10年以上もかけて地球を1000回以上も周回したハッブル宇宙望遠鏡の偉業により、25億画素という圧倒的な精密さの「アンドロメダ銀河」の画像が完成した。
この驚異的な光景は600枚の画像を組み合わせて作られたもので、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)によって公開された。
この美しい画像からうかがい知れるアンドロメダ銀河の過去は、私たちが暮らす天の川銀河の未来を知る手がかりにもなる。
驚異の25億画素、アンドロメダ銀河の全貌
欧州宇宙機関(ESA)が1月16日に公開した最新画像は、アンドロメダ銀河をほぼ真横からとらえたもので、地球から見たときと同じように77度傾いた姿で映し出されている。
これを作るために、2つの観測プログラムが実施され、アンドロメは銀河の北半分と南半分が別々に撮影された。
ESA[https://www.esa.int/Science_Exploration/Space_Science/Hubble_traces_hidden_history_of_the_Andromeda_Galaxy]によれば、それは「ヘラクレス級の作業」、日本で例えるなら「ヤマタノオロチ退治級の大仕事」で、そのためにハッブル宇宙望遠鏡は10年かけて地球を1000回以上周回することになったそう。
そうして撮影された600枚の画像を組み合わせたモザイク画像は、すべて合わせると25億画素にもなる。
その精細さはまさに圧倒的。ESA曰いわく、拡大すればまるで「砂浜に散らばる砂粒」のようで、2億以上の星々を確認することができる。
とは言っても、そこに映る星々は氷山の一角でしかない。アンドロメダ銀河には、天の川銀河の10倍にのぼる最大1兆個の星があると推定されているからだ。
それでもなお、この最新の画像をつぶさに観察すれば、これまで知ることができなかったアンドロメダ銀河の過去をうかがい知ることができるだろう。
この銀河はかつて伴銀河(より大きな銀河を公転する銀河)である「M32銀河」と衝突し、その星々を奪ったと考えられている。
アンドロメダ銀河の星々の分布を調べれば、この宇宙の大衝突がどのようなものだったのか、さらに詳しく解明することができる。
そこから明らかになる事実は、私たちが暮らす天の川銀河の未来を知る手がかりにもなる。
人類の宇宙観を変えたアンドロメダ銀河
なおアンドロメダ銀河は宇宙の膨張を発見したアメリカの天文学者、エドウィン・ハッブル[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%89%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%83%E3%83%96%E3%83%AB]氏が見つけたもので、昨年、ちょうど100周年目を迎えた。
1924年以前、アドロメダ銀河はアンドロメダ星雲と呼ばれており、天の川の内側にある星雲の1つだと考えられていた。
じつは当時の天文学者は、夜空に瞬く星々はすべて天の川銀河に属するものだろうと思っていた。
ところが、ぼんやりと光る星雲らしきものは、その外側にあるもう1つの銀河だった。人類の宇宙観が大きく変わった瞬間だ。
それから100年、ハッブルをはじめとする望遠鏡が、宇宙には1000億を超える銀河が存在することを明らかにし、人類が知る宇宙のスケールは劇的なまでに広がった。
それでも地球から250万光年と、宇宙のスケールではすぐそばにあるアンドロメダ銀河は、人類が銀河を理解するうえでもっとも手軽な観察見本だ。
「宇宙全体の渦巻銀河の典型例としてアンドロメダ銀河がなければ、私たちが暮らす天の川銀河の構造や進化についての知識は、今よりもっと乏しかったでしょう」と、ESAは述べている。
ハッブル宇宙望遠鏡は、地上約600km上空の軌道上を周回する宇宙望遠鏡で、1990年4月24日に打ち上げられた。
その名称は、エドウィン・ハッブル氏に因んでいる。内側に反射望遠鏡を収めており、地球の大気や天候による影響を受けないため、地上からでは困難な高い精度での天体観測が可能だ。
当初の計画では15年程度の運用予定だったが、その成果の大きさから30年以上も運用が続けられている。
この研究は『Astrophysical Journal[https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ad7e2b]』誌に掲載された。
References: Iopscience.iop.org[https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ad7e2b] / NASA's Hubble Traces Hidden History of Andromeda Galaxy | HubbleSite[https://hubblesite.org/contents/news-releases/2025/news-2025-005]











