
中国陝西省にある始皇帝陵の兵馬俑から、軍の高官と思われる等身大像が発見された。
約2000体以上の兵士像が出土している中で、高官像は極めて希少で、これまでにわずか10体しか確認されていない。
高官と思われる像が身に着けていた装飾品は、彼らがいかに特別な存在であったかを表しているという。
新たに発見された希少な高官像と副葬品
新たに発見された像は、精巧な装飾品を身に着けており、そのスタイルや色彩は秦王朝の美的嗜好や社会的地位を象徴しているという。
またこの像が、単体ではなく、2台の戦車、3頭の馬、2体の兵士像とともに発見された点も注目され、古代中国の軍隊組織や戦略に新たな知見をもたらすとみられている。
オックスフォード大学の考古学者シウジェン・ジャニス・リー氏はこう語る。
軍の編成における高官の配置は、秦王朝の指揮体制や軍事戦略を反映しているはずです(ジャニス・リー氏)
兵馬俑とは
兵馬俑(へいばよう)は、1974年、中国北西部で偶然に見つかった世界最大の考古学発見のひとつだ。
3本の坑道にずらりと配置された何千体もの兵士、馬、馬車などの等身大像は紀元前3世紀にさかのぼるもので、テラコッタ(粘土を使った素焼きの焼き物)でできた兵士の顔はひとつとして同じものがないという。
発見から50年あまりを経て、およそ2000体の像が発掘されたが、最終的には8000体にもなると推定している。
兵馬俑には弩(クロスボウのようなもの)、槍、剣なども埋められていて、中国最初の皇帝、秦の始皇帝(紀元前259~210年)を死後の世界でも守るためにこの巨大な副葬品が制作されたと考えられている。
今回、新たに見つかった高官像は2号坑で騎兵隊に混じって見つかり、位の高い人物の像が発見されたのは初めてのことだという。
軍の将校など高官は、頭飾りや色鮮やかで複雑な模様の鎧で区別される。両手を体の前で組み、肩や鎧はリボンで飾られている。
これらの発見は古代軍の軍事構造に関する新たな知見を提供するが、多くの疑問がまだ残っている。
「最大の疑問は、兵馬俑全体を統率する最高将軍は誰かということだ」とリー氏は語った。
References: Rare army general and chariot unearthed among China's Terracotta Warriors | Live Science[https://www.livescience.com/archaeology/rare-army-general-and-chariot-unearthed-among-chinas-terracotta-warriors]