アメリカ、ロサンゼルスの街角で、近未来のロボットバトルを予感させるような出来事が起きた。自動運転タクシー「Waymo」と自動配達ロボット「Serve Robotics」が交差点で衝突する事故が起きたのだ。
ついにはじまってしまうのか？この事件は、テクノロジーが進化する中で生じる避けては通れない課題を象徴しているかのようだ。
自動運転タクシーと自動配送ロボットが衝突する事故
ロボットが忙しく働く社会はもうすぐそこまでやってきている。そんな新しい時代の到来に備えて、世界の名だたる企業がこぞってロボット事業に参入している。
グーグル（現アルファベット）の自動運転プロジェクトから始まった「Waymo」も、ロボット企業の1つで、自動運転のロボタクシーを開発している。
一方自動配達ロボットを開発する「Serve Robotics［https://www.serverobotics.com/press］」の大株主はあのウーバーだ。
その両社の自動操縦による配達ロボとロボタクシーが起こした交通事故は、なんだか将来のロボットバトルの予兆を感じさせる。
事故は2024年12月27日、カリフォルニア州ロサンゼルス市内の夜間の交差点で起きた。小さな配達ロボットは、横断歩道をスーッと渡ったのち、縁石を越えるのに少々手間取っていた。
そこへグロボタクシー「Waymo」がドンッと突っ込んできたのだ。
配達ロボの信号無視？
幸いにして、今回の事故はそれほど深刻なものではなかったようだが、自分よりずっと大きなWaymoのロボタクシーに跳ねられた配達ロボは、まるで逃げるように現場から走り去っている。
なぜ被害者が逃げねばならなかったのか？
確かなことは不明だが、動画の投稿者によると、配達ロボは信号無視をしていたそうで、映像を見ると、信号が赤なのに、配達ロボが横断歩道を移動しているように見える。
もしかしたら、ロボット自身やそれを管理する人間が、そのことで負い目のようなものを感じていた可能性も否定できない。
ロボットは人命は重んじるがロボットは気にかけない
Waymoのロボタクシーは咄嗟にブレーキをかけ、信号無視の配達ロボをはねないよう回避行動をとっていたようだ。
そのおかげで、少なくとも配達ロボが走行不能になるような大事にはいたらなかった。
とは言え、もし相手が配達ロボではなく人間の子供だったら？状況次第で人命にかかわりかねない事故を起こしたのはいただけない。
たとえ赤信号だったとしても、人が道路を横断するのは普通によくあることだ。その辺り、Waymo社はロボタクシーをどう教育しているのだろう？
これについては、どうも配達ロボが人間ではなく、ロボットだったことが事故の背景にあるようだ。
Waymo社がTechCrunch［https://techcrunch.com/2024/12/31/a-waymo-robotaxi-and-a-serve-delivery-robot-collided-in-los-angeles/］に語ったところによると、自動運転システムは配達ロボに気づいており、それを無生物として正しく認識していたという。
そして、その評価に従って、相手が人間であるときほどには注意深く走行しなかったのだそう。
それでもロボタクシーはきちんと事故回避の行動をとっている。咄嗟に急ブレーキをかけて、衝突の瞬間には時速6.4 kmにまで減速していたそうだ。
ロボットによる事故発生、悪いのは誰か？
どちらも大した被害を受けなかったため、今回の事故が大問題に発展することはなさそうだ。
だが、近い将来現実になるだろうロボット社会における新たな争点を告げるものであることは間違いない。
すなわち、自分で判断して自動で行動するロボットが事故を起こしたとき、その責任は誰が負うべきかという問題だ。
悪いのはロボットを所有していた人や企業なのか？ それとも事故を起こすようなロボットを作った企業なのだろうか？
そうしたロボットの操作に多少なりとも人間が関与していた場合、責任の割合がどう変化するのかも、今後議論が必要になることだろう。
ちななみにServeの配達ロボは、事故当時、人間の監督下で遠隔操作されていたという。
ただしロボタクシーが事故の直前に、配達ロボか人間のオペレーターに何らかの警告を出していたのかは不明だ。
責任の所在が明確にならないとなると、ついにロボット間の抗争が始まってしまう予感するのだがどうなんだろう？SFの見過ぎ？
