これを自動化した。

 こうして、ロゼッタがミッション中に計測したすべての水測定値を分析することに成功した。

 その結果、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の水はこれまでの見解通り、地球の水と同じような重水素レベルであることが明らかになったのだ。

 つまり、一度はぐらついた彗星もまた地球に水を運んだという説が、再び裏付けられたということだ。

 ではなぜ最初の分析では、3倍もの異常な測定値が出たのだろう?

 マンド氏らの実験や彗星の観測結果から推測されるのは、ロゼッタの計測値が彗星の塵に影響されたということだ。

 たとえば、ロゼッタが彗星のコマで計測した重水素の量と、ロゼッタ周辺の塵の量とにははっきりとした相関があることが突き止められた。

 このことは、コマに含まれる水の値は、彗星本体の水とはかけ離れたものになる可能性を意味する。

 彗星が太陽に近づくと、その表面が温まって気体が放出されるとともに、そこに混ざって水氷の粒子を含んだ塵も放出される。彗星のコマはこうしたものでできている。

 ここで重要なのは、重水素を含む水は普通の水よりも塵にくっつきやすいことだ。そのおかげでコマに含まれる塵の水は、重水素が濃くなる。

 だから彗星本体の水とはまた違った重水素比率になるのだ。これがロゼッタの異常な測定値の原因であるようだ。

 今回の発見によって、地球が水が豊富な惑星になるうえで、彗星もまた大きな役割を果たしていたという仮説が再び裏付けられた。

 それと同時に、彗星をどのように観察するべきかという点でも大切な教訓が得られたことになる。

 この研究は『Science Advances[https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adp2191]』(2024年11月13日付)に掲載された。

References: NASA’s New Discovery: Earth’s Oceans May Have Cosmic Origins[https://scitechdaily.com/nasas-new-discovery-earths-oceans-may-have-cosmic-origins/]

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